大きないびきは病気のサインかも? 睡眠専門医に原因と対策を訊いた

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大きないびきは病気のサインかも? 睡眠専門医に原因と対策を訊いた
健康医療Mamiko Nakano
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パートナーに別室を提案されるほどのいびきは、心疾患や脳細胞の損傷につながる睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれない。実は危険ないびきの兆候と、止めるための効果的な対策を、睡眠専門医3人に訊いた。

いびきの音を聞きながら寝るのを好む人はいない。ラジオから低音で流れるBGMやシーリングファンのホワイトノイズとは違い、いびきは睡眠の妨げになる。もしあなたがいびきをかくのなら、ベッドからソファへと追いやられてしまう可能性さえある。 睡眠時無呼吸症候群(SAS。Sleep Apnea Syndrome)の患者は、いびきをかく場合が多い。2023年に実施されたSAS患者を対象とした調査によれば、患者の41%(主に男性)が、いびきのせいでパートナーと寝室を分けているという。実際、SASに起因する一番の不満として、「配偶者と同じベッドに寝られない」が挙げられている。朗報は、治療後に72%のカップルが再び同じ寝室で眠るようになったという結果があることだ。 すべてのいびきがSASに関連しているわけではないが、現状、いびきをかくのは男性が多いとされている。あなたがいびきをかく男性4割の一人であっても、そこから抜け出すことは可能だ。いびきを止めるにはどうしたらいいのか。『GQ』は睡眠の専門医3人に取材し、よく行われているいびき対策を評価してもらった。 「いびきは──私たち睡眠医は『睡眠呼吸障害』と呼びますが──症状の強さがスペクトル状になっています」と、睡眠医学を専門とするシカゴ大学の神経科医ケネス・J・リーはいう。「このスペクトルの一端には睡眠中にまったく音を立てない人がおり、もう一端にはSASがあります」 いびきは気流が妨げられることで起こる。ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院神経学科の睡眠医学部門長フィリス・C・ジーは「いびきとは、鼻または口から喉を経て肺へ至る乱流の症状です」と説明する。「すべてが上気道の問題です」 人がいびきをかくのは、上気道の一部が狭窄するからだ。「喉での狭窄のこともありますが、もっと可能性が高いのは(口腔内で)舌の位置が下がり、空気の通り道が狭くなることです」とジー。いびきの音は、部分的に狭くなった気道を空気が通過するときに喉や口の後方の軟組織が振動することで発生するという。 目が覚めている人にとっていびきの音は煩わしい。しかし、寝ている本人にとってのほうが事態は深刻なのだと医師は指摘する。 アリゾナ大学行動睡眠医学クリニックでディレクターを務めるマイケル・グランドナーは、つぎのように語る。「いびきの主な健康への影響は、実はいびきそのものによるものではありません。就寝時の呼吸困難はさまざまな健康問題につながり得るのですが、いびきがその指標となるので、注意が必要なのです」 なかでもSASは最も深刻で、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる状態だとグランドナーは説明する。SAS患者全員がいびきをかくわけではないが、いびきをかく人が大多数を占める。3人の医師は、SASを見過ごしてはならないと口をそろえる。 「SASを放置すると、心疾患や、脳細胞へのダメージ、意欲低下や倦怠感など多くの健康問題につながりかねません」とグランドナー。 つまりSASの症状があると、質のよい睡眠はとりにくくなる。ジーによると、呼吸の乱れによって夜中に目が覚めることは珍しくない症状だ。乱れがほんの短時間だと見過ごされがちだが、良質な睡眠を妨げることに変わりはない。こうしてSASは意欲や気分に影響を及ぼしていく。 SASなのか、単に大きないびきをかいているのかの判断は難しい、とリーは指摘する。一緒に寝ている人が、あなたが夜中に呼吸を整えようと目覚めたり、ずっとあえいだりしていることに気づいたなら、それはSASのサインかもしれない。ひとりで寝ているのであれば、睡眠検査を受けるのがいいだろう。 SASでなくとも、いびきが歯の衛生などの健康への悪影響を与える可能性もある。 「いびきをかくときは口が開いているため、歯の周りが乾燥してしまいます」とジーは説明する。唾液は歯を腐食から守り、食べかすや有害な細菌を洗い流す働きがあるため、口の乾燥は虫歯リスクを高めてしまうのだ。 いびきの音そのものも、特に同じ寝室にいる人の健康を害する。「うるさいいびきは、バスやトラックのエンジン始動音を1メートル足らずの距離で聞きながら寝ているようなものです」とジー。極端な場合、いびきをかく本人も、一緒に寝ている人も聴力に障害が出ることさえあり得る。オーストラリアのアデレードの医師による2023年の研究によると、いびきの最大音量は、掃除機の騒音と同等の80デシベルに達することもあるという。 いびきをかく頻度が少ないのであれば、アルコールやアレルギー、病気が原因の可能性が考えられ、SASのような深刻な問題ではないとリーは述べる。一方ジーは、週3回以上うるさいいびきをかくことがあり、日中の疲労感や記憶障害があるならば、医師に相談すべきだと付け加える。 これらを踏まえると、いびきを効果的に止めることができれば、本人の健康も、一緒に寝ている人の健康も改善できるということになる。 いびきを止めるには多種多様なやり方がある。単に寝る姿勢を変えるだけで済むこともあるし、就寝中に無呼吸を防止するCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)装置の着用など、より本格的な治療を要する場合もある。睡眠専門医がランク付けした、最も一般的ないびき対策と、それぞれの方法がどんな症状の人に効果的なのかを示すガイドラインを、10段階評価で以下にまとめた。 評価:0/10 口を開けて寝るといびきをかくのであれば、口をテープで塞いでしまったら? これはTikTokで人気の方法だが、グランドナーとリーは警鐘を鳴らす。いびき予防効果の根拠はなく、そこまで空気の流れを阻害すると呼吸が浅くなり、息苦しさで目覚めたり、稀に窒息することもあり得ると指摘する。 評価:2/10 3人の医師全員が、SAS患者やいびきの音がうるさい人だと、市販の鼻腔拡張テープでいびきを完全に止めることはできないと言う。だが、リーによると、鼻腔拡張テープは鼻の中の空気の通り道を広げるため、軽度ないびきであれば役立つ可能性がある。つまり、鼻腔内の気流の改善には有効だが、深刻な気道の狭窄への効果は期待できない。 評価:3/10 枕を入れて上半身を起こすだけでいびきを解消できるのか? 逆流性食道炎には有効かもしれないが、いびき対策としてはほとんど効果がないと睡眠専門医は指摘する。リーは、上半身を高くすることで空気の流れがやや改善されるかもしれないが、ほとんどの人にとっていびき対策の決め手としては不十分だという。 評価:5/10 仰向けに寝る習慣がある人ならば、横向き寝にすることがいびき軽減にある程度有効だと、3人の医師たちは言う。「仰向けだと、気道が塞がれやすい角度になってしまうことがあります。横向きだと、気道が開いた状態を維持しやすくなります」とグランドナー。効果が最も大きいわけではなく、誰にでも効果があるものではないと医師はいうが、試す価値のある対策だ。 評価:5/10 「特に首回りが太っていると就寝中に気道が圧迫され、開いた状態が維持しにくくなります」とグランドナー。体重が減れば圧迫も軽減され、いびきが改善するというわけだ。ただし、ジーとリーが強調するように、この方法には大きな前提がある。それは、これが有効なのは、医学的に肥満の人が大幅に減量した場合(体脂肪の10~20%)に限られることだ。数キロの減量に効果は期待できないし、肥満でない場合も同様だ。 評価:6/10 電子タバコをやめよう。喫煙はSASの症状を悪化させかねない。煙が上気道を刺激して炎症を起こし、気道が開いた状態を保ちにくくなると、グランドナーは説明する。症状を悪化させるものの、必ずしもいびきの原因となるわけでも治すわけでもない。そのため、睡眠専門医の評価は中庸である。 評価:8/10 晩酌の習慣があるなら、ノンアルコール飲料に切り替えることで、いびきを抑えられるかもしれない。ジーの説明によると、アルコールが首や喉の筋肉を弛緩させることで気道が狭まり、呼吸時の振動(つまり、いびき)を引き起こす。アルコールはREM睡眠に悪影響を及ぼしてしまう。 評価:10/10 CPAPの装置を使うのは、SAS患者にとって究極のいびき対策だ。「有効ですが、いびきに悩む人なら誰でも処方されるものではありません」とリーはいい、SAS患者専用であることを強調する。グランドナーは「CPAPは空気のクッションを作って気道が塞がるのを防ぎます。最も効果的なSAS治療法で、いびきを軽減するか、完全に解消します」と説明する。 CPAPは扱いが面倒で慣れるまでに時間を要するかもしれないが、種類が豊富で、想像されがちなダース・ベイダーのようなものばかりではないと3人の医師はいう。ただし、使用に忍耐が必要なことは否定できない。リーによると、熟睡感や活力の回復を感じるまでに、大抵3カ月から6カ月要するという。 これらに加え、重度のSASには手術という選択肢もあるとリーはいう。「その一つが舌下神経電気刺激療法(HNS)と呼ばれる手術で、舌を動かす神経を睡眠中に刺激するデバイスを埋め込みます。リモコンでスイッチを入れ、舌の動きを制御し、舌を前方に移動させる仕組みです」。 また、ジーによれば、舌の運動(口腔筋機能療法、MFT)もいびきを軽減できる可能性があるという。「舌の筋肉を強化し、舌が睡眠中に下がらないように日中に訓練するものです」 寝る姿勢を変えたり、飲酒を控えたりと試行錯誤するのも悪くはないが、本格的ないびき対策には睡眠専門医の診察が欠かせない。3人の睡眠専門医は、いびきをかくのであればSASかどうかを調べるためにも、とにかく一度検査するのがいいという。もしSASだったなら、効果的な治療法を一緒に探していくべきだからだ。いびきは一緒に寝る人を苛立たせる程度かもしれないが、SASは健康を脅かす。専門的な助けを得れば、より楽に、そして静かに呼吸できるようになる。 From: GQ.

COM By Emily Laurence Translated and adapted by Fraze Craze

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