富士山麓の芸術祭、今年のテーマは「糸への回帰」|Pen Online

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FUJI TEXTILE WEEK 2023富士山麓の山梨県富士吉田市で2021年にスタートしたフジテキスタイルウィーク。テキスタイルとアートが融合する国内唯一の布の芸術祭が第3回を迎える。 写真の旧...

富士山麓に位置する山梨県富士吉田市は、1000年以上の歴史をもつ織物産地。経済のグローバル化のなかで生産量は落ち込んだものの、その確かな技術はいまも健在だ。そんな地場産業とアートを結びつけた芸術祭が、2021年にスタートした『フジテキスタイルウィーク』だ。 極細の絹糸を織りあげ、薄手でありながらハリのある独特なテクスチャー、光沢のある色合いを特徴とする「甲斐絹(かいき)」と呼ばれる織物がかつての富士吉田の特産物だった。甲斐絹の魅力を見直し、アップデートして復活させるべく地元の機屋が手を取り合うなど、産業の復興に向けた地元の動きをこの芸術祭が勢いづける。「甲斐絹座」でつくる商品の一部。ネクタイ、座布団、傘などが販売されている。芸術祭の会期中には、デザイン展で生地のアーカイブが展示される。コンセプトは“布の芸術祭”。参加アーティストが地元の機屋の素材や技術を用いて作品を手がける「アート展」と、現地の技術やプロダクトを紹介する「デザイン展」の2部で構成される。これまでに大巻伸嗣、今井俊介、落合陽一など著名なアーティストたちが参加してきた。発起人を務める八木毅は次のように語る。 「アートの力が場の雰囲気を一変させ、普段とは異なる緊張感や刺激が地域にもたらされることを過去2回で実感した。蓄積されていた織物産業の記憶がアートによって呼び起こされ、各地からの来場者とのコラボレーションも含め、新たな創造が生まれています」「地元の産業や歴史と、現代アートが結びついた地方芸術祭は日本ではこれが唯一でしょう。地域の技術や歴史がアートとしてストーリー化されると、その解釈から新たな発想や創造が生まれる。アートのそうした可能性と地元の経済活動が結びついたフジテキスタイルウィークは、他の地域へのヒントにもなるはず」 富士吉田にやってきたアーティストから制作イメージを聞き取り、機屋とのマッチングをサポートするのが山梨県産業技術センター繊維技術部で主幹研究員を務める五十嵐哲也。富士吉田のテキスタイルの伝統と、それぞれの機屋の技術を熟知する芸術祭キーパーソンのひとりだ。コラボレーションしたワタナベ テキスタイルの渡邊竜康は、ファッションブランドへの生地の提供や生地デザインも行っている。建築設計からキャリアを開始し、写真家としての顔ももつ。 ジャカード織による着物の帯づくりに始まり、先代はおもにスーツの袖裏などに使われるキュプラの先染め裏地を製造してきた渡邊織物。3代目の渡邊竜康は5〜6年前よりキュプラ以外にもテクスチャーの異なる生地を制作するようになり、Watanabe Textileの屋号を立ち上げアパレルブランドなどと協働で生地制作を行うようになった。テキスタイルデザイナーの安東陽子が参加した昨年の芸術祭では、安東の「経糸を生かした空間作品を制作したい」という想いが渡邊の手がけた生地でかたちになった。渡邊はこう語る。 「空間作品のイメージスケッチを安東さんから見せていただいて、デザインの意図を共有してから、生地の製作に関しては信頼して任せていただきました。また作品のイメージとして、蔵の暗い空間に、白くて細いキュプラの経糸が浮遊し、床に植物が絡みつくようなイメージで糸が突き抜けていく、生命体のようなストーリーを伺いました。安東さんは何度も富士吉田を訪れてくださり、時間帯による蔵の明るさの変化などを確認するなど、コミュニケーションを重ねながら制作が進みました」アーティストの児玉麻緒が植物をモチーフにペインティング。その作品をインスピレーション源としてふたりの織物職人が独自の個性を発揮してテキスタイルを制作するコラボレーションを実施した。児玉麻緒『在る織る』 撮影:吉田周平 2021年に参加した児玉麻緒のオーダーは、児玉のペインティング作品をテキスタイルで再現することでも、児玉のリクエストに沿った織物を制作することでもない。おもに傘の生地を制作する舟久保織物の舟久保勝と、ドレスや舞台衣装を手がける宮下織物の宮下珠樹に、ペインティング作品をインスピレーションソースとして「自由にテキスタイルをつくってほしい」とリクエストした。奇しくもふたりは、児玉が植物を描いた作品の黒色に着目した。しかし表現はまったく異なる。 「白を組み合わせることによって黒の質感を強調する」ことを意図した舟久保は、上の展示写真の左手に写る作品を制作。一方の宮下は、「フィルムのラミネートを生地にあわせて油絵のテカリを出し、織り込んだ部分にはマットな黒を表現し、油絵の複数の黒を1枚のテキスタイルに表現した」。写真右手の黒い彫刻を連想させるような作品だ。それぞれの技術と表現力に裏打ちされたテキスタイル作品が児玉のペインティングとともに展示され、薄暗い蔵の空間で呼応した。富士山を背景にした昭和レトロな街並みを歩き、ぜひ唯一無二の“布の芸術祭”を体験してほしい。アートを通して産業技術の可能性を発見すると同時に、ここに集う多彩な人間たちの交流によって、面白いことがうごめいている街の新たな息吹を感じるだろう。いま目が離せない街だ。.

富士山麓に位置する山梨県富士吉田市は、1000年以上の歴史をもつ織物産地。経済のグローバル化のなかで生産量は落ち込んだものの、その確かな技術はいまも健在だ。そんな地場産業とアートを結びつけた芸術祭が、2021年にスタートした『フジテキスタイルウィーク』だ。 極細の絹糸を織りあげ、薄手でありながらハリのある独特なテクスチャー、光沢のある色合いを特徴とする「甲斐絹(かいき)」と呼ばれる織物がかつての富士吉田の特産物だった。甲斐絹の魅力を見直し、アップデートして復活させるべく地元の機屋が手を取り合うなど、産業の復興に向けた地元の動きをこの芸術祭が勢いづける。「甲斐絹座」でつくる商品の一部。ネクタイ、座布団、傘などが販売されている。芸術祭の会期中には、デザイン展で生地のアーカイブが展示される。コンセプトは“布の芸術祭”。参加アーティストが地元の機屋の素材や技術を用いて作品を手がける「アート展」と、現地の技術やプロダクトを紹介する「デザイン展」の2部で構成される。これまでに大巻伸嗣、今井俊介、落合陽一など著名なアーティストたちが参加してきた。発起人を務める八木毅は次のように語る。 「アートの力が場の雰囲気を一変させ、普段とは異なる緊張感や刺激が地域にもたらされることを過去2回で実感した。蓄積されていた織物産業の記憶がアートによって呼び起こされ、各地からの来場者とのコラボレーションも含め、新たな創造が生まれています」「地元の産業や歴史と、現代アートが結びついた地方芸術祭は日本ではこれが唯一でしょう。地域の技術や歴史がアートとしてストーリー化されると、その解釈から新たな発想や創造が生まれる。アートのそうした可能性と地元の経済活動が結びついたフジテキスタイルウィークは、他の地域へのヒントにもなるはず」 富士吉田にやってきたアーティストから制作イメージを聞き取り、機屋とのマッチングをサポートするのが山梨県産業技術センター繊維技術部で主幹研究員を務める五十嵐哲也。富士吉田のテキスタイルの伝統と、それぞれの機屋の技術を熟知する芸術祭キーパーソンのひとりだ。コラボレーションしたワタナベ テキスタイルの渡邊竜康は、ファッションブランドへの生地の提供や生地デザインも行っている。建築設計からキャリアを開始し、写真家としての顔ももつ。 ジャカード織による着物の帯づくりに始まり、先代はおもにスーツの袖裏などに使われるキュプラの先染め裏地を製造してきた渡邊織物。3代目の渡邊竜康は5〜6年前よりキュプラ以外にもテクスチャーの異なる生地を制作するようになり、Watanabe Textileの屋号を立ち上げアパレルブランドなどと協働で生地制作を行うようになった。テキスタイルデザイナーの安東陽子が参加した昨年の芸術祭では、安東の「経糸を生かした空間作品を制作したい」という想いが渡邊の手がけた生地でかたちになった。渡邊はこう語る。 「空間作品のイメージスケッチを安東さんから見せていただいて、デザインの意図を共有してから、生地の製作に関しては信頼して任せていただきました。また作品のイメージとして、蔵の暗い空間に、白くて細いキュプラの経糸が浮遊し、床に植物が絡みつくようなイメージで糸が突き抜けていく、生命体のようなストーリーを伺いました。安東さんは何度も富士吉田を訪れてくださり、時間帯による蔵の明るさの変化などを確認するなど、コミュニケーションを重ねながら制作が進みました」アーティストの児玉麻緒が植物をモチーフにペインティング。その作品をインスピレーション源としてふたりの織物職人が独自の個性を発揮してテキスタイルを制作するコラボレーションを実施した。児玉麻緒『在る織る』 撮影:吉田周平 2021年に参加した児玉麻緒のオーダーは、児玉のペインティング作品をテキスタイルで再現することでも、児玉のリクエストに沿った織物を制作することでもない。おもに傘の生地を制作する舟久保織物の舟久保勝と、ドレスや舞台衣装を手がける宮下織物の宮下珠樹に、ペインティング作品をインスピレーションソースとして「自由にテキスタイルをつくってほしい」とリクエストした。奇しくもふたりは、児玉が植物を描いた作品の黒色に着目した。しかし表現はまったく異なる。 「白を組み合わせることによって黒の質感を強調する」ことを意図した舟久保は、上の展示写真の左手に写る作品を制作。一方の宮下は、「フィルムのラミネートを生地にあわせて油絵のテカリを出し、織り込んだ部分にはマットな黒を表現し、油絵の複数の黒を1枚のテキスタイルに表現した」。写真右手の黒い彫刻を連想させるような作品だ。それぞれの技術と表現力に裏打ちされたテキスタイル作品が児玉のペインティングとともに展示され、薄暗い蔵の空間で呼応した。富士山を背景にした昭和レトロな街並みを歩き、ぜひ唯一無二の“布の芸術祭”を体験してほしい。アートを通して産業技術の可能性を発見すると同時に、ここに集う多彩な人間たちの交流によって、面白いことがうごめいている街の新たな息吹を感じるだろう。いま目が離せない街だ。

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