米国が中国からの2000億ドル相当の輸入品への関税を10%から25%に引き上げた。米中の通商交渉は10日も継続されるが、交渉期間の延長で最終合意に至るか、事実上...
[東京 10日 ロイター] - 米国が中国からの2000億ドル相当の輸入品への関税を10%から25%に引き上げた。米中の通商交渉は10日も継続されるが、交渉期間の延長で最終合意に至るか、事実上の決裂となるかは、まだ不透明だ。政府・日銀は米中交渉を注視するスタンスだが、世界経済への打撃や日本経済の「後退リスク」顕在化への懸念を払しょくできずにいる。 5月10日、米国が中国からの2000億ドル相当の輸入品への関税を10%から25%に引き上げた。米中の通商交渉は10日も継続されるが、交渉期間の延長で最終合意に至るか、事実上の決裂となるかは、まだ不透明だ。写真は2016年1月撮影(2019年 ロイター/Jason Lee) 米中交渉がこじれれば、日米通商交渉にも飛び火し、自動車や農業分野で米国の「高い球」が繰り出されるリスクにも、政府内で警戒感がくすぶる。株安・円高が進むことになれば、10月の消費増税実施が延期されるとの観測も市場にはあり、政府・日銀にとっても米中交渉の行方が、最大のリスク要因になりつつある。ただ、中国側は米中交渉が継続していることを強調。双方の歩み寄りを期待しているとも表明しつつ、対抗措置の内容は示さず、柔軟な姿勢もにじませた。 複数の市場関係者によると、金融・資本市場には大まかに3つのシナリオがあるという。1つは「楽観シナリオ」で早期に米中の電話による首脳会談が行われ、1カ月以内の合意を目指すと公表される。2つ目は「悲観シナリオ」といえ、決着時期の明示がないまま、当面の交渉はワシントンでの10日の協議を最後に途絶えるという展開。3つ目はその中間で、6月の大阪で行われるG20(20カ国・地域)首脳会議の前後に行われる米中首脳会談での合意を目指すことが表明されるケース。米国の関税引き上げ発表直前、麻生太郎財務相は10日の閣議後会見で「日本も含めて国際的な関心事。貿易制限の措置の応酬は、どの国の利益にもならない」と表明。茂木敏充経済再生担当相は「市場動向や世界経済への影響を見極め、政策運営に万全を期したい」と語った。 日銀も米中交渉の行方によっては、日本経済に大きな影響が出かねないとみている。黒田東彦総裁は9日の参院財政金融委員会で、貿易摩擦問題の深刻化が「企業マインドや金融市場の不安定化といった経路を通じて世界経済にかなり広範な影響を及ぼす」と述べていた。国際通貨基金(IMF)が今年4月に公表した試算では、米国が制裁関税の対象になっていない残るすべての関税を25%に引き上げた場合、最大で米国の成長率を0.6ポイント、中国の成長率を1.5ポイント押し下げるとしている。 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、今回の米国の関税引き上げを受け「中国は景気減速の中での関税引き上げで、輸出が大きな打撃を受けるだろう」と予測。輸出に依存する他のアジア諸国の成長率も低下すると指摘した。政府・日銀にとって、短期間で米中交渉が決着するのか、それとも高関税を掛け合ったまま、今年末から年明けまでもつれるかによって、その後の政策対応が大幅に変わる可能性がある。ある自民党関係者は「トランプ大統領が通商交渉のカードをどのように使うのか、日米通商交渉の担当者から見れば、米中交渉は格好の前哨戦と映るだろう」と話す。もし、米国が対中交渉で強気を押し通せば「日米通商交渉で、日本からの自動車輸出問題を取り上げて、大幅な譲歩を迫る展開もありうる」と警戒感を隠さない。 5月10日、米国が中国からの2000億ドル相当の輸入品への関税を10%から25%に引き上げた。米中の通商交渉は10日も継続されるが、交渉期間の延長で最終合意に至るか、事実上の決裂となるかは、まだ不透明だ。写真は北京で昨年4月撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)世界経済の停滞は、日本経済の成長シナリオを直撃しかねない。バークレイズ証券・調査部長・チーフエコノミストの山川哲史氏は「米中交渉が完全に決裂し、3250億ドルにまで25%の関税がかかればリーマン級(の経済ショック発生)という話になりかねない。ほとんどゼロ成長の2019年1─3月期GDP(国内総生産)なども踏まえ、消費増税はもう一度、見送る結論になってもおかしくない。今回のイベントは、消費増税の可否にとっても重要になる」と指摘した。.
[東京 10日 ロイター] - 米国が中国からの2000億ドル相当の輸入品への関税を10%から25%に引き上げた。米中の通商交渉は10日も継続されるが、交渉期間の延長で最終合意に至るか、事実上の決裂となるかは、まだ不透明だ。政府・日銀は米中交渉を注視するスタンスだが、世界経済への打撃や日本経済の「後退リスク」顕在化への懸念を払しょくできずにいる。 5月10日、米国が中国からの2000億ドル相当の輸入品への関税を10%から25%に引き上げた。米中の通商交渉は10日も継続されるが、交渉期間の延長で最終合意に至るか、事実上の決裂となるかは、まだ不透明だ。写真は2016年1月撮影(2019年 ロイター/Jason Lee) 米中交渉がこじれれば、日米通商交渉にも飛び火し、自動車や農業分野で米国の「高い球」が繰り出されるリスクにも、政府内で警戒感がくすぶる。株安・円高が進むことになれば、10月の消費増税実施が延期されるとの観測も市場にはあり、政府・日銀にとっても米中交渉の行方が、最大のリスク要因になりつつある。ただ、中国側は米中交渉が継続していることを強調。双方の歩み寄りを期待しているとも表明しつつ、対抗措置の内容は示さず、柔軟な姿勢もにじませた。 複数の市場関係者によると、金融・資本市場には大まかに3つのシナリオがあるという。1つは「楽観シナリオ」で早期に米中の電話による首脳会談が行われ、1カ月以内の合意を目指すと公表される。2つ目は「悲観シナリオ」といえ、決着時期の明示がないまま、当面の交渉はワシントンでの10日の協議を最後に途絶えるという展開。3つ目はその中間で、6月の大阪で行われるG20(20カ国・地域)首脳会議の前後に行われる米中首脳会談での合意を目指すことが表明されるケース。米国の関税引き上げ発表直前、麻生太郎財務相は10日の閣議後会見で「日本も含めて国際的な関心事。貿易制限の措置の応酬は、どの国の利益にもならない」と表明。茂木敏充経済再生担当相は「市場動向や世界経済への影響を見極め、政策運営に万全を期したい」と語った。 日銀も米中交渉の行方によっては、日本経済に大きな影響が出かねないとみている。黒田東彦総裁は9日の参院財政金融委員会で、貿易摩擦問題の深刻化が「企業マインドや金融市場の不安定化といった経路を通じて世界経済にかなり広範な影響を及ぼす」と述べていた。国際通貨基金(IMF)が今年4月に公表した試算では、米国が制裁関税の対象になっていない残るすべての関税を25%に引き上げた場合、最大で米国の成長率を0.6ポイント、中国の成長率を1.5ポイント押し下げるとしている。 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、今回の米国の関税引き上げを受け「中国は景気減速の中での関税引き上げで、輸出が大きな打撃を受けるだろう」と予測。輸出に依存する他のアジア諸国の成長率も低下すると指摘した。政府・日銀にとって、短期間で米中交渉が決着するのか、それとも高関税を掛け合ったまま、今年末から年明けまでもつれるかによって、その後の政策対応が大幅に変わる可能性がある。ある自民党関係者は「トランプ大統領が通商交渉のカードをどのように使うのか、日米通商交渉の担当者から見れば、米中交渉は格好の前哨戦と映るだろう」と話す。もし、米国が対中交渉で強気を押し通せば「日米通商交渉で、日本からの自動車輸出問題を取り上げて、大幅な譲歩を迫る展開もありうる」と警戒感を隠さない。 5月10日、米国が中国からの2000億ドル相当の輸入品への関税を10%から25%に引き上げた。米中の通商交渉は10日も継続されるが、交渉期間の延長で最終合意に至るか、事実上の決裂となるかは、まだ不透明だ。写真は北京で昨年4月撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)世界経済の停滞は、日本経済の成長シナリオを直撃しかねない。バークレイズ証券・調査部長・チーフエコノミストの山川哲史氏は「米中交渉が完全に決裂し、3250億ドルにまで25%の関税がかかればリーマン級(の経済ショック発生)という話になりかねない。ほとんどゼロ成長の2019年1─3月期GDP(国内総生産)なども踏まえ、消費増税はもう一度、見送る結論になってもおかしくない。今回のイベントは、消費増税の可否にとっても重要になる」と指摘した。
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