「男子を伸ばす授業」と「女子を伸ばす授業」の違いは?数学に見る「別学」教員の驚きの工夫 男子は独自検定で競争、女子は科目横断で協働

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「男子を伸ばす授業」と「女子を伸ばす授業」の違いは?数学に見る「別学」教員の驚きの工夫 男子は独自検定で競争、女子は科目横断で協働
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男女平等社会の浸透とともに減少を続ける男子と女子に分かれて教育を行う別学校。ここ数年は少子化の影響もあり生徒募集に苦心する別学校の共学化の動きも出ている。新興の学校に別学校は見られず、現在も別学を貫く学校は伝統校が多い。長い年月をかけて学校を作り上げてきた別学校。少子化を迎えた今も安定した人気を維持している別学校には長年の教育で培った性差に合わせた指導の知恵がある。男子と女子の特性を生かした指導とはどのようなものなのか。数学教育を軸に、都内にある私立中高一貫校の本郷中学校・高等学校と田園調布学園中等部・高等部に話を聞いた。

「美術×数学」の授業にお邪魔すると、生徒たちにはデザイン定規(大きめの穴の歯車の中に小さな歯車を噛ませて回すことで、幾何学的な模様を描ける定規)が配られていた。教員が「まずはくるくると回して使ってみてください」と声をかけると、生徒たちは一斉に歯車を回しながら模様が生まれる様子を楽しんでいく。その後、教員が「これにはどんな法則があると思う?グループで話し合ってみよう」と促すと、すぐさま意見の出し合いが始まった。この教科横断型の授業を開発したのは、同校数学科教諭の細野智之氏だ。実は同授業は、東京理科大学が行っている『算数/数学・授業の達人』にて最優秀賞(2019年度)を受賞している。一見接点がなさそうにも思える美術と数学だが、一体どのようにして生まれたのだろうか。 「数学の反比例の単元では、教科書に歯車の回転数と歯の数の関係性について記載があります。当初はYouTube上の動画を見せたりしていましたが、生徒たちはどうもイメージしづらそうに見えたのです。そこで思いついたのが、デザイン定規を使った授業でした」 理数進学にも強いイメージがある田園調布学園だが、意外にも、小学生の時に算数が好きだった生徒の割合は低いという。細野氏は、中学で数学が嫌いにならないよう、楽しんでもらえる授業を作りたかったと話す。美術は好きだが数学は嫌いなど、教科にはそれぞれ好みがあるが、好きな教科と組み合わせれば授業に楽しさを見いだしやすくなる。好きな要素が少しでも足されることで、苦手意識を和らげる効果も見られていると細野氏は語る。美術のほかに、サイコロの出た目に従って作曲しながら確率を学ぶ「音楽×数学」、定規とコンパスだけを使ってオリジナルの家紋を作図する「歴史×数学」、数列の和の計算を使ってリボ払いについて学ぶ「家庭科×数学」の授業などが開発されている。使う教具も、前述のデザイン定規以外にもさまざまなものがあるという。時には、授業の導入に絵本を使うこともある。例えば、安野光雅の『ふしぎなたね』(童話屋)だ。作中の「ふしぎなたね」は、1粒食べると1年間はお腹が満たされるが、地面に埋めて育てれば、1年後に2粒の種を収穫できる。2粒のうち、1粒食べてもう1粒を埋めれば翌年も2粒収穫できるが、2粒とも埋めて翌年4粒を収穫して、1粒だけ食べて残りの3粒を植えると、翌年はどうなる…?と、話が続いていく。 「これは、数列の単元の漸化式で計算することができます。この絵本を読み聞かせして、今からやろうとしている式を使えばn年後の種の個数がわかるんだよ、とイメージしてもらうのです。これがもし男子生徒だったら、絵本の読み聞かせに食いつくかどうか……。女子生徒だから、興味関心を刺激できているような気もします」(細野氏) 女子校で20年間の数学指導歴を持つ細野氏は、女子生徒を数学嫌いにさせないための知恵をいくつも持っている。細野氏の経験では同校の場合、1人よりもグループで問題に取り組ませるほうが向いているという。その際、グループは気心知れた同級生が良いと考えているそうだ。前述の本郷 中学校 ・高等学校のように上級生が下級生に教える手法は、女子校では難しいかもしれないと話す。 女子の場合は、失敗しても大丈夫だと安心できる状況において学びが伸びやすく、そうした空間作りが大切になるそうだ。また、いきなり難しい問題を提示して挑戦させるよりも、スモールステップを踏んで段階的に着実に解いていける感覚をつけてもらうこともポイントだと言う。そのため、個々人に順位をつけたりクラス対抗にしたりはせず、あくまで同じ学年はチームとして、今の自分を乗り越え成長してくことを目標にするなど、なるべくリアルタイムでの競争を避けるように工夫しているそうだ。「あまり目立ちたくない」という意識が強い傾向もあるため、同校では定期テストの結果も順位を出さず、個人の点数と分布表(50点から60点のゾーンに何人いる、など)しか出していない。 田園調布学園の卒業生は、「女子校なので異性の目を気にせずに生活できて良かった」と口にすることが多いそうだが、中学生女子は異性に限らず、周りの目すべてが気になる面もあるのだろう。だからこそ、安心できる仲間と空間が大切になると、細野氏は語った。.

「美術×数学」の授業にお邪魔すると、生徒たちにはデザイン定規(大きめの穴の歯車の中に小さな歯車を噛ませて回すことで、幾何学的な模様を描ける定規)が配られていた。教員が「まずはくるくると回して使ってみてください」と声をかけると、生徒たちは一斉に歯車を回しながら模様が生まれる様子を楽しんでいく。その後、教員が「これにはどんな法則があると思う?グループで話し合ってみよう」と促すと、すぐさま意見の出し合いが始まった。この教科横断型の授業を開発したのは、同校数学科教諭の細野智之氏だ。実は同授業は、東京理科大学が行っている『算数/数学・授業の達人』にて最優秀賞(2019年度)を受賞している。一見接点がなさそうにも思える美術と数学だが、一体どのようにして生まれたのだろうか。 「数学の反比例の単元では、教科書に歯車の回転数と歯の数の関係性について記載があります。当初はYouTube上の動画を見せたりしていましたが、生徒たちはどうもイメージしづらそうに見えたのです。そこで思いついたのが、デザイン定規を使った授業でした」 理数進学にも強いイメージがある田園調布学園だが、意外にも、小学生の時に算数が好きだった生徒の割合は低いという。細野氏は、中学で数学が嫌いにならないよう、楽しんでもらえる授業を作りたかったと話す。美術は好きだが数学は嫌いなど、教科にはそれぞれ好みがあるが、好きな教科と組み合わせれば授業に楽しさを見いだしやすくなる。好きな要素が少しでも足されることで、苦手意識を和らげる効果も見られていると細野氏は語る。美術のほかに、サイコロの出た目に従って作曲しながら確率を学ぶ「音楽×数学」、定規とコンパスだけを使ってオリジナルの家紋を作図する「歴史×数学」、数列の和の計算を使ってリボ払いについて学ぶ「家庭科×数学」の授業などが開発されている。使う教具も、前述のデザイン定規以外にもさまざまなものがあるという。時には、授業の導入に絵本を使うこともある。例えば、安野光雅の『ふしぎなたね』(童話屋)だ。作中の「ふしぎなたね」は、1粒食べると1年間はお腹が満たされるが、地面に埋めて育てれば、1年後に2粒の種を収穫できる。2粒のうち、1粒食べてもう1粒を埋めれば翌年も2粒収穫できるが、2粒とも埋めて翌年4粒を収穫して、1粒だけ食べて残りの3粒を植えると、翌年はどうなる…?と、話が続いていく。 「これは、数列の単元の漸化式で計算することができます。この絵本を読み聞かせして、今からやろうとしている式を使えばn年後の種の個数がわかるんだよ、とイメージしてもらうのです。これがもし男子生徒だったら、絵本の読み聞かせに食いつくかどうか……。女子生徒だから、興味関心を刺激できているような気もします」(細野氏) 女子校で20年間の数学指導歴を持つ細野氏は、女子生徒を数学嫌いにさせないための知恵をいくつも持っている。細野氏の経験では同校の場合、1人よりもグループで問題に取り組ませるほうが向いているという。その際、グループは気心知れた同級生が良いと考えているそうだ。前述の本郷中学校・高等学校のように上級生が下級生に教える手法は、女子校では難しいかもしれないと話す。 女子の場合は、失敗しても大丈夫だと安心できる状況において学びが伸びやすく、そうした空間作りが大切になるそうだ。また、いきなり難しい問題を提示して挑戦させるよりも、スモールステップを踏んで段階的に着実に解いていける感覚をつけてもらうこともポイントだと言う。そのため、個々人に順位をつけたりクラス対抗にしたりはせず、あくまで同じ学年はチームとして、今の自分を乗り越え成長してくことを目標にするなど、なるべくリアルタイムでの競争を避けるように工夫しているそうだ。「あまり目立ちたくない」という意識が強い傾向もあるため、同校では定期テストの結果も順位を出さず、個人の点数と分布表(50点から60点のゾーンに何人いる、など)しか出していない。 田園調布学園の卒業生は、「女子校なので異性の目を気にせずに生活できて良かった」と口にすることが多いそうだが、中学生女子は異性に限らず、周りの目すべてが気になる面もあるのだろう。だからこそ、安心できる仲間と空間が大切になると、細野氏は語った。

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