海保、自衛隊と連携いかに 海保と自衛隊の関係を「不断に強化する」ためには、海保だけでは対処が困難な「グレーゾーン事態」や「武力攻撃事態」も念頭に入れた、より実践的な連携が求められる。
海上保安庁の石井昌平長官は21日の記者会見で、政府が16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書を踏まえ、「法執行機関である海保の重要性が改めて確認された」との認識を示した。 海保の能力強化に関する新たな方針では自衛隊との連携が柱の一つになっている。石井長官は「自衛隊との間で、それぞれの任務と権限に応じた役割分担の下、さらなる連携強化を図っていく」と述べ、「警察機関として平和で豊かな海を守り抜く」と強調した。 21日は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで一時侵入した。中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは11月25日以来。同月には76ミリ砲を搭載した中国海警局の船も確認されており、石井長官は「依然として予断を許さない厳しい情勢だ」と語った。政府が閣議決定した国家安全保障戦略で、海上保安庁は安全保障上も不可欠の存在と位置付けられた。中国の軍事的脅威が強まる中、国境の最前線で日本の領土・領海を守る海保の重要性が増しているからだ。海保と自衛隊の関係を「不断に強化する」ためには、海保だけでは対処が困難な「グレーゾーン事態」や「武力攻撃事態」も念頭に入れた、より実践的な連携が求められる。 海保は「軍警分離」を明示した海保法25条で軍事的な任務に就くことが禁じられている。一方で国会議員の一部には警察機関の海保が武装した船舶に対処できるのかと疑問視する声があり、自衛隊との連携強化に際し、25条の見直しや有事にも対処可能な法改正論議に発展する可能性もくすぶっている。しかし、国家安保戦略の基本的な原則には海保の役割について「海上法執行機関である」と明記され、ある海保幹部は「海保の位置づけが改めて明確になった」と受け止めた。 元第3管区海上保安本部長の遠山純司(あつし)氏は「現行法制上の範囲内で自衛隊と連携していくことが示された」とし、法的な課題はないと指摘。海上保安行政に詳しい明治学院大准教授の鶴田順氏(国際法)も「海保と自衛隊の役割は異なる。海保による法執行活動を適切に位置づけ、外国勢力による主権侵害行為には自衛隊が確実に対処できるようにすべきだ」と話した。 海保は有事の際もあくまで非軍事的性格を保ちつつ、警察権の範囲で船舶の避難誘導や後方支援の任務に当たるとみられる。海保と自衛隊は平成28年以降、合同訓練を実施してきたが、これまで想定されてきたのは「有事」ではなく、治安維持を担う海保では対処が困難な事態。武器を持った漁民が離島に不法上陸するといった「グレーゾーン事態」だった。元海上保安監の伊藤裕康氏は「尖閣の領海警備では有事の際、海保から自衛隊にどこで切り替えればいいのか。そのタイミングを逸してしまうと対処措置が後手後手かつ困難になる」と強調。「あらゆる事態を想定し、現場部隊のみならず、政府一体となった連携訓練も重ねておくことが重要だ」と指摘した。(大竹直樹).
海上保安庁の石井昌平長官は21日の記者会見で、政府が16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書を踏まえ、「法執行機関である海保の重要性が改めて確認された」との認識を示した。 海保の能力強化に関する新たな方針では自衛隊との連携が柱の一つになっている。石井長官は「自衛隊との間で、それぞれの任務と権限に応じた役割分担の下、さらなる連携強化を図っていく」と述べ、「警察機関として平和で豊かな海を守り抜く」と強調した。 21日は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで一時侵入した。中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは11月25日以来。同月には76ミリ砲を搭載した中国海警局の船も確認されており、石井長官は「依然として予断を許さない厳しい情勢だ」と語った。政府が閣議決定した国家安全保障戦略で、海上保安庁は安全保障上も不可欠の存在と位置付けられた。中国の軍事的脅威が強まる中、国境の最前線で日本の領土・領海を守る海保の重要性が増しているからだ。海保と自衛隊の関係を「不断に強化する」ためには、海保だけでは対処が困難な「グレーゾーン事態」や「武力攻撃事態」も念頭に入れた、より実践的な連携が求められる。 海保は「軍警分離」を明示した海保法25条で軍事的な任務に就くことが禁じられている。一方で国会議員の一部には警察機関の海保が武装した船舶に対処できるのかと疑問視する声があり、自衛隊との連携強化に際し、25条の見直しや有事にも対処可能な法改正論議に発展する可能性もくすぶっている。しかし、国家安保戦略の基本的な原則には海保の役割について「海上法執行機関である」と明記され、ある海保幹部は「海保の位置づけが改めて明確になった」と受け止めた。 元第3管区海上保安本部長の遠山純司(あつし)氏は「現行法制上の範囲内で自衛隊と連携していくことが示された」とし、法的な課題はないと指摘。海上保安行政に詳しい明治学院大准教授の鶴田順氏(国際法)も「海保と自衛隊の役割は異なる。海保による法執行活動を適切に位置づけ、外国勢力による主権侵害行為には自衛隊が確実に対処できるようにすべきだ」と話した。 海保は有事の際もあくまで非軍事的性格を保ちつつ、警察権の範囲で船舶の避難誘導や後方支援の任務に当たるとみられる。海保と自衛隊は平成28年以降、合同訓練を実施してきたが、これまで想定されてきたのは「有事」ではなく、治安維持を担う海保では対処が困難な事態。武器を持った漁民が離島に不法上陸するといった「グレーゾーン事態」だった。元海上保安監の伊藤裕康氏は「尖閣の領海警備では有事の際、海保から自衛隊にどこで切り替えればいいのか。そのタイミングを逸してしまうと対処措置が後手後手かつ困難になる」と強調。「あらゆる事態を想定し、現場部隊のみならず、政府一体となった連携訓練も重ねておくことが重要だ」と指摘した。(大竹直樹)
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