2021年に公開された映画『ベイビーわるきゅーれ』で映画初主演を果たした髙石あかりは、2025年だけでもドラマは日曜劇場『御上先生』、『アポロの歌』、Netflixシリーズ『グラスハート』、映画は『遺書、公開。』、『ゴーストキラー』、声優として『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』と、立て続けに出演している。そんな彼女に最新作『夏の砂の上』の撮影秘話や作品との向き合い方を聞いた。
松田正隆による戯曲を気鋭の演出家、玉田真也の監督・脚本で映画化した『夏の砂の上』。その舞台は、雨が降らない夏の長崎。主演に加え、共同プロデューサーも務めるオダギリジョーが演じる小浦治は、幼い息子を亡くした喪失感から働きもせずにふらふらしている。妻・恵子(松たか子)とは別居中だ。治の前に妹・阿佐子(満島ひかり)が現れ、17歳の娘・優子( 髙石あかり )をしばらく預かってほしいという。突如始まった治と優子の同居生活の中で、ふたりの乾いた心には少しずつ潤いが生じていく。 「映画を観た後、ひとりで泣きました」 ──『夏の砂の上』で演じた優子は、17歳特有の不安定さや儚さを持っていると同時に強い芯を感じさせます。 オーディションの前から優子のことを思い浮かべて、いろんなことを書き出していましたが、全然キャラクターを掴めなかったんです。でも、監督から「ありのままでやってください」と言っていただいて、その言葉を念頭にロケ地の長崎に行きました。長崎という土地やキャストやスタッフの方々のおかげで、自然と優子になれていった気がします。優子は相対する人によって見せる面が大きく違います。大人っぽかったり、子どもみたいにはしゃいだり、いろんな優子が存在する。母親とは距離があるので、精神的に自立して大人びているところもあれば、まだまだ未熟なところもあります。長崎で暮らすうちに少しずついろいろな感情を知っていったのかなと思いました。 ──プロデューサーでもあるオダギリさんとの共演は、いかがでしたか? 待ち時間もずっとお話ししていました。何てことはない話をただただずっとしていたように思います。オダギリさんは、私も含めて誰に対してもずっと敬語で話してくださって、分け隔てのないリスペクトを感じました。そういうところがとても心地よくて、「素敵だな」と思いました。 また、撮影に入る前に母親役を演じる満島ひかりさんとお会いする機会があったんです。「満島さんに初めてお会いするのだから緊張するだろうな」と思っていたら、ワクワクする気持ちの方が大きくて、自分でも驚きました。満島さんに限らず、いつかご一緒したいと思っていた方ばかり出演される作品なので、顔合わせのときもワクワクしていました。オーディションを受ける前の企画書にオダギリさんと松さんのお名前があったので、「どうしてもこの作品に出たい」と思っていたんです。私は演技に圧倒されると笑ってしまう癖があるのですが、試写で拝見したとき、自分もその場にいたにもかかわらず、皆さんのお芝居が素晴らしくてずっと笑ってしまうほどでした。そんな作品に出られたことをとてもうれしく思います。 ──今作への出演を通じて、何か変化したことはありますか? いつも台本を読んだり映画を観たときに、その作品が何を伝えたいかを考えるんです。はっきりとした正解を出すことも向き合い方のひとつだと思うんですが、『夏の砂の上』はそういう作品ではありません。明確なメッセージがあるわけではなく、私たちが普段送っているような淡々とした日常から生まれる寂しさやいろいろな感情を映し出していて、「それを見て何を思うか?」というような作品だと思います。きっと観た人それぞれが違う感覚を持つでしょうし、その感覚には名前がなかったりもすると思うんです。私は映画を観た後、なぜだかわからないけどひとりで泣きました。未だにあの涙が何だったのか、わからないんです。公開されたら映画館に行って観客として観たいと思っています。 ──登場人物は全員と言っていいほど傷や喪失感、痛み、虚無感などネガティブな感情を抱えています。共感する点はありましたか? 私は根が楽観的なこともあり、大きく共感することはなかったですが、大切な人とお別れすることは誰しも経験することだと思っています。この映画を観た後、「今の私はまだ空っぽだけど、最初に『夏の砂の上』を観たときの感覚を大事にしながらも、年齢や経験を重ねたときにまた観たら全然違う感覚になるんだろうな」と思いました。 ──自分が感じたことのない感情や感覚を表現する際、意識していることはありますか? 小さい頃から想像の世界に入ることが好きで、ひとりで「あんな風になったらどうなるんだろう」とか、いろいろなことを想像していました。簡単にイメージの世界に入れるというか。なので、もしかしたら人より繊細なイメージを想像できるのかもしれません。自分が持っていない感情の方が、振り切って演技できるように思います。もちろん私にも弱い部分はあるので、近しい部分は重ね合わせたりしています。 壁を越える楽しさ ──ヒロインを演じる2025年後期の朝の連続テレビ小説『ばけばけ』の撮影真っ最中だそうですが、今一番多く抱えている感情は何ですか? 「楽しい」だと思います。お芝居をすることがすごく楽しいです。『夏の砂の上』でオダギリさんとお芝居で通じ合えたこともそうですが、そういうことが感じられる瞬間はすごくワクワクしますし、「もっと与えたい」「もっと受け取りたい」という感覚になって楽しいです。どの作品も大変さはありますが、その大変さが好きなんだと思います。 ──高い壁を超えることに楽しさを感じるのですか? ワクワクします。その壁を超えられたときは、何ものにも代えがたい爽快感がありますし、困難や失敗することも好きです。 ──仕事をするうえで、「これだけは譲れない」と思っていることはありますか? 私はこれだけは譲れないといった感情をなくしたいです。たくさんの人が行き交う場所なので「こうだ」と思っているものを持ちすぎると、厳しいんじゃないかと。「こうなのかな」と思っているものがあったとしても、監督や皆さんとお話しをする中で柔軟に考えを変えるようにしています。ただ柔軟さを持っていても、さまざまなことに応えられる技量があるかどうかが重要でもあります。監督の考え方も、現場の雰囲気も、作品ごとに違うことを実感するようになり、ちゃんとした技量を持った上で、相手の意向とすり合わせすることが大事だと思うようになりました。 ──新しい役に出合うとどんな気持ちになりますか? 毎回ワクワクします。気持ちが下がることがあると「次の作品はどういう作品なんだろう?」とか、「こういうところが楽しみだな」と考えて、気分を上げています。 ──では髙石さんにとって一番怖いものは? 同じことを昔も聞かれたことがありますが、まったく思いつかないんです。ホラーも大丈夫ですし、お化け屋敷も平気です。怖いことって何だろう? 周りの人に何かが起こるのは怖いかもしれません。自分のことなら、何とかなると思ってしまうので。 ──「こんな人になりたい」という理想像はありますか? 自分の周りにいる人たちは、みんな素敵だと思います。その人たちのおかげで良い人間になれてきている気がします。周りへの感謝やリスペクトを常に持って生きていきたいです。 映画『夏の砂の上』 監督・脚本:⽟⽥真也 出演:オダギリジョー、髙⽯あかり、松たか⼦/満島ひかり/光石研 ほか 原作:松⽥正隆『夏の砂の上』 https://natsunosunanoue-movie.
asmik-ace.co.jp/ 問い合わせ/SEYA. online@seya.paris ロードス 03-6416-1995 Photographer: Houmi Sakai Stylist: Kenshi Kaneda Hair & Makeup: Aya Sumimoto Interview & Text: Kaori Komatsu READ MORE 池田エライザが映画『リライト』を通じて見つめた過去、そして未来 出口夏希の瑞々しさが光る、ピュアな青春映画『か「」く「」し「」ご「」と「』 「生きること死ぬことについて初めて考えた」──原菜乃華が小1で出合った、人生観を変えた1冊の絵本【FAB FIVE】 是枝監督がiPhone 16 Proで撮影! 仲野太賀が語る『ラストシーン』撮影の舞台裏 人生最良の日は? 高橋一生と井浦新が語る『岸辺露伴は動かない 懺悔室』 VOGUEエディターおすすめの記事が届く── ニュースレターに登録
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