「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」の脚本で知られ、監督デビュー作「さよならの朝に約束の花をかざろう」も高い人気を誇る岡田麿里。待望の監督2作目「アリスとテレスのまぼろし工場」が全国で公開されている。
キャラクターの芝居をどれだけアニメーションで表現するか、特に映画の前半の芝居の量が全然違いました。初見の特報第1弾からイメージした作画の方向性とは全然違っていた。この作画カロリー、とんでもないですよ(笑)。僕がPだったらコンテが上がった時点で「これは作り切れない」と言ってしまうと思います。すごかった。副監督が平松(禎史)さんになったことも大きく影響していると思います。「さよ朝」は副監督を篠原俊哉さんにお願いしてましたが、今回の平松さんはアニメーターでもある。その演出スタイルによってテイストが全然違ったものになっていると思います。初監督を経験した岡田さんが、自分のイメージするものを形にするために何を伝えればいいか。例えばスタッフの主張にブレーキをかけるのか、あるいはあえて挑発するのか。彼女が意図したかはわからないですが、「これを提示したら、あなたはどう調理してくれますか?」というスタッフが好むモチーフが、いろいろと入っているなと思いましたね。それがどんな結果を生むかを予想することは経験を積まないとできないことなんです。現場では演出に関する議論が何回もありました。それは岡田さんと平松さんだったり、平松さんとキャラクターデザインの石井(百合子)さんだったり、石井さんと美術監督の東地(和生)さんだったり。そういう人たちがすごくやる気を持って作ると、よい面はもちろんありますが、熱量が高い分議論は白熱しますね。でも議論できること自体がすごくうらやましい。コロナ禍以降、リモートの演出やスタッフが増えて、相手の主張に対しても、自分の意見をなかなかぶつけられない。議論を戦わせることができない現場が増えていることに危機感はありますね。それはもの作りとして健全じゃない。もちろん、議論は起こしたいけど、その末に現場が空中分解したらいけない。ルールとして「議論を戦わせよう、ただし監督の作りたいものを目指す」と決められたらいいですが、それはなかなか難しいこと。やっぱり人間なので、誰かに自分の意見を否定されれば尾を引いたりするじゃないですか。岡田監督の現場では、それで人間関係が終わらない。監督がまず人の意見をすごく大事にしてくれます。そこが岡田さんの魅力ですよね。誰に対しても「どう伝えると、どう感じるか」と、いつも考えていて。人を真面目に大切にする人だなと思いますね。人がどのように行き詰まって悩んでいるか。そういうのを見抜く力、人間観察力がすごいです。昔、会社の忘年会に岡田さんが来てくれたとき、若いスタッフの悩み相談を聞くお姉さんになってましたね(笑)。男性女性にかかわらず、初めて会う人でも懐にグッと入っていける。そこに周りの人たちも愛を感じるというか、自分を理解してもらえると思う。いっぱいあるんですけど、わかりやすく言うと、あの世界にできる“ひび割れ”ですね。誰も見たことがないし、正解がないもの。そこは岡田さんが頭の中で描いているものを実現するしかない。輪郭のキワの表現とか、イメージをヒアリングして、実際の絵にしていく。岡田さんが持っているビジョンはあるのですが、なかなか正解にたどり着けなかったです。一番時間が掛かっている部分で、最後の最後まで修正を重ねていました。.
キャラクターの芝居をどれだけアニメーションで表現するか、特に映画の前半の芝居の量が全然違いました。初見の特報第1弾からイメージした作画の方向性とは全然違っていた。この作画カロリー、とんでもないですよ(笑)。僕がPだったらコンテが上がった時点で「これは作り切れない」と言ってしまうと思います。すごかった。副監督が平松(禎史)さんになったことも大きく影響していると思います。「さよ朝」は副監督を篠原俊哉さんにお願いしてましたが、今回の平松さんはアニメーターでもある。その演出スタイルによってテイストが全然違ったものになっていると思います。初監督を経験した岡田さんが、自分のイメージするものを形にするために何を伝えればいいか。例えばスタッフの主張にブレーキをかけるのか、あるいはあえて挑発するのか。彼女が意図したかはわからないですが、「これを提示したら、あなたはどう調理してくれますか?」というスタッフが好むモチーフが、いろいろと入っているなと思いましたね。それがどんな結果を生むかを予想することは経験を積まないとできないことなんです。現場では演出に関する議論が何回もありました。それは岡田さんと平松さんだったり、平松さんとキャラクターデザインの石井(百合子)さんだったり、石井さんと美術監督の東地(和生)さんだったり。そういう人たちがすごくやる気を持って作ると、よい面はもちろんありますが、熱量が高い分議論は白熱しますね。でも議論できること自体がすごくうらやましい。コロナ禍以降、リモートの演出やスタッフが増えて、相手の主張に対しても、自分の意見をなかなかぶつけられない。議論を戦わせることができない現場が増えていることに危機感はありますね。それはもの作りとして健全じゃない。もちろん、議論は起こしたいけど、その末に現場が空中分解したらいけない。ルールとして「議論を戦わせよう、ただし監督の作りたいものを目指す」と決められたらいいですが、それはなかなか難しいこと。やっぱり人間なので、誰かに自分の意見を否定されれば尾を引いたりするじゃないですか。岡田監督の現場では、それで人間関係が終わらない。監督がまず人の意見をすごく大事にしてくれます。そこが岡田さんの魅力ですよね。誰に対しても「どう伝えると、どう感じるか」と、いつも考えていて。人を真面目に大切にする人だなと思いますね。人がどのように行き詰まって悩んでいるか。そういうのを見抜く力、人間観察力がすごいです。昔、会社の忘年会に岡田さんが来てくれたとき、若いスタッフの悩み相談を聞くお姉さんになってましたね(笑)。男性女性にかかわらず、初めて会う人でも懐にグッと入っていける。そこに周りの人たちも愛を感じるというか、自分を理解してもらえると思う。いっぱいあるんですけど、わかりやすく言うと、あの世界にできる“ひび割れ”ですね。誰も見たことがないし、正解がないもの。そこは岡田さんが頭の中で描いているものを実現するしかない。輪郭のキワの表現とか、イメージをヒアリングして、実際の絵にしていく。岡田さんが持っているビジョンはあるのですが、なかなか正解にたどり着けなかったです。一番時間が掛かっている部分で、最後の最後まで修正を重ねていました。