スーパーバンタム級4団体統一チャンピオン井上尚弥が、WBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフとの防衛戦を前に、本来のボクシングを見せる決意を表明。強引な試合ではなく、技術とディフェンスを活かした戦いを展開する。ボクシング界の未来を見据え、次世代育成への思いも語った。
本来の 井上尚弥 の ボクシング バチッ、バチンッという破裂音に思わず怯んだ。何というジャブのスピードだ。神奈川県横浜市の大橋 ボクシング ジムに集まった100人ほどの報道陣を前にミット打ちを披露する スーパーバンタム級 4団体統一チャンピオンの 井上尚弥 がリングサイドで見学するこちら側に踏み込んでくる迫力に思わずのけ反る。そして連続のジャブから、「ハッハッハッハッ!」と発しながらの4連打を見せると、「オーッ」と声を漏らしてしまった。 これが、ジェイミー・マクドネルをはじめ、敗者たちが「凄まじい威力」と評してきた、絶対王者のパンチか! 初めて練習を間近で見学する筆者は、周囲の番記者たちの沈黙をよそに、ついついリアクションが大きくなってしまう。 「キャリア最大の難敵だと思います」 WBA同級暫定王者 ムロジョン・アフマダリエフ (ウズベキスタン)との 防衛戦 を12日後に控えた9月2日、 スーパーバンタム級 4団体統一チャンピオンの 井上尚弥 は、報道陣から相手の印象を訊かれ、短く応えた。王者の真正面に立つ筆者は、思わずチャンピオンの顔を見つめてしまった。無敗の王者にもついにその時が来てしまうのか、と不安な気持ちが込み上げる。 「毎度言ってるんですけど、今回は過去イチというか。スパーリングパートナーを含め、全体的にすごくいい内容でここまでトレーニングを積めてきた。充実した練習ができています」 本人は「唯一、アフマダリエフの怖い点はフィジカル面、パワー面」と分析するが、挑戦者への警戒レベルは、強打やテクニック、タフネスなど、それぞれに特徴をもつサウスポー5選手をスパーリングパートナーに選んだことからも明らかだ。そして断言する。 「今回は強引な ボクシング をする気はない。無理に倒しにいくことはありません」 居合わせた番記者に見解を求めると、「久々に井上の ボクシング が観られるんじゃないかな」と語った。直近の試合では強引に倒しにいく場面が目立ち、5月4日のラモン・カルデナス(米国)戦の2ラウンドにはキャリア2度目となるダウンを奪われている。 だが、本来の井上は、ハードパンチャーという攻撃面の特性はもちろん、抜群の察知力を含めたトップレベルの ディフェンス 力を兼ね備えたボクサーなのである。決定打となるようなパンチを被弾することが極端に少なく、無敗記録もそれを証明しているだろう。「キャリア最大の難敵」を迎えた今回の 防衛戦 も、リスクを冒さず、強引に倒しにいく試合をしければ、確実に勝つことができる、というのが専門家たちの見解だ。 ボクシング を変える32歳の絶対王者 冒頭の記者会見では、「総合力では自分が上」との挑戦者の発言について感想を問われる場面があったが、 スポーツ 界における ボクシング の地位向上を目指す井上は、「総合力は絶対に負けてない」と反論しながらも挑発に乗らない。 「観ている人が不快になるような煽りをぼくは好まない。プロ ボクシング にエンターテインメント性が求められるのは事実ですが、煽るようなものは違います。ぼくはリング上の ボクシング のパフォーマンスで魅せる、それを観に来てもらうという部分でのエンタメ性を追求してきました」 「 ボクシング は スポーツ 」という持論をもつ32歳の絶対王者がモチベーションとしているのは、「親御さんたちが子どもに ボクシング をさせたいっていうところ、次はそこまで行きたい」という次世代につながる ボクシング 競技者の育成だ。 「自分がプロボクサーを仕事にしている以上は、その競技を目指す子どもたちが増えるのは喜びです。しかも、自分の試合をきっかけに ボクシング をはじめたいという子たちが増えているとすれば、もちろんうれしい。それには、(親たちが)子どもに ボクシング をやらせたいと思える ボクシング 界じゃないといけない。いつまでも不良あがりというか、そういうイメージのままの ボクシング 界ではいけないと思うんです。『ここでチャンピオンになって、ここでお金を稼ぎなさい』と、親が職業として選ばせるようであってほしいけれど、難しいですよね」 井上が所属する大橋ジムでは、幼少時代に伸びる運動神経・集中力を養うべく、安全性を重視した「痛くない ボクシング 」をキッズコースとして充実させるなど、育成に積極的だ。 「今キッズ向け ボクシング で遊ばせる親御さんが増えてきて、大会も増えています。そうやって スポーツ として認知されてきたのは、先輩たちも含めたボクサーたちがイメージを変える努力をしてきたから。もちろん格闘技なんです、 ボクシング は。気持ちとしては格闘技。ですけれど、ぼくの中ではあくまで スポーツ 。 ボクシング は スポーツ という考えを大事にしています。ぼくは高校時代にアマチュアからオリンピックを目指しましたし、 スポーツ としての ボクシング の中で育ってきている。興行っていう言い方をしますけれども、ぼくの気持ちとしてはプロ ボクシング も スポーツ なんです」 Naoya Inoue 1993年4月10日生まれ、神奈川県座間市育ち。2012年に大橋 ボクシング ジムに入門、同年プロデビューを果たす。22年12月にWBO、WBA、IBF、WBCバンタム級4団体統一に成功。23年に スーパーバンタム級 に転向、2階級で4団体統一を達成した。30戦30勝(27KO)。164.
5cmの右ボクサーファイター。 PHOTOGRAPHS BY YOSHIYUKI NAGATOMO STYLED BY MAKI TAKAGI HAIR STYLED & MAKE-UP BY YOSHIYUKI UEZONO @ EARTH YOKOHAMA WORDS BY AKIRA KAMIYA @ GQ
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