京都大学基礎物理学研究所の白川雄貴氏(博士課程学生)と森前智行氏(准教授)、および、NTT社会情報研究所の山川高志氏(上席特別研究員兼京都大学基礎物理学研究所特任准教授)の研究グループは、量子コンピューターが従来型の古典コンピューターより高速であることを示す「量子超越性」の必要十分条件について、暗号理論の観点から世界で初めて証明した。日本電信電話株式会社(NTT)が6月23日に発表した。
京都大学基礎物理学研究所の白川雄貴氏(博士課程学生)と森前智行氏(准教授)、および、NTT社会情報研究所の山川高志氏(上席特別研究員兼京都大学基礎物理学研究所特任准教授)の研究グループは、量子コンピューターが従来型の古典コンピューターより高速であることを示す「量子超越性」の必要十分条件について、暗号理論の観点から世界で初めて証明した。日本電信電話株式会社(NTT)が6月23日に発表した。 量子コンピューターは、量子力学の基本原理である重ね合わせの性質(1つの量子ビットで「1」と「0」を同時に表現できる性質。これにより古典コンピューターには不可能な並列計算が可能で、処理の高速化も期待できる)を活用することで計算を行う技術で、古典コンピューターでは膨大な計算時間が必要だと考えられる困難な問題を高速に解く可能性が期待されている。しかし、全ての問題に対して量子超越性が存在するわけではなく、古典コンピューターの方が短い計算時間となる問題も存在する。 量子コンピューターの能力を生かすためには、「どのような条件の下で量子超越性が存在するのか」「量子超越性が存在するために何が必要か」といった問いへの明確な答えが不可欠だとされる。これまでにも、素因数分解の困難性などさまざまな条件が提示され、その条件のもとで量子超越性の存在が証明されてきたが、それらはあくまでも十分条件であり、それらの条件が本当に必要なのかについては、明確に理解されてはいなかったという。そして、量子超越性の必要十分条件を特定することに初めて成功したとしている。特に、近年の量子暗号の分野で提案されている、量子論の性質を活用した情報通信や古典コンピューターだけでは不可能な暗号機能の安全性(後述する非効率検証可能量子性証明)と、量子超越性の存在が等価であることを示しており、暗号機能が安全であれば量子超越性を示すタスクを構成することができ、量子超越性が存在するならば安全な暗号機能が構成できるとしている。同研究では、「非効率検証可能量子性証明」(IV-PoQ:Inefficient-Verifier Proofs of Quantumness)と呼ばれる量子計算機を持たない検証者が、量子計算機を持つ証明者とやりとりをすることで、相手が本当に量子計算能力を持っているかを検証できる仕組みに着目した。この仕組みが存在するための必要十分条件が、ある種の暗号機能の安全性に一致することを数学的に証明し、量子超越性と暗号の安全性が等価であることを示したという。 この成果をもとに、将来的な量子超越性の実証実験やさらなる理論研究が暗号理論的により強固な基盤のもとで進められることが見込まれるとしている。また、「もし量子超越性が存在しないのであれば、現在安全とされている多くの暗号機能の安全性が破綻してしまう」ことも意味しているとしており、量子計算機実現後にも安全に使用できる暗号の構成に向けた基盤理論への貢献も期待されるとしている。 同研究の成果は、6月27日に国際会議「57th Annual ACM Symposium on Theory of Computing」(STOC 2025)にて発表され、国際学術誌「Proceedings of the 57th Annual ACM Symposium on Theory of Computing」にオンライン掲載される。.
京都大学基礎物理学研究所の白川雄貴氏(博士課程学生)と森前智行氏(准教授)、および、NTT社会情報研究所の山川高志氏(上席特別研究員兼京都大学基礎物理学研究所特任准教授)の研究グループは、量子コンピューターが従来型の古典コンピューターより高速であることを示す「量子超越性」の必要十分条件について、暗号理論の観点から世界で初めて証明した。日本電信電話株式会社(NTT)が6月23日に発表した。 量子コンピューターは、量子力学の基本原理である重ね合わせの性質(1つの量子ビットで「1」と「0」を同時に表現できる性質。これにより古典コンピューターには不可能な並列計算が可能で、処理の高速化も期待できる)を活用することで計算を行う技術で、古典コンピューターでは膨大な計算時間が必要だと考えられる困難な問題を高速に解く可能性が期待されている。しかし、全ての問題に対して量子超越性が存在するわけではなく、古典コンピューターの方が短い計算時間となる問題も存在する。 量子コンピューターの能力を生かすためには、「どのような条件の下で量子超越性が存在するのか」「量子超越性が存在するために何が必要か」といった問いへの明確な答えが不可欠だとされる。これまでにも、素因数分解の困難性などさまざまな条件が提示され、その条件のもとで量子超越性の存在が証明されてきたが、それらはあくまでも十分条件であり、それらの条件が本当に必要なのかについては、明確に理解されてはいなかったという。そして、量子超越性の必要十分条件を特定することに初めて成功したとしている。特に、近年の量子暗号の分野で提案されている、量子論の性質を活用した情報通信や古典コンピューターだけでは不可能な暗号機能の安全性(後述する非効率検証可能量子性証明)と、量子超越性の存在が等価であることを示しており、暗号機能が安全であれば量子超越性を示すタスクを構成することができ、量子超越性が存在するならば安全な暗号機能が構成できるとしている。同研究では、「非効率検証可能量子性証明」(IV-PoQ:Inefficient-Verifier Proofs of Quantumness)と呼ばれる量子計算機を持たない検証者が、量子計算機を持つ証明者とやりとりをすることで、相手が本当に量子計算能力を持っているかを検証できる仕組みに着目した。この仕組みが存在するための必要十分条件が、ある種の暗号機能の安全性に一致することを数学的に証明し、量子超越性と暗号の安全性が等価であることを示したという。 この成果をもとに、将来的な量子超越性の実証実験やさらなる理論研究が暗号理論的により強固な基盤のもとで進められることが見込まれるとしている。また、「もし量子超越性が存在しないのであれば、現在安全とされている多くの暗号機能の安全性が破綻してしまう」ことも意味しているとしており、量子計算機実現後にも安全に使用できる暗号の構成に向けた基盤理論への貢献も期待されるとしている。 同研究の成果は、6月27日に国際会議「57th Annual ACM Symposium on Theory of Computing」(STOC 2025)にて発表され、国際学術誌「Proceedings of the 57th Annual ACM Symposium on Theory of Computing」にオンライン掲載される。
United States Latest News, United States Headlines
Similar News:You can also read news stories similar to this one that we have collected from other news sources.
NTTはNTTになったけど、NECは「日本電気」でいいのかな?:NEWS Weeky Top10NTTが「日本電信電話株式会社」から「NTT株式会社」に社名変更した記事が話題になった。このニュースで思いだしたのがNECだ。NECの正式な社名は「日本電気株式会社」。創立の1899年から、一時期を除いて変わっていない。
Read more »
ロボットとの交流が、幼児の利他的行動を促進することを発見、NTT日本電信電話株式会社(NTT)は5月13日、5歳児がロボットとの交流を経験することで、利他的行動が促進されることを発見したと発表した。今後の幼児教育を支える学習コンパニオンロボットの実現や、AIを活用できることを期待できるとしている。
Read more »
NTTら、400km離れたイチゴ農園で高精度の収穫を実現する制御技術を実証日本電信電話株式会社(NTT)、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、株式会社NTTアグリテクノロジーは5月12日、ネットワーク越しに約400km離れた遠隔地の圃場にある収穫ロボットを操作してイチゴを収穫する実証実験で、エッジコンピューティングの品質制御により、ネットワークの遅延が大きくなった場合でも高い操作性を維持できたことを発表した。
Read more »
量子コンピューターの“方式”は主に5つ──其の六【カーボンナノチューブ方式】C12量子コンピューターを開発するフランスのスタートアップC12は、かつて宇宙エレベーターの候補材料にもなった、日本生まれの先端材料カーボンナノチューブを使い、独自路線を開拓する。
Read more »
量子コンピューターの“方式”は主に5つ──其の七【シリコンスピン方式】Equal1従来の半導体技術を活用し、さらにはCPU・GPUとの連携によってHPC(高性能コンピューティング)やAIワークフローの大幅な加速を視野に入れるアイルランド発のEqual1。その勝ち筋は?
Read more »
NTTと上智大学、「6Gセンシング」に向けて前進する世界初の実証~携帯基地局を使って電波で人流を推定日本電信電話株式会社(NTT)と上智大学は、第6世代移動通信システム(6G)での導入が期待されるISAC(Integrated Sensing And Communication)の有効性の評価を目的とした、人物を検出する実証に世界で初めて成功したことを発表した。移動通信システムの電波の揺らぎから屋外の人流を推定する技術を商用電波で実証したのは、世界初だという。
Read more »
