国家存続を賭けて、予算半減という不可能なミッションに挑んだ「オペレーションZ」。あの挫折から5年、新たな闘いが今、始まる。防衛予算倍増と財政再建――不可避かつ矛盾する2つが両立する道はあるのか? 目前の危機に立ち向かう者たちを描くリアルタイム社会派小説!
我々日本海連合は、日本海沿岸の自治体が手を結び、地元の安全を確保するために結成されました。昨年、新潟県新発田市内に着弾しかけたミサイルは、北朝鮮が自爆装置を作動させなければ、確実に大きな被害を与えたはずだ。多くの市民が死傷しただろう。世界最大級の柏崎刈羽原発を抱えていることも加わり、恐怖はどんどん増幅している。今や、徹底した防衛線の一刻も早い実現を、多くの県民が望んでいた。当然、戸増知事は、繰り返し政府や総理に要望している。だが、政府の反応は鈍かった。それでも、大迫政権は、補正予算で最大級の対応をして、約500億円の対策費をひねり出した。それによって、まだ実験段階だった新型レーダーシステムを柏崎沿岸に設置できたのだ。今日の例会のために行われた事務局による事前ミーティングで、新潟県の担当者が「知事は、新発田市で起きたことを『全国民の自分事』にしたい、と繰り返して発言していますが、メディアの報道を見る限り、完全に空回りしています。所詮、新潟は地方都市。東京湾か都心にミサイルが落ちない限り、無理なんでしょうね」と自嘲気味に発言したのを、周防は否定できなかった。エネルギー安全保障、少子高齢化、労働力不足と外国人労働者移民問題、南海トラフによる大震災、そして、戦争に巻き込まれるリスク――。なのに、「一部の人が騒いでいるだけで、自分には影響はない」と考えている国民が圧倒的に多い。メディアの反応も鈍い。読者や視聴者を不快にさせる情報は、出すことを控えるという悪しき習慣にどっぷりと浸かっているせいだろう。壇上では、ゲストとして招かれた防衛省や財務省主計局の幹部が、次々と現状説明を行っている。だが、彼らの口からも、今日の成果を反映した対応が言及されることはなかった。 政府の事業は、常に年間の予算編成に縛られている。ある日突然飛来したミサイルによって地域住民が恐怖に襲われても、その恐怖を取り除く対応は、翌年度にならなければ実現しない。しかも、地元の不安を解消するにはほど遠い、僅かの額が割り振られるだけだ。.
我々日本海連合は、日本海沿岸の自治体が手を結び、地元の安全を確保するために結成されました。昨年、新潟県新発田市内に着弾しかけたミサイルは、北朝鮮が自爆装置を作動させなければ、確実に大きな被害を与えたはずだ。多くの市民が死傷しただろう。世界最大級の柏崎刈羽原発を抱えていることも加わり、恐怖はどんどん増幅している。今や、徹底した防衛線の一刻も早い実現を、多くの県民が望んでいた。当然、戸増知事は、繰り返し政府や総理に要望している。だが、政府の反応は鈍かった。それでも、大迫政権は、補正予算で最大級の対応をして、約500億円の対策費をひねり出した。それによって、まだ実験段階だった新型レーダーシステムを柏崎沿岸に設置できたのだ。今日の例会のために行われた事務局による事前ミーティングで、新潟県の担当者が「知事は、新発田市で起きたことを『全国民の自分事』にしたい、と繰り返して発言していますが、メディアの報道を見る限り、完全に空回りしています。所詮、新潟は地方都市。東京湾か都心にミサイルが落ちない限り、無理なんでしょうね」と自嘲気味に発言したのを、周防は否定できなかった。エネルギー安全保障、少子高齢化、労働力不足と外国人労働者移民問題、南海トラフによる大震災、そして、戦争に巻き込まれるリスク――。なのに、「一部の人が騒いでいるだけで、自分には影響はない」と考えている国民が圧倒的に多い。メディアの反応も鈍い。読者や視聴者を不快にさせる情報は、出すことを控えるという悪しき習慣にどっぷりと浸かっているせいだろう。壇上では、ゲストとして招かれた防衛省や財務省主計局の幹部が、次々と現状説明を行っている。だが、彼らの口からも、今日の成果を反映した対応が言及されることはなかった。 政府の事業は、常に年間の予算編成に縛られている。ある日突然飛来したミサイルによって地域住民が恐怖に襲われても、その恐怖を取り除く対応は、翌年度にならなければ実現しない。しかも、地元の不安を解消するにはほど遠い、僅かの額が割り振られるだけだ。
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