「Let Me Google That For You」の進化版「Let Me ChatGPT That For You」の登場を機に、AIの出力をそのまま相手に渡す行為が、プロフェッショナルな場面で失礼にあたるという新たなマナーの問題について考察。AIの出力はあくまで出発点であり、自分の言葉で伝え、情報の正確性を確認することの重要性を説く。
2010年代、「Let Me Google That For You 」というウェブサイトが登場し、ちょっとした話題を集めた。このサイトの目的はただひとつ──「そんなこと、自分でググればいいのに」という皮肉をこめて、相手を軽くからかうことだった。 このサイトでは、誰かに質問されたときにカスタムリンクをつくって送ることができる。相手がそのリンクをクリックすると、Google 検索で質問を入力するアニメーションが再生されるのだ。つまり、このサイトは「そんなの、自分でググればいいじゃん」と言いたいだけのもの。ユーモラスではあるけれど、同時にかなり厳しいツッコミだ。 もちろん、状況によっては少しくらいの無礼も悪くない。例えば、SNSでわざと挑発的に、少し調べればわかるような質問をしてあなたの時間を浪費してくる人がいるなら──そんなときは、ちょっとした「受け身の攻撃」を楽しむくらい構わないだろう。 ただし、個人的な関係の中で「Let Me Google That For You」を使うのは、相手を尊重していないというサインであり、その質問自体も「時間の無駄だ」と伝えることになる。 でも、職場の同僚や友人があなたに質問してくるとき、それは「あなたの意見」を聞きたいから。 だからこそ、Google 検索結果ページを送るのではなく、あなた自身の言葉で答えるのが一番なのだ。 そして2025年のいま、「Let Me Google That For You」の運営者たちは、新たに「Let Me ChatGPT That For You」をつくった。もちろん、予想どおりの動きをする。そしてその存在は質問への返答として人工知能(AI)の出力をそのまま渡すことが、特にプロフェッショナルな場面では、どれほど失礼なことかという、新しいマナーの問題を示している。 “AI エチケット ”の基本 確かに、「自分でググれ」と言うのはスカッとすることもある。でも、それをいうことは助けにはならない。ChatGPTやClaude などの出力をそのままコピペしたり、スクリーンショットを送るのも同じだ──役に立たないし、失礼になる。 開発者のアレックス・マルツィノヴィッチは、以前自身のブログ記事「it’s rude to show AI output to people(人にAIの出力を見せるのは失礼だ)」のなかで、「礼儀正しくありたいなら、人間にAIのテキストをそのまま送るのはやめたほうがいい」と書いている。わたしはこの考え方に大賛成だ。マルツィノヴィッチはさらにこう続ける。「AIの出力を共有してよいのは、『自分の言葉として採用したとき』か、『相手が明示的に同意したとき』だけ。それこそが、AI エチケット の基本構造だと思う」 誰かがあなたに質問したのは、AIではなくあなた自身の視点を知りたかったからだ。インターネットは本来、人間同士がつながり、互いの知識を分かち合うためのもの。AIの出力をそのまま渡すのは、その本質的な関係を無視することになる。 ときにはわざと失礼にしたい場面もあるだろうが、やはりそれは失礼であることには変わらない。 間違いを広めないために AIの出力を共有するのが失礼な理由は、もうひとつある。それは、答えそのものが間違っている可能性があるということだ。 AIのモデルは日々進化している。それでも依然として(ときには笑えるほど)間違いをし続ける。 AIの回答をそのまま共有し、内容を自分で確認しないのは、誤情報を広めるリスクを伴う。 さらに悪いのは、AIの出力であることを明かさない場合、あなたがその情報の信頼性を保証しているように見えてしまうことだ。 ツールはあくまで出発点 もちろん、AIを使うこと自体が悪いわけではない。質問への回答を考えるためにAIを使っても構わない。ただし、Google 検索と同じで、「使うこと」がゴールではなく、あくまで「出発点」として捉えるべきだ。 わたしがAIをリサーチツールとして使うときは、一次情報を見つけ出すためだ。概要を聞くだけでなく、そのトピックに関する論文や記事を探してもらい、それを自分で読み、内容が正確かどうかを判断する。さらに、その情報にかかわる人々に直接問い合わせることもある。 わたしはジャーナリストとして、これを当然の調査手順だと考えている。編集者に記事中の記述について質問されたら、ChatGPTに聞くだけでは済まされない。一次資料、またはそれに近いものを探し、それを提示する。あなたの職業でも、同様の慎重さが求められるはずだ。 AIはリサーチの素晴らしい出発点になりうる。しかし、あなたの言葉には「出発点」の先にある素晴らしい何かがある。ツールは「自分の代わり」としてではなく、「自分の能力を活かすため」に使おう。 (Originally published on wired.
com, translated by Miranda Remington, edited by Mamiko Nakano) ※『WIRED』による人工知能(AI)の関連記事はこちら。 Related Articles AIの「脳」にも“腐敗”が起きる:研究結果 AIエージェントはフリーランス案件に不向き──新ベンチマークで明らかになった実力 AIがSTEM教育を静かに変えている 気鋭のAI研究者たちやユヴァル・ノア・ハラリが語る「人類とAGIの未来」。伝説のゲームクリエイター・小島秀夫や小説家・川上未映子の「創作にかける思い」。大阪・関西万博で壮大なビジョンを実現した建築家・藤本壮介やアーティストの落合陽一。ビル・ゲイツの回顧録。さらには不老不死を追い求める富豪のブライアン・ジョンソン、パリ五輪金メダリストのBガール・AMIまで──。未来をつくるヴォイスが、ここに。グローバルメディア『WIRED』が総力を結集し、世界を動かす“本音”を届ける人気シリーズ「The Big Interview」の決定版!!詳細はこちら。
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