Francesco Canepa Terje Solsvik[オスロ 24日 ロイター] - スイスのルツェルンにある湖畔の別荘でくつろぎながら、ボルガー・ボルゲンハウグさんは、孫たちや晴れた...
スイスのルツェルンにある湖畔の別荘でくつろぎながら、ボルガー・ボルゲンハウグさんは、孫たちや晴れた夏の夜に漂う北欧の海の香りを懐かしむ。写真はオスロの国会議事堂前。8月26日、オスロで撮影(2025年 ロイター/Tom Little) - スイスのルツェルンにある湖畔の別荘でくつろぎながら、ボルガー・ボルゲンハウグさんは、孫たちや晴れた夏の夜に漂う北欧の海の香りを懐かしむ。 大工から不動産王に上り詰めた同氏は、これはノルウェーの強化された富裕税から逃れるために払う代償だと語る。富裕税は毎年課せられる税金で、世界でも屈指の平等社会を支えてきた一方で、何百人もの億万長者を国外に流出させてきた。ノルウェーの富裕税の歴史は、1892年までさかのぼる。他人の納税申告書も閲覧できる透明性の文化もあって、ノルウェーは富裕層への課税強化をめぐる経験が、ほかの国よりはるかに長い。 そのモデルは、同様の施策の導入を検討している英国、フランス、イタリアといった国々や、ニューヨークのような都市に、一つの教訓を提供している。つまり、富裕税は一部の富裕層を国外へ追いやることになるが、十分広範囲に課税すれば、価値ある税収を得られるということだ。富裕税は個人の純資産にかかる。純資産が176万クローネ(約2715万円)から2070万クローネ(約3億1220万円)までの部分には、税率1%がかかる。2022年以降、それ以上の資産には1.1%を課すようになった。23年には、67万1639人が富裕税を納めた。国民のおよそ12%にあたる。ノルウェーを離れると、300万クローネを超える含み益に対して37.8%の「出国税」が課される。値上がりしているがまだ売却していない資産の含み益などがその対象となる。出国者が納税を無期限に先送りできる抜け穴は、24年に閉じられた。 制度の変更は、富裕層の動きも変え、それまで少しずつ続いていた国外流出は勢いを増した。保守系シンクタンク「シビータ」のデータによれば、資産が1000万クローネを超える居住者のうち、22年には261人、2023年には254人が出国した。いずれも税率引き上げ前までの典型的な水準の2倍を超える。 経済誌カピタルが毎年発表するノルウェー長者番付(400人)のうち、現在105人が海外に居住しているか、あるいは資産を国外在住の親族に移している。同誌に掲載された一部の富裕層の顔写真は、(富裕層に厳しい態度をとる)野党の小政党・社会主義左派党の事務所にある「恥さらしの壁」に貼り出されている。同国は石油・ガス産業からの収益をすべて政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)に繰り入れ、財政規律として、そこからの年間取り崩し上限額をファンドの時価総額の3%に制限している。富裕税の税収は富裕層の国外流出にもかかわらず増加しており、今では国内総生産(GDP)の0.6%に達する。これは無視できない規模だ。ちなみに、英国の労働党政権は、財政目標を達成するために同程度の規模の歳出削減を模索している。 ノルウェー統計局の調査によると、起業家は税金を支払うのに十分な現金を有しており、その負担は圧倒的に富裕層に集中している。別の研究では、この税金は、資産を眠らせずに、人的資本への投資を促進する可能性が示唆されている。「これらの知見は、富裕税が企業レベルでの投資や雇用を一刀両断的に妨げているわけではないことを示している」と、ノルウェー科学技術大学(NTNU)のロベルト・イアコノ教授は語る。労働党率いるノルウェー政府は、今後2年間で包括的な税制改革について大連立的な合意を得たい考えで、すべての政党に協議参加を呼びかけている。ただし、富裕税はいかなる形であれ存続させる、という条件がある。「この富裕税制度は、ノルウェーの企業が世界の競合と戦うことを難しくしている」と語るのは、魚油サプリメントで財を成し、最近スイスに移住したクヌート・エリク・カールセン氏だ。プリンストン大学の研究者クリスティン・ブランドル氏によれば、出国者の約4割がビジネスオーナーであり、最新の税制変更によってノルウェーの長期的な生産量は1.3%押し下げられる見通しだ。ほかの研究者も、富裕税が企業の業績を損なうとの予測を示している。富裕税は、とりわけスタートアップの創業者にとって痛みが大きい。まだ利益が出るはるか前から、保有する資本について納税しなければならないからだ。 アレ・トラスダール氏は、欧州のモバイル技術を米国で売り込むため、2000年にノルウェーを離れた。その後、複数のテック企業を創業し、売却した。その一つが、現在「iHeartRadio」として知られるアプリである。後継者は株式の支配権を握る前に移住することも多い。現在シンガポールに住むローレンス・オドフィエル氏は、もしノルウェーにとどまっていたら、リーマン・ショック後の景気後退期に一族の海運会社の支配権を失っていたかもしれないと振り返る。.
スイスのルツェルンにある湖畔の別荘でくつろぎながら、ボルガー・ボルゲンハウグさんは、孫たちや晴れた夏の夜に漂う北欧の海の香りを懐かしむ。写真はオスロの国会議事堂前。8月26日、オスロで撮影(2025年 ロイター/Tom Little) - スイスのルツェルンにある湖畔の別荘でくつろぎながら、ボルガー・ボルゲンハウグさんは、孫たちや晴れた夏の夜に漂う北欧の海の香りを懐かしむ。 大工から不動産王に上り詰めた同氏は、これはノルウェーの強化された富裕税から逃れるために払う代償だと語る。富裕税は毎年課せられる税金で、世界でも屈指の平等社会を支えてきた一方で、何百人もの億万長者を国外に流出させてきた。ノルウェーの富裕税の歴史は、1892年までさかのぼる。他人の納税申告書も閲覧できる透明性の文化もあって、ノルウェーは富裕層への課税強化をめぐる経験が、ほかの国よりはるかに長い。 そのモデルは、同様の施策の導入を検討している英国、フランス、イタリアといった国々や、ニューヨークのような都市に、一つの教訓を提供している。つまり、富裕税は一部の富裕層を国外へ追いやることになるが、十分広範囲に課税すれば、価値ある税収を得られるということだ。富裕税は個人の純資産にかかる。純資産が176万クローネ(約2715万円)から2070万クローネ(約3億1220万円)までの部分には、税率1%がかかる。2022年以降、それ以上の資産には1.1%を課すようになった。23年には、67万1639人が富裕税を納めた。国民のおよそ12%にあたる。ノルウェーを離れると、300万クローネを超える含み益に対して37.8%の「出国税」が課される。値上がりしているがまだ売却していない資産の含み益などがその対象となる。出国者が納税を無期限に先送りできる抜け穴は、24年に閉じられた。 制度の変更は、富裕層の動きも変え、それまで少しずつ続いていた国外流出は勢いを増した。保守系シンクタンク「シビータ」のデータによれば、資産が1000万クローネを超える居住者のうち、22年には261人、2023年には254人が出国した。いずれも税率引き上げ前までの典型的な水準の2倍を超える。 経済誌カピタルが毎年発表するノルウェー長者番付(400人)のうち、現在105人が海外に居住しているか、あるいは資産を国外在住の親族に移している。同誌に掲載された一部の富裕層の顔写真は、(富裕層に厳しい態度をとる)野党の小政党・社会主義左派党の事務所にある「恥さらしの壁」に貼り出されている。同国は石油・ガス産業からの収益をすべて政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)に繰り入れ、財政規律として、そこからの年間取り崩し上限額をファンドの時価総額の3%に制限している。富裕税の税収は富裕層の国外流出にもかかわらず増加しており、今では国内総生産(GDP)の0.6%に達する。これは無視できない規模だ。ちなみに、英国の労働党政権は、財政目標を達成するために同程度の規模の歳出削減を模索している。 ノルウェー統計局の調査によると、起業家は税金を支払うのに十分な現金を有しており、その負担は圧倒的に富裕層に集中している。別の研究では、この税金は、資産を眠らせずに、人的資本への投資を促進する可能性が示唆されている。「これらの知見は、富裕税が企業レベルでの投資や雇用を一刀両断的に妨げているわけではないことを示している」と、ノルウェー科学技術大学(NTNU)のロベルト・イアコノ教授は語る。労働党率いるノルウェー政府は、今後2年間で包括的な税制改革について大連立的な合意を得たい考えで、すべての政党に協議参加を呼びかけている。ただし、富裕税はいかなる形であれ存続させる、という条件がある。「この富裕税制度は、ノルウェーの企業が世界の競合と戦うことを難しくしている」と語るのは、魚油サプリメントで財を成し、最近スイスに移住したクヌート・エリク・カールセン氏だ。プリンストン大学の研究者クリスティン・ブランドル氏によれば、出国者の約4割がビジネスオーナーであり、最新の税制変更によってノルウェーの長期的な生産量は1.3%押し下げられる見通しだ。ほかの研究者も、富裕税が企業の業績を損なうとの予測を示している。富裕税は、とりわけスタートアップの創業者にとって痛みが大きい。まだ利益が出るはるか前から、保有する資本について納税しなければならないからだ。 アレ・トラスダール氏は、欧州のモバイル技術を米国で売り込むため、2000年にノルウェーを離れた。その後、複数のテック企業を創業し、売却した。その一つが、現在「iHeartRadio」として知られるアプリである。後継者は株式の支配権を握る前に移住することも多い。現在シンガポールに住むローレンス・オドフィエル氏は、もしノルウェーにとどまっていたら、リーマン・ショック後の景気後退期に一族の海運会社の支配権を失っていたかもしれないと振り返る。
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