12歳の少年が見た昭和55年 漫才ブーム「ひいじいさんは戦前、赤信号を渡ったのか」 プレイバック「昭和100年」

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今、テレビは漫才ブームで最近は「MANZAI」というらしい。一番好きなのは「赤信号みんなで渡ればこわくない」のツービートで、たけしには腹が痛いほど笑わされる。…

今、テレビは漫才ブームで最近は「MANZAI」というらしい。一番好きなのは「赤信号みんなで渡ればこわくない」のツービートで、たけしには腹が痛いほど笑わされる。今年86歳になる僕のひいじいさんもたけしが好きで、「じじい、くたばれ」などの老人イジリみたいなギャグも一緒になって笑っている。戦前には村の助役を務めていたが、戦後に公職追放されて仕事を辞めさせられ、しばらくはつらいことも多かったという。僕は詳しいことは知らないが、家族でご飯の時、公職追放された人がみんな軍国主義者で悪い人だったように描いたテレビをやっていて、お父さんがスイッチを消したことを覚えている。 今年の夏は大きな ニュース が続いた。お盆中の8月14日、富士山の山梨県側で落石事故があり登山中の12人が死亡、30人近くがけがをした。2日後の16日には反対側の静岡県で国鉄静岡駅前の地下街がガス爆発し15人が死亡、200人以上が負傷した。その3日後の19日には東京の新宿駅西口で停車中の路線バスに男がガソリンの入ったバケツを投げ込んで放火、6人が亡くなり10人以上がけがをした。どれも、たまたまそこにいただけの人が巻き込まれ、気の毒としか言えない ニュース だった。考えてみれば、ひいじいさんは、これまで大きな事故に遭うことも、若い時に戦争に行くこともなく、長生きできて運がよかったのかもしれない。 生まれた年に日清戦争が始まり、日露戦争はまだ小学生。徴兵には行ったものの第一次大戦とは関係なく、昭和20年の終戦の時には50歳を過ぎていた。戦争が激しい時代に直接戦うことはなく、戦争が終わった時にたまたま助役だったから巻き込まれたという人もいるのだと思った。 今年は、歌手の山口百恵さんが結婚して引退する ニュース もあった。ひいじいさんも大ファンだったので、かなりさみしそうだった。百恵ちゃんと入れ替わるように今年デビューした松田聖子さんは声がキンキンしていてあまり好きではないと言っていたが、父親がちょんまげだったような人が、テレビの前でリモコンを押しながら百恵ちゃんや聖子ちゃんを見ていることが何だか不思議だった。6月には、去年から「頑張れニッポン!」のCMで盛り上がっていたモスクワ五輪への日本選手団の不参加が正式に決まった。ソ連のアフガニスタン侵攻が原因で、米ソの「東西冷戦」も続いているから仕方ないが、ひいじいさんは、金メダル確実と言われた柔道の山下泰裕選手が「ショックです」と言ってうつむく姿をテレビで見て、悲しそうだった。若い人が世の中の都合に巻き込まれるのを見るのがつらいそうだ。赤信号でも青信号でも、みんなで渡っていたから怖くなかった。でも戦後の人に「あれは赤だった」「悪いことだった」と後から言われても、その時は周りの人に合わせて一生懸命に生きるしかなかったし、そもそも信号なんてどこにもなかったのだ。 ひいじいさんは突然そんなことを話してくれた。涙が浮かんでいるようにも見えた。僕は戦前の話をもう少し聞いてみたかったが、テレビでやすし・きよしの漫才が始まったので遠慮した。ひいじいさんはいつものように大笑いしていた。この年初めの「花王名人劇場」(関西テレビ)や、「THE MANZAI」(フジテレビ)などが牽引(けんいん)した「漫才ブーム」は、お笑い芸人が席巻する現在のメディアの原型になったとも言われる。吉本興業もこの年、東京事務所を開設、各テレビ局が競って漫才を放送した。年末に放送された「THE MANZAI」の視聴率は関東で32・6%、関西で45・6%を記録したという。 当時の出来事や世相を「12歳」の目線で振り返ります。今回は「昭和25年」で公職追放を解除された祖父と孫のお話の続きで、ひ孫の代になります。「昭和100年」の間には市井の人々の命と歴史が綿々とつながっています。.

今、テレビは漫才ブームで最近は「MANZAI」というらしい。一番好きなのは「赤信号みんなで渡ればこわくない」のツービートで、たけしには腹が痛いほど笑わされる。今年86歳になる僕のひいじいさんもたけしが好きで、「じじい、くたばれ」などの老人イジリみたいなギャグも一緒になって笑っている。戦前には村の助役を務めていたが、戦後に公職追放されて仕事を辞めさせられ、しばらくはつらいことも多かったという。僕は詳しいことは知らないが、家族でご飯の時、公職追放された人がみんな軍国主義者で悪い人だったように描いたテレビをやっていて、お父さんがスイッチを消したことを覚えている。 今年の夏は大きなニュースが続いた。お盆中の8月14日、富士山の山梨県側で落石事故があり登山中の12人が死亡、30人近くがけがをした。2日後の16日には反対側の静岡県で国鉄静岡駅前の地下街がガス爆発し15人が死亡、200人以上が負傷した。その3日後の19日には東京の新宿駅西口で停車中の路線バスに男がガソリンの入ったバケツを投げ込んで放火、6人が亡くなり10人以上がけがをした。どれも、たまたまそこにいただけの人が巻き込まれ、気の毒としか言えないニュースだった。考えてみれば、ひいじいさんは、これまで大きな事故に遭うことも、若い時に戦争に行くこともなく、長生きできて運がよかったのかもしれない。 生まれた年に日清戦争が始まり、日露戦争はまだ小学生。徴兵には行ったものの第一次大戦とは関係なく、昭和20年の終戦の時には50歳を過ぎていた。戦争が激しい時代に直接戦うことはなく、戦争が終わった時にたまたま助役だったから巻き込まれたという人もいるのだと思った。 今年は、歌手の山口百恵さんが結婚して引退するニュースもあった。ひいじいさんも大ファンだったので、かなりさみしそうだった。百恵ちゃんと入れ替わるように今年デビューした松田聖子さんは声がキンキンしていてあまり好きではないと言っていたが、父親がちょんまげだったような人が、テレビの前でリモコンを押しながら百恵ちゃんや聖子ちゃんを見ていることが何だか不思議だった。6月には、去年から「頑張れニッポン!」のCMで盛り上がっていたモスクワ五輪への日本選手団の不参加が正式に決まった。ソ連のアフガニスタン侵攻が原因で、米ソの「東西冷戦」も続いているから仕方ないが、ひいじいさんは、金メダル確実と言われた柔道の山下泰裕選手が「ショックです」と言ってうつむく姿をテレビで見て、悲しそうだった。若い人が世の中の都合に巻き込まれるのを見るのがつらいそうだ。赤信号でも青信号でも、みんなで渡っていたから怖くなかった。でも戦後の人に「あれは赤だった」「悪いことだった」と後から言われても、その時は周りの人に合わせて一生懸命に生きるしかなかったし、そもそも信号なんてどこにもなかったのだ。 ひいじいさんは突然そんなことを話してくれた。涙が浮かんでいるようにも見えた。僕は戦前の話をもう少し聞いてみたかったが、テレビでやすし・きよしの漫才が始まったので遠慮した。ひいじいさんはいつものように大笑いしていた。この年初めの「花王名人劇場」(関西テレビ)や、「THE MANZAI」(フジテレビ)などが牽引(けんいん)した「漫才ブーム」は、お笑い芸人が席巻する現在のメディアの原型になったとも言われる。吉本興業もこの年、東京事務所を開設、各テレビ局が競って漫才を放送した。年末に放送された「THE MANZAI」の視聴率は関東で32・6%、関西で45・6%を記録したという。 当時の出来事や世相を「12歳」の目線で振り返ります。今回は「昭和25年」で公職追放を解除された祖父と孫のお話の続きで、ひ孫の代になります。「昭和100年」の間には市井の人々の命と歴史が綿々とつながっています。

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