順天堂大学と京都大学、韓国・延世大学の共同研究グループは、米国で開発された心血管疾患リスク予測式「PREVENT」が、アジア人集団においても心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを高い精度で予測できることを明らかにしました。これにより、アジア人の健康管理とCVDの予防医療への貢献が期待されます。
順天堂大学大学院医学研究科総合診療科学 教授/AIインキュベーションファーム センター長 矢野 裕一朗教授と、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 井上 浩輔 教授、韓国・延世大学デジタルヘルスケア革新研究らの共同研究グループは、米国で開発された新しい 心血管疾患 (CVD) リスク予測 式*¹( PREVENT :Predicting Risk of CVD EVENTs)*²、 アジア人 集団においても有効であることを解明しました。 「 PREVENT 」は欧米人におけるCVDリスクを正確に予測する手法として期待されていましたが、 アジア人 への有効性は不明でした。研究グループが約770万人の大規模データを解析した結果、「 PREVENT 」が アジア人 においても将来の心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを高い精度で予測できることを初めて発見しました。本成果は、 アジア人 一人ひとりの健康管理を大きく前進させ、CVDの 予防医療 に貢献するものです。これまで、 リスク予測 には主に欧米人のデータに基づいて作られた計算モデルが世界中で使われてきました。しかし、このモデルを日本を含むアジアの人々に使うと、実際よりもリスクが「高い」と判定されてしまう傾向がありました。その結果、不必要な治療や投薬につながる恐れがあるだけでなく、世界共通の基準で健康課題に取り組む上での大きな障壁となっていました。そのような中、2023年に米国で、より精度の高い新しい リスク予測 式「 PREVENT 」が開発されました。そこで本研究では、「この新しいモデルは、果たして アジア人 にも正確に当てはまるのか?」という疑問を検証するため、韓国の約770万人の大規模データを使い、その有効性を評価することを目的としました。これが実証されれば、世界中の人々をより公平で正確な「ものさし」で評価できるようになり、グローバルな 予防医療 の発展に大きく貢献することが期待されます。今回の研究では、韓国の国民的な健康データベース*³を用いて、過去に心臓や血管の病気をしたことのない30歳から79歳までの成人、約770万人という膨大なデータを解析しました。具体的には、 リスク予測 式「 PREVENT 」を使い、この770万人が10年以内に心筋梗塞や脳卒中、心不全を発症する確率を一人ひとり予測しました。そして、その予測がどれだけ正確だったかを、追跡調査による実際のカルテ記録(=現実)と照らし合わせることで、その精度を厳密に検証しました。この「答え合わせ」を、従来の予測モデルとも比較しています。最も重要な成果は、動脈硬化が原因となる 心血管疾患 (心筋梗塞や脳卒中といった心臓や血管の病気)の リスク予測 精度です。予測と実際の発生率が完全に一致すると、精度を示す指標(較正スロープ)は1.
0になります。今回の結果、「PREVENT」の数値は女性で0.87、男性で0.84と、理想値である1.0に非常に近い優れた結果を示しました。これに対して、従来モデルの数値は女性で0.53、男性で0.47と、1.0から大きく離れていました。この数字は、「PREVENT」が、従来モデルが抱えていた「アジア人のリスクを約2倍に過大評価してしまう」という深刻な問題を、大幅に改善したことを明確に示しています。今回の研究により、「PREVENT」がアジア人における心筋梗塞や脳卒中のリスクを正確に評価できることが明らかになりました。これにより、今後は国際的な臨床研究や大規模な健康調査において、人種や地域を超えた共通の「ものさし」として活用できる道が開かれました。世界中の研究者が同じ基準でデータを比較できるようになり、グローバルな予防医療戦略の発展が大きく加速することが期待されます。各アウトカムにおけるキャリブレーション(傾きおよび予測リスクのデシルごとの観測値と予測値のプロット)。キャリブレーションプロットでは、観測リスクの95%信頼区間に対応する誤差線が短すぎて可視化されなかった。これらのモデルには、HDLコレステロールとnon-HDLコレステロール(全心血管疾患および心血管疾患の場合)、BMI(心不全の場合)、収縮期血圧、糖尿病、現在の喫煙状況、推算糸球体濾過量(eGFR)、降圧薬またはスタチンの使用、年齢が予測因子として含まれている。: Hokyou Lee 1,2, Kosuke Inoue 3,4, Dasom Son 1, Yuichiro Mori 3, Eugene Yang 5, Yuichiro Yano 6, Hyeon Chang Kim 1,2, Dhruv S. Kazi 3, Donald M. Lloyd-Jones 7, Sadiya S. Khan 8,92 Institute for Innovation in Digital Healthcare, Yonsei University, Seoul, Korea; 3 Richard A. and Susan F. Smith Center for Outcomes Research in Cardiology, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Boston, MA, USA;5 Division of Cardiology, Department of Medicine, University of Washington School of Medicine, Seattle, WA, USA;7 Section of Preventive Medicine and Epidemiology, Department of Medicine, Boston University Chobanian & Avedisian School of Medicine, Boston, MA, USA;
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