20年以上に渡ってRPAツール「Autoジョブ名人」を提供してきたユーザックシステム。新バージョンの8.0で提供するのは、自動化とは異なる価値を提供する生成AI+RAGの機能だ。生成AI利用の敷居を下げる新機能の概要と、RPAとは異なる視点から生成AIを活用する狙いについて、ユーザックシステムの執行役員でプロダクト開発本部 本部長の山本和正氏と、プロダクト開発部 部長の榎木博敏氏に聞いた。
20年以上に渡ってRPAツール「Autoジョブ名人」を提供してきたユーザックシステム。新バージョンの8.0で提供するのは、自動化とは異なる価値を提供する生成AI+RAGの機能だ。生成AI利用の敷居を下げる新機能の概要と、RPAとは異なる視点から生成AIを活用する狙いについて、ユーザックシステムの執行役員でプロダクト開発本部 本部長の山本和正氏と、プロダクト開発部 部長の榎木博敏氏に聞いた。ユーザックシステムの「Autoジョブ名人」は国産のデスクトップ型RPAツール。RPAという言葉が生まれるはるか20年以上前に産声を上げ、業務の自動化に取り組んできたRPAの老舗だ。 Autoジョブ名人の特徴は、リスト型・フロー型のGUIツールを用いることで、プログラミングの経験のないユーザーでも「スクリプト」と呼ばれる自動化フローを作成できる点だ。また、HTMLタグを解析して操作対象を特定する仕組みにより、アプリケーションの画面構成が変わっても影響を受けにくく、安定した稼働が評価されている。さらに、「スクリーンレコーダー」と呼ばれる画面キャプチャ機能により、運用時のエラーも現場で迅速に対応できる。導入社数は大手企業・中小企業あわせて1400社を超え、特に受発注業務の自動化で効果を発揮している。たとえば、食品製造業のフランソアは100社近い取引先とWebEDI経由で受発注がある。日々、1社につき受注・出荷・受領と、3回もオペレーターによる操作が発生していた。この処理をAutoジョブ名人が自動化することで、月100時間の業務削減を実現し、残業ゼロに貢献したという。 このようにAutoジョブ名人は、生産性の向上やコスト削減、ワークライフバランスの最適化などにつながっており、ユーザーからの評価も高い。「BOXIL SaaS AWARD Spring 2025」では、ユーザーの口コミにより、RPAツール部門で「お役立ち度」と「使いやすさ」でNo.
1の評価を獲得している。 Autoジョブ名人は、業務の自動化を実現するRPAの開発版と実行版に加え、自動化の成果を可視化できる「Pixis Cloud」という管理サービスで構成されている。Pixis Cloudでは各端末にインストールされたRPAの実行状況を確認し実行指示を行う管理機能だけでなく、稼働状況から削減時間の可視化も行えるようになっている。さらに自動化シナリオをマーケットプレイスから利用できる「名人マーケット」、Autoジョブ名人の導入から活用までを無償で伴走支援する「カスタマーサクセスプラン」、ユーザーコミュニティの「名人+」などのサービス群も用意されている。製品のみならず、サービスと組み合わせることで、単なる自動化にとどまらない業務の効率化の先にあるビジネスメリットを実現するのがAutoジョブ名人になる。最新のAutoジョブ名人8.0では、Pixis Cloudに生成AI機能を追加した。RAGを用いることで、社内資料や過去の知見を検索できるという機能をWebブラウザで提供する。生成AI+RAGでAIに慣れ、今後来たるAIでRPAを管理する世界に備えるというのが、ユーザックシステムの方針だという。Pixis Cloudでは今回の機能強化で「AI社員」を作成する機能が用意されている。ここには「人事に詳しい」とか、「製品に詳しい」といったキャラクターを設定し、参照可能なファイルを登録することで、AIチャットでの検索を効率化する。「たとえば、社内規定やマニュアルに詳しいAI社員を作り、自動要約や問い合わせ対応を効率化するといった事例が考えられます」と山本氏は語る。また、「AIミーティング」の機能では、AI同士がテーマに基づいた模擬ディスカッションを実施する。異なる立場や性格を設定されたAI社員同士が同じテーマで議論を交わすことで、人間が検討すべき論点が見える化され、議事進行や意思決定もスムーズになるという。その他、Autoジョブ名人のマニュアルやノウハウなどは最初からRAGとして組み込まれているので、スクリプトの作成や改良に関する悩みは、生成AIからワンストップで解決できるとのことだ。ソフトウェア会社として長い歴史を持つユーザックシステムだが、Autoジョブ名人へのAI機能の実装は初めて。開発を担当した榎木氏は「AIの回答精度をどのレベルまで保つかがカギでした。業務での利用の仕方も既存のAutoジョブ名人と異なるので、社内のメンバーに使ってもらい、どれだけの精度があればストレスなく使っていただけそうなのかを評価しながら開発しました」と語る。RPA機能の強化だけではなく、RAGを用いた生成AI機能を追加した狙いは、前述した自動化にとどまらない業務の効率化が重要だと考えたからだ。榎木氏は、「他のRPAベンダーは、RPAのスクリプト開発を生成AIで効率化するというアプローチですが、弊社は生成AI自体を活用してもらうという方向性で機能開発しました。RPAによる定型業務の自動化以外にも、業務の効率化が実現できると思い、こうした生成AI機能を実装しました。なお、Autoジョブ名人においても、近い将来にはスクリプト開発を生成AIで支援する機能の提供を予定しており、さらなる開発生産性の向上を目指しています」と語る。トークン課金部分のみで生成AIが利用できるため、コスト的にもお得だという。 その背景には、業務現場での生成AI活用がまだ定着途上にあるという、業界全体の状況がある。この状況を踏まえ、榎木氏は「中小企業のお客さまはまだ生成AIを業務で積極的に使っているわけではない。もう一押しほしいという声に応えて、生成AIを使ってもらいやすくしました。まずは使っていただくことで、新しい業務改善の視点を見つけていただければと考えています」と語る。 リリースセミナーでは、「AIチャット機能に期待する」「AIとRPAの組み合わせでこれまでよりも成果が出そう」「AIチャット機能で開発支援の初学者から問い合わせが減る」「RPA側のAIによるスクリプト自動生成にも今後期待」など期待の声も出たという。今後は生成AIを用いた自然言語によるRPA開発やエラー改善の実装にもチャレンジしていくとのことだ。
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