エスカレーター、「歩かない」をマナーに 高度成長期以来の慣行、改めるきっかけに【けいざい百景】

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エスカレーター、「歩かない」をマナーに 高度成長期以来の慣行、改めるきっかけに【けいざい百景】
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エスカレーターは片側に並んで立ち、急いでいる人のために反対側は空けておく。高度成長期以来、約半世紀にわたり続いてきた慣行に、変化の兆しが見え始めている。転倒事故を防ぐため、名古屋市が昨年、埼玉県に続いてエスカレーター利用時に立ち止まることを義務付けた条例を施行。メーカーは並んで乗ることを促す新機種を開発して安全な利用を呼び掛けている。(時事通信経済部 早川奈里)

エスカレーターは片側に並んで立ち、急いでいる人のために反対側は空けておく。高度成長期以来、約半世紀にわたり続いてきた慣行に、変化の兆しが見え始めている。転倒事故を防ぐため、名古屋市が昨年、埼玉県に続いてエスカレーター利用時に立ち止まることを義務付けた条例を施行。メーカーは並んで乗ることを促す新機種を開発して安全な利用を呼び掛けている。(時事通信経済部 早川奈里)2025年大阪・関西万博の最寄り駅として開業予定の大阪メトロ・夢洲駅。万博の「玄関口」に設置されるのが日立ビルシステム(東京)の新型エスカレーターだ。ステップの踏み面に立ち位置を示す丸印、側面に段差を強調する線をそれぞれ発光ダイオード(LED)照明で表示。2列で立ち止まっての利用を促す。 夢洲駅は万博期間中、2分半間隔で電車が到着し、1日約12万6000人が利用する見込み。エスカレーターの並列乗車で輸送効率を上げ、ホームでの混雑や転倒事故を防ぐ狙いだ。開発担当者は「視覚的に訴えることで立ち止まるきっかけをつくる。親子で並んで手をつないで利用してもらえれば」と話す。開発時の試験では片側空けに改善が見られたという。 同社は5月、エスカレーターを歩く危険性をPRするウェブサイトを開設。事故の事例のほか、手すりにつかまり立ち止まる「正しい乗り方」を紹介している。従来は鉄道会社などとの安全キャンペーンが中心だったが、「埼玉県などの条例で注目が高まる中で、メーカーとしても発信しようと考えた」(広報担当)という。三菱電機ビルソリューションズ(東京)は昨年、子供に人気の「うんこドリル」を用いた冊子を作成。イラストで安全な乗り方などを分かりやすく紹介している。 音声による呼び掛けで効果が表れた例もある。昨年10月、エスカレーターの安全利用に関する条例を施行した名古屋市では、今年2月に地下鉄伏見駅でセンサーやカメラを設置して実証実験を行った。人工知能(AI)が歩行を検知すると「条例違反です。歩かないでください」などと音声が鳴り、導入後は歩く人が大幅に減少。市消費生活課は「歩く人に直接訴えかけられ、抑止力が高い」と評価しており、本格的な導入に向け設置場所などを検討している。メーカー各社によると、そもそもエスカレーターは立ち止まって手すりにつかまり利用する前提で設計され、歩行は想定していない。2人乗りの場合、ステップの幅は大半が100センチ程度。階段に比べ幅が狭く段差も大きいため、歩くとつまずいたり人にぶつかったりする危険がある。キャリーバッグなど大型荷物を持っての利用はバランスを崩す危険が高く、「本来はエレベーターを使ってもらいたい」(大手メーカー)という。 日本エレベーター協会(東京)が5年ごとに実施している調査によると、18年1月~19年12月に起こったエスカレーターの事故は1550件。原因は「手すりを持たずに転倒」「歩行してつまずき転倒する」など乗り方不良が805件に上る。特に60歳以上の高齢者が多く、他の世代に比べ乗降口やステップ上での転倒事故が目立つ。場所別では、乗り遅れまいと急ぐ人が多いためか交通機関が半数近くを占めた。 6月12日には東京都内のスーパーで、手押しカートを押した高齢女性が転んでエスカレーターの手すりと床の間に首を挟まれ、死亡する事故が発生。3月にはJR水戸駅(水戸市)で衣服の一部が巻き込まれた70代男性が死亡しており、高齢者の事故が突出している。片側空けの習慣はいつごろ始まったのか。江戸川大学の斗鬼正一名誉教授によると、世界で初めて片側を空けるよう呼び掛けられたのは、第2次世界大戦中の英国。日本では1960年代の大阪・阪急電鉄梅田駅で、「急ぐ方のために左側を開けて」と放送したのが始まりという。東京ではバブル期に駅などで自然発生的に広がった。 斗鬼氏は、片側開けがなかなか見直されないことについて「『オー・モーレツ!』や『24時間戦えますか』がはやった時代の、速さ重視の価値観にとらわれている」と指摘。習慣が改まるには、強制ではなく安全性の理解や障害を持つ人への配慮など「利用者自身が立ち止まる必要性を認識することが必要ではないか」との見方を示した。 日本でエスカレーターが初登場したのは、1914年の東京大正博覧会だ。大阪万博には海外からの来場者も見込まれる。斗鬼氏は「立ち止まって利用するという、新しいスタンダードを世界に発信する機会になるかもしれない」と期待している。.

エスカレーターは片側に並んで立ち、急いでいる人のために反対側は空けておく。高度成長期以来、約半世紀にわたり続いてきた慣行に、変化の兆しが見え始めている。転倒事故を防ぐため、名古屋市が昨年、埼玉県に続いてエスカレーター利用時に立ち止まることを義務付けた条例を施行。メーカーは並んで乗ることを促す新機種を開発して安全な利用を呼び掛けている。(時事通信経済部 早川奈里)2025年大阪・関西万博の最寄り駅として開業予定の大阪メトロ・夢洲駅。万博の「玄関口」に設置されるのが日立ビルシステム(東京)の新型エスカレーターだ。ステップの踏み面に立ち位置を示す丸印、側面に段差を強調する線をそれぞれ発光ダイオード(LED)照明で表示。2列で立ち止まっての利用を促す。 夢洲駅は万博期間中、2分半間隔で電車が到着し、1日約12万6000人が利用する見込み。エスカレーターの並列乗車で輸送効率を上げ、ホームでの混雑や転倒事故を防ぐ狙いだ。開発担当者は「視覚的に訴えることで立ち止まるきっかけをつくる。親子で並んで手をつないで利用してもらえれば」と話す。開発時の試験では片側空けに改善が見られたという。 同社は5月、エスカレーターを歩く危険性をPRするウェブサイトを開設。事故の事例のほか、手すりにつかまり立ち止まる「正しい乗り方」を紹介している。従来は鉄道会社などとの安全キャンペーンが中心だったが、「埼玉県などの条例で注目が高まる中で、メーカーとしても発信しようと考えた」(広報担当)という。三菱電機ビルソリューションズ(東京)は昨年、子供に人気の「うんこドリル」を用いた冊子を作成。イラストで安全な乗り方などを分かりやすく紹介している。 音声による呼び掛けで効果が表れた例もある。昨年10月、エスカレーターの安全利用に関する条例を施行した名古屋市では、今年2月に地下鉄伏見駅でセンサーやカメラを設置して実証実験を行った。人工知能(AI)が歩行を検知すると「条例違反です。歩かないでください」などと音声が鳴り、導入後は歩く人が大幅に減少。市消費生活課は「歩く人に直接訴えかけられ、抑止力が高い」と評価しており、本格的な導入に向け設置場所などを検討している。メーカー各社によると、そもそもエスカレーターは立ち止まって手すりにつかまり利用する前提で設計され、歩行は想定していない。2人乗りの場合、ステップの幅は大半が100センチ程度。階段に比べ幅が狭く段差も大きいため、歩くとつまずいたり人にぶつかったりする危険がある。キャリーバッグなど大型荷物を持っての利用はバランスを崩す危険が高く、「本来はエレベーターを使ってもらいたい」(大手メーカー)という。 日本エレベーター協会(東京)が5年ごとに実施している調査によると、18年1月~19年12月に起こったエスカレーターの事故は1550件。原因は「手すりを持たずに転倒」「歩行してつまずき転倒する」など乗り方不良が805件に上る。特に60歳以上の高齢者が多く、他の世代に比べ乗降口やステップ上での転倒事故が目立つ。場所別では、乗り遅れまいと急ぐ人が多いためか交通機関が半数近くを占めた。 6月12日には東京都内のスーパーで、手押しカートを押した高齢女性が転んでエスカレーターの手すりと床の間に首を挟まれ、死亡する事故が発生。3月にはJR水戸駅(水戸市)で衣服の一部が巻き込まれた70代男性が死亡しており、高齢者の事故が突出している。片側空けの習慣はいつごろ始まったのか。江戸川大学の斗鬼正一名誉教授によると、世界で初めて片側を空けるよう呼び掛けられたのは、第2次世界大戦中の英国。日本では1960年代の大阪・阪急電鉄梅田駅で、「急ぐ方のために左側を開けて」と放送したのが始まりという。東京ではバブル期に駅などで自然発生的に広がった。 斗鬼氏は、片側開けがなかなか見直されないことについて「『オー・モーレツ!』や『24時間戦えますか』がはやった時代の、速さ重視の価値観にとらわれている」と指摘。習慣が改まるには、強制ではなく安全性の理解や障害を持つ人への配慮など「利用者自身が立ち止まる必要性を認識することが必要ではないか」との見方を示した。 日本でエスカレーターが初登場したのは、1914年の東京大正博覧会だ。大阪万博には海外からの来場者も見込まれる。斗鬼氏は「立ち止まって利用するという、新しいスタンダードを世界に発信する機会になるかもしれない」と期待している。

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