2022年、コロナ禍でデビューを果たしたシンガーソングライター、idom。“宅録シンガー”として快作を放ち続けてきたidomが、満を持して1stデジタルアルバム『idom』をリリースする。自らの名を冠した今作に込めた思いと、セルフブランディングとしてのファッション、そして自身の意識の変化について聞いた。
タイミングと力が揃った 作詞・作曲・編曲、そして録音とすべてを自らの手で生み出すシンガーソングライター・idom。孤高の才能を持つ彼が、11月7日、1stデジタルアルバム『idom』をリリースした。 デビューや転機のタイミングで掲げられることの多い、セルフタイトルアルバムを彼は満を持して世に放った。 「これまではさまざまなコンセプトで曲を作ってきましたが、今回は自分自身を描いたアルバムにしたいと思って。idomという人間を深く知ってもらうために、これまで以上に自分をさらけ出して、内側からくる衝動や影響もすべて音にしました。実は音楽を始めた頃から『1枚目のアルバムはセルフタイトルにする』と決めていて。ただ、その名をつけるからには、自分が表現したいものを完璧に見通せたタイミングと、自分の音楽を具現化できる力が揃った時に作ろうと決めていたんです」 デビュー以降、コンスタントに楽曲を発表してきたidom。だが、2024年7月の「B.
M.S.」を機に一度立ち止まり、2025年2月リリースの「Baby.U」で再び歩みを進めた。その間に、彼の中で何かが静かに変わった。 「音楽を始めて3〜4年経った頃、少しズレを感じるようになりました。結果を求めたり、ヒットに執着したり、純粋な音楽よりも別のものが前に出てきたというか。僕、レーベルに所属している以上、チャートを見て『どんな層に刺さるか』を考える責任はあると思っていたんですね。それ自体は今も間違いではないと思っていますが、そればかりを追いすぎて、自分が作りたい音楽とのバランスが崩れてしまって。『次の曲がヒットしなかったらレーベルを辞めようかな』と思ったこともありました。そこで所属するソニーのチームと話し合って、自分のやるべきことをやらなきゃダメだと気づいたんです。その精神を取り戻して、時間をかけて作ったのが『Baby.U』。ちょうどその頃、仲のいいラッパーのKvi Babaと『idomはどんな音楽をやりたいのか』を改めて話す機会があって。そこで自分のルーツや好きなもの、伝えたい言葉を込めた音楽がやりたいと思ったんです。経験を重ねてトラックメイクの幅も広がっていたので、“今こそセルフタイトルアルバムを出す時”だと感じました」 ヒットと表現。その狭間で揺れる葛藤は、時代を生きるアーティストが避けて通れないものだ。idomがそれを越えて生み出した「Baby.U」は、再生と覚醒の象徴でもある。そんな同曲はラッパー・7を迎えた「Baby.U – Remix」として、アルバム『idom』にも収録されている。 「アルバム『idom』は、ヒップホップのカルチャーを持つ人に入ってもらわないと成立しない気がして、以前からかっこいいと思っていた7ちゃんにお願いをすることにしました。知り合いに声をかけてみてほしいとお願いしたタイミングで、7ちゃんが僕のInstagramをフォローしてくれて。僕は『もう話が通ったのかな』と思ったんです。その後実際にお会いした時に聞いたら、フォローした時点ではまだ何も知らなかったんですって。担当の美容師さんに『idomって知ってる? “Baby.U”って曲がすごくいいよ』と言われて聴いてくれて、かっこいい曲だなとたまたまフォローしてくれたみたいなんです。その後にフィーチャリングの話が届いたらしくて。そうなったらもう『Baby.U』をやるしかないですよね(笑)」 ヒップホップ、R&B、ゴスペル──ジャンルを越えた多彩な音楽が詰まった『idom』は、まるでidomという人間のストーリーを見ているかのようだ。 「どの曲も大切です。たとえばアルバム制作のきっかけをくれたのは『Baby.U』ですし、自分をよく表しているのは『Treasure』。今まで言ってこなかった過去やパーソナルな部分を、今回は赤裸々に歌にしました。ネガティブな部分や経験は言葉で語りたくなかったけど、音楽なら伝えられる気がして。言葉選びにも気を配りながら、丁寧に時間をかけて作った曲です」 “idom”らしさを表現したい 満を持して、自分を表現し始めたidom。ファッションにもその思いは反映され始めている。 「最近は、idomというキャラクターがわかる服装をしたいと思うようになりました。単におしゃれというより、idomというアーティストを象徴するような、音楽性と離れていない服のスタイルを意識しています。イベントなどにも私服で出ることが増えて、普段着も“idomっぽい”ものが多くなりました。ルーツや音楽性が意外と泥臭いので、レザージャケットやデニムが増えています」 衣装にいたるまで、アーティスト活動のすべてを自分でこなす彼を、世間は“才能の人”と呼ぶ。しかし彼自身の言葉は、静かにその像を裏返した。 「自分では“器用に見える不器用”だと思っています。仕事でもプライベートでも、いろんなことを器用にこなせるので、『これ以上やったらヤバいかも』と思いながらキャパオーバーになっちゃって。そういう自分が逆に不器用だなって。それと、アーティストって自分を表現するのが好きな人が多いけど、僕は真逆。数奇な縁で音楽に出会い、今のレーベルに入れたけれど、最初はステージが本当に怖かった。SNSで多くの人からメッセージをもらうのが苦しかった時期もありました。今はもう平気ですが、当時は“知らない人に見られている”感覚が怖かったんです。それがこの1年で大きく変わりました。人生は苦しくて、しんどくて、つまらないことも多いけど、僕の音楽で少しでも華を添えられたら。潤滑油のような存在になれたらいいなって」 自分の内側ばかりを見つめていた矢印が、外の世界へと向き始める。 「いい曲を作って評価されたいって、ずっと自分がもらうことばかり考えていたんです。でも、音楽を通して誰かに影響を与えられることに今はすごく喜びを感じていて。『受けるより与えるほうが幸いです』という聖書の言葉を知ってから、新しい自分ーー“Newborn idom”が生まれた気がします。以前よりリラックスして制作できるようになりましたから。ライブも、仕事として上手く成立させなきゃという義務感ではなく、僕の歌で少しでも温かい気持ちになってほしいと思えるようになって。ステージに上がる前は、『僕の声を通して、神様がここにいる人たちに清いものを与えてくれますように』と祈っています」 圧倒的な才能を持っているがゆえに遠くに思えていたidomだが、少し現実味を帯びた存在になって気がする。それは、「音楽以外で最近夢中になっていることは?」という質問にも表れていた。 「リアルなところで言うと、筋トレですね。この仕事って意外と体力がいるので、ジムで鍛えています。めっちゃ恥ずかしいのですが、屈強なトレーニーに囲まれながら僕だけ軽いダンベルを上げています(笑)。でも、それがいいリフレッシュになっていて、次の曲のアイデアが浮かんだりもしています」 音楽も日常も、どこかユーモラスで誠実に。idomは今日も、新しい自分を更新していく。 idom 1998年3月18日生まれ、兵庫県出身。大学でデザインを専攻後、コロナ禍をきっかけに楽曲制作を開始し、2021年に『Xperia』CMソング「Moment」で注目を集める。2022年、『GLOW』がフジテレビ系月9ドラマ『競争の番人』主題歌に選ばれ、同年メジャーデビュー。11月7日に1stデジタルアルバム『idom』をリリース。11月14日には、Zepp Shinjukuにてワンマンライブ「idom Live 2025 “ONE LOVE, TWO HEARTS”」を開催する。 写真・木村辰郎 スタイリング・大島陸 ヘアメイク・南部和美 文・高橋 梓 編集・高田景太(GQ)
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