トランプ米大統領は、今週ブラジルで開幕した国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)には姿を見せないものの、その存在感は会場を漂うだろう。化石燃料を推進し、地球温暖化対策への国際協調に背を向ける同氏の政策は、未来の世代に重い負担を残す見通しだ。しかし、すべてが暗いわけではない。技術、地政学、経済、金融分野の潮流は、トランプ氏の動きよりはるかに強力だ。
トランプ米大統領は、今週ブラジルで開幕した国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)には姿を見せないものの、その存在感は会場を漂うだろう。ホワイトハウスで6日撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst) - トランプ米大統領は、今週ブラジルで開幕した国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)には姿を見せないものの、その存在感は会場を漂うだろう。化石燃料を推進し、地球温暖化対策への国際協調に背を向ける同氏の政策は、未来の世代に重い負担を残す見通しだ。しかし、すべてが暗いわけではない。技術、地政学、経済、金融分野の潮流は、トランプ氏の動きよりはるかに強力だ。 米国の高官はCOP30に出席しない。トランプ政権は既に、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱を通知している。そのほか、国内での化石燃料プロジェクトを後押しする一方で、グリーン投資への優遇措置を削減した。南アフリカ、ベトナム、インドネシアなどが進めるクリーンエネルギー転換支援からも撤退し、気候関連の援助も大幅に削っている。米国は世界に圧力をかけ、海運の炭素排出に課税する計画を断念させた。政権は同盟国に米国産ガスの購入を迫っている。脱炭素を目指す国際的な銀行連合「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」は、政治的圧力の下で先月解散した。 トランプ氏は、マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏の言葉をねじ曲げ、「私は(われわれは!)気候変動詐欺との戦争に勝った」と宣言した。しかし、話はそう簡単ではない。大統領は気候変動をめぐる闘いの1プレーヤーに過ぎず、プレーヤーの中で最強の存在でもない。米政府が古い技術を推進する一方で、中国は新しいクリーン技術の旗手となっている。これには経済的な背景が一因にある。中国は太陽光パネル、バッテリー、電気自動車の生産を支配している。国内で大量に導入し、海外にも輸出して成長を維持している。輸入の化石燃料に依存する他の地域も同じ考えだ。欧州連合(EU)はロシア産ガスに依存することは愚かだったと学んだ。一方、インド、アフリカ、その他のサンベルト地域は、限られた外貨を使って国外からエネルギーを買うより、身近な天然資源を活用したいと考えている。 世界は、気候シンクタンクのエンバーが「エレクトロテック革命」と呼ぶ現象を経験している。各国政府の補助金と政策が太陽光発電、風力発電、バッテリー産業を立ち上げたが、現在は好循環が生まれている。価格が下がるほど導入が進み、規模拡大によってコストがさらに下がり、技術革新も加速している。 多くの新興国では、クリーンエネルギーへの転換をもはや経済発展の妨げではなく、その推進力とみなすようになっている。これまでエネルギーに乏しかった地域は、汚染のない安価な電力を活用し、新技術に「飛び級」することを目指している。課題は、太陽光パネルや風力発電所、高圧送電線、蓄電施設などへの初期投資資金をどう確保するかだ。必要な額は巨額だ。COP30では、ブラジルと昨年のCOP29を主催したアゼルバイジャンで提示された、移行資金として年間1兆3000億ドルを新興国・途上国に流す方法を示す「ロードマップ」を検討する。富裕国が提供できる資金はせいぜいその一部に過ぎない。援助を削減しているのは米国だけではない。他の地域でも、防衛などの優先事項が限られたリソースを奪っている。それでも希望はある。新興国の多くで発想の転換が進んでいることだ。ブラジル、エジプト、バングラデシュなどは、先進国からの援助を待つよりも、民間投資を積極的に呼び込もうとしている。公的資金も依然として必要だが、限られた資金をいかに効果的に使うかが問われている。ここで鍵となるのが金融の革新だ。 近年、世界銀行などの多国間開発銀行(MDB)の資金の効率を最大化する議論が進み、その成果が表れつつある。たとえば米州開発銀行(IDB)は、商業銀行が保有する融資を買い取り、それを証券化して機関投資家に売却する計画を進めている。銀行は得た資金を途上国のクリーン技術案件に再投資する仕組みだ。IDBは、こうした「気候ローン」の世界全体での潜在市場規模を3兆ドルと見積もる。 また、慎重な運営で知られるMDBは、想定以上の火力を持つ可能性がある。格付け会社S&Pグローバルは先月、これらの機関は優先債権者として扱われる地位を持つため、健全な格付けを維持したままバランスシートを拡大できると指摘した。追加資本を調達せずとも、6000億ドル以上の追加融資が可能とされる。結果、トランプ氏がほとんどの場合却下できる追加資本を求める前に、はるかに多くのことが可能になる。 また、世界の金融システムの「配管」に若干の調整を加えれば、民間資金の流れも改善するとみられる。新しいロードマップは、金融安定理事会(FSB)などの当局に対し、規則が気候リスクを適切に考慮しているか、または低炭素プロジェクトへの投資を妨げていないかを検証するよう求めている。世界が産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標を達成できないという話は指摘されてきた。しかし最新の国連予測では、気温は2.3ー2.5度上昇にとどまる見込みで、16年前に科学者が予測した6度よりははるかに低い。(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています).
トランプ米大統領は、今週ブラジルで開幕した国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)には姿を見せないものの、その存在感は会場を漂うだろう。ホワイトハウスで6日撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst) - トランプ米大統領は、今週ブラジルで開幕した国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)には姿を見せないものの、その存在感は会場を漂うだろう。化石燃料を推進し、地球温暖化対策への国際協調に背を向ける同氏の政策は、未来の世代に重い負担を残す見通しだ。しかし、すべてが暗いわけではない。技術、地政学、経済、金融分野の潮流は、トランプ氏の動きよりはるかに強力だ。 米国の高官はCOP30に出席しない。トランプ政権は既に、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱を通知している。そのほか、国内での化石燃料プロジェクトを後押しする一方で、グリーン投資への優遇措置を削減した。南アフリカ、ベトナム、インドネシアなどが進めるクリーンエネルギー転換支援からも撤退し、気候関連の援助も大幅に削っている。米国は世界に圧力をかけ、海運の炭素排出に課税する計画を断念させた。政権は同盟国に米国産ガスの購入を迫っている。脱炭素を目指す国際的な銀行連合「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」は、政治的圧力の下で先月解散した。 トランプ氏は、マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏の言葉をねじ曲げ、「私は(われわれは!)気候変動詐欺との戦争に勝った」と宣言した。しかし、話はそう簡単ではない。大統領は気候変動をめぐる闘いの1プレーヤーに過ぎず、プレーヤーの中で最強の存在でもない。米政府が古い技術を推進する一方で、中国は新しいクリーン技術の旗手となっている。これには経済的な背景が一因にある。中国は太陽光パネル、バッテリー、電気自動車の生産を支配している。国内で大量に導入し、海外にも輸出して成長を維持している。輸入の化石燃料に依存する他の地域も同じ考えだ。欧州連合(EU)はロシア産ガスに依存することは愚かだったと学んだ。一方、インド、アフリカ、その他のサンベルト地域は、限られた外貨を使って国外からエネルギーを買うより、身近な天然資源を活用したいと考えている。 世界は、気候シンクタンクのエンバーが「エレクトロテック革命」と呼ぶ現象を経験している。各国政府の補助金と政策が太陽光発電、風力発電、バッテリー産業を立ち上げたが、現在は好循環が生まれている。価格が下がるほど導入が進み、規模拡大によってコストがさらに下がり、技術革新も加速している。 多くの新興国では、クリーンエネルギーへの転換をもはや経済発展の妨げではなく、その推進力とみなすようになっている。これまでエネルギーに乏しかった地域は、汚染のない安価な電力を活用し、新技術に「飛び級」することを目指している。課題は、太陽光パネルや風力発電所、高圧送電線、蓄電施設などへの初期投資資金をどう確保するかだ。必要な額は巨額だ。COP30では、ブラジルと昨年のCOP29を主催したアゼルバイジャンで提示された、移行資金として年間1兆3000億ドルを新興国・途上国に流す方法を示す「ロードマップ」を検討する。富裕国が提供できる資金はせいぜいその一部に過ぎない。援助を削減しているのは米国だけではない。他の地域でも、防衛などの優先事項が限られたリソースを奪っている。それでも希望はある。新興国の多くで発想の転換が進んでいることだ。ブラジル、エジプト、バングラデシュなどは、先進国からの援助を待つよりも、民間投資を積極的に呼び込もうとしている。公的資金も依然として必要だが、限られた資金をいかに効果的に使うかが問われている。ここで鍵となるのが金融の革新だ。 近年、世界銀行などの多国間開発銀行(MDB)の資金の効率を最大化する議論が進み、その成果が表れつつある。たとえば米州開発銀行(IDB)は、商業銀行が保有する融資を買い取り、それを証券化して機関投資家に売却する計画を進めている。銀行は得た資金を途上国のクリーン技術案件に再投資する仕組みだ。IDBは、こうした「気候ローン」の世界全体での潜在市場規模を3兆ドルと見積もる。 また、慎重な運営で知られるMDBは、想定以上の火力を持つ可能性がある。格付け会社S&Pグローバルは先月、これらの機関は優先債権者として扱われる地位を持つため、健全な格付けを維持したままバランスシートを拡大できると指摘した。追加資本を調達せずとも、6000億ドル以上の追加融資が可能とされる。結果、トランプ氏がほとんどの場合却下できる追加資本を求める前に、はるかに多くのことが可能になる。 また、世界の金融システムの「配管」に若干の調整を加えれば、民間資金の流れも改善するとみられる。新しいロードマップは、金融安定理事会(FSB)などの当局に対し、規則が気候リスクを適切に考慮しているか、または低炭素プロジェクトへの投資を妨げていないかを検証するよう求めている。世界が産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標を達成できないという話は指摘されてきた。しかし最新の国連予測では、気温は2.3ー2.5度上昇にとどまる見込みで、16年前に科学者が予測した6度よりははるかに低い。(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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