12兆ドル(約1850兆円)規模のウォール街の資金調達市場で圧力がくすぶっており、逼迫(ひっぱく)した状況を和らげるため米連邦準備制度理事会(FRB)により強力な対応を求める声が高まっている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)やSMBC日興証券、バークレイズなどの金融機関は、FRBが短期市場での融資拡大や証券購入といった措置を講じる必要があるかもしれないと指摘。銀行システムに資金を供給し、翌日物金利を押し上げている逼迫状況を緩和する必要があるとの見方を示している。 TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジェナディー・ゴールドバーグ氏は「最近のストレスを受けても、FRBはバランスシート政策を徐々にしか見直していないようだ」と指摘した。「一部の投資家は、準備金の逼迫を防ぐのにFRBの対応が遅過ぎると考えている」と述べた。 その一つ、担保付翌日物調達金利(SOFA)の1営業日の変動幅は、利上げ局面を除けば、コロナ禍の最盛期だった2020年3月以降で最大を記録した。 12日夜に終結した米政府機関の一部閉鎖も状況を悪化させた。本来であれば流動性を高めるはずの連邦支出が遅れたためだ。一方、FRBが進めるバランスシートの縮小、いわゆる量的引き締め(QT)も一因となっている。 FRBが12月1日をもって米国債保有の縮小を停止すると発表した後も、市場の逼迫は解消されておらず、与野党の対立解消だけでは問題の完全な解決にはならないとの懸念もある。こうした傾向が続く中、市中銀行がFRBに預ける準備預金への付利(IORB)を上回る水準にレポ金利が上昇している。 システム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)の運営を統括するニューヨーク連銀のロベルト・ペルリ氏は12日、最近の翌日物資金調達コストの上昇について、銀行の準備預金残高がもはや潤沢ではないことを示唆しており、FRBは「遠くないうちに」資産購入を開始することになるとの見解を示した。これは、ここ数日の間に他の政策当局者から出ている 市場関係者にとって、このメッセージは歓迎されるものだ。短期資金を豊富に持つマネー・マーケット・ファンド(MMF)などの機関が資金を貸し出し、ヘッジファンドのような投資家が通常は米国債といった高格付けの担保を元に借り入れを行い、「ベーシス取引」といった戦略を運用するという、金融市場の重要な資金循環の円滑な機能がかかっているためだ。 懸念されているのは、十分な流動性が確保されない場合、市場の変動性が高まり、FRBの金利政策の運営能力が損なわれかねないことだ。さらに極端なケースでは、ポジションの解消が迫られ、その影響が世界の借り入れコストの指標である米国債市場全体に波及する可能性もある。こうした中で、経済の先行きは依然として不透明な状況にある。 多くの市場関係者にとって、2019年9月の記憶はいまだ鮮明に残っている。この時、主要な翌日物金利が一時10%に急騰し、FRBは金融システムに5000億ドルを供給するという介入を余儀なくされた。 現時点では、資金調達市場はおおむね円滑に機能しており、近年FRBが導入した貸し出しセーフティーネットがレポ金利の抑制に寄与している。そうした制度の一つである常設レポファシリティー(SRF)は、適格な金融機関が米国債や政府機関債を担保に現金を借り入れられる仕組みで、ここ数週間は継続的に利用されている。 FRBはバランスシートのランオフ(償還に伴う保有証券減少)に対しても慎重な姿勢を取っており、4月には連邦債務上限をめぐる議会の対立を受けて、そのペースを減速させた。これは、財務省が手元資金を積み増す過程で、準備金の水準に追加の圧力がかかる可能性を見越した対応だった。 クレジットサイツの米投資適格債・マクロ戦略責任者、ザカリー・グリフィス氏は「2019年は一種の失態だったと言っていいだろう」と述べた。「最近の資金調達市場で見られる動きはより制御されているようだ。準備金が実質的に減少し、バランスシート縮小を停止するのが妥当な水準に達したことを示している」と続けた。 財務省が週次のTB入札規模の縮小を予定し、政府機関の閉鎖終了に伴いFRBに預けられていた資金の支出が再開される見通しであることから、市場の圧力は今後数週間でおおむね緩和すると予想されている。ただ、年末には依然として市場の変動リスクが残る。年末は通常、銀行が規制上の理由からバランスシートを健全化するため、レポ市場での取引を抑制する傾向にあるためだ。この傾向は12月前から始まることが多く、資金調達市場における年末の混乱をさらに悪化させる可能性がある。 クリーブランド連銀のハマック総裁は先週、準備金が「潤沢」と見なされる水準に近づく中で、どの程度の金利変動が許容されるのかを当局は見極めようとしていると述べた。最新のデータによると、現在の準備金残高は2兆8500億ドルとなっている。 ハマック氏はニューヨーク経済クラブのイベントで、「バンドの範囲内に収まっている限り、短期金利にある程度の変動があるのは良いことだと思う」と語り、「25ベーシスポイント(bp、1bp=0.
01%)程度の変動であれば、健全なものだと考えている」と述べた。 一方、かつてニューヨーク連銀の市場部門で長年勤務していたダラス連銀のローガン総裁は10月、レポ金利が高止まりを続けるようであれば、FRBは資産を購入する必要があると述べた。その上で、購入の規模やタイミングについては機械的に決めるべきではないとの考えを示した。 「マネーマーケットの平均水準をどこに置きたいのか。マネーマーケットをどう制御したいのか」と語るのは、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米金利戦略責任者、マーク・カバナ氏だ。「レポ金利が自然に是正されることを期待しても、FRBが望む結果にはならないだろう」と述べた。
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