アメリカ大統領選まで100日を切った。撤退したジョー・バイデン氏に代わり、民主党候補に指名されたカマラ・ハリス氏の快進撃が続く。共和党のドナルド・トランプ氏が優勢を保ってきた「PredictIt」や「Polymarket」といった賭け選挙サイトでもハリス氏がリードする局面が出始め、主要な激戦州での世論調査でも、トランプ氏を猛追し、リードする州もでてきた。勝利すれば、アメリカ初の女性大統領となる。
ここまでのハリス氏のキャリアも「初」の連続だ。カリフォルニア州地方検事と州司法長官を経て2016年、ハリス氏はカリフォルニア州では初めて、全米では2人目の黒人女性として上院議員に当選した。2019年、民主党の大統領候補の指名争いに挑戦したが予備選が始まる前に撤退。その後、民主党の大統領候補となったバイデン氏に副大統領候補に抜てきされ、2021年、黒人・アジア系女性初の副大統領に就任した。2016年にヒラリー・クリントン氏が打ち破ろうとした「ガラスの壁」はいまだに厚いだろうか。世論調査を見る限り、そうとも言えない。CBS ニュース が8月4日発表した世論調査では、「アメリカは黒人女性を大統領に選ぶ準備ができているか?」との質問に対し、68%が「YES」と答え、「NO」(32%)の2倍超となった。国政に挑戦してから10年もたたずして、大統領選に挑戦する切符を手に入れたハリス氏。しかし、その政治的立場を見極めることは容易ではない。ハリス氏の躍進に警戒を強めるトランプ陣営は、ハリス氏に「急進左派」「危険なほどリベラル」とレッテルを貼り、無党派層の票を取り込もうとしている。確かに上院議員時代にハリス氏が共同提案した法案に注目しても、そうした見方は的外れでないわけではない。2017年、ハリス氏は、急進左派のバーニー・サンダース上院議員が提出したメディケア・フォー・オール(国民皆保険)法案の共同提案者となったこともある。もっともこの時ハリス氏は民間保険会社の廃止まで考えていたわけではない。2020年大統領選の民主党の候補者争いでハリス氏は、サンダース氏に「あなたは民間保険会社の利益に屈した。あなたの案はメディケア・フォー・オールとは到底呼べない」と批判されることになる。ハリス氏自身も、「私は資本主義を転覆させようとしているわけではないし、システムを変革しようとしているわけでもない」とサンダース氏と自分との差異を強調してきた。政治家としてのハリス氏は、ラディカルな変革者であるよりは、漸進的な改革主義者であろうとしてきたと言えるだろう。バイデン氏が大統領選から撤退し、後継にハリス氏を指名した際、ハリス氏は大統領選への意気込みをこう語った。「司法長官として、検事として、私はあらゆる種類の犯罪者と対決しました。女性を襲う虐待者、消費者をだます詐欺師、私利私欲のために規則を破るいかさま師。私はドナルド・トランプ氏のような人物をよく知っています」。そして、トランプ氏が34もの罪状で有罪となった重罪人であることを強調した。9月に行われるトランプ氏とのテレビ討論会でも、ハリス氏は「元検事」対「重罪人」という構図に持ち込もうとするだろうし、改めて国民に対し、有罪評決を受けた人物が大統領として適格かを問うことも大事だ。しかし、国民がハリスに求めているのは「元検事」としての活躍だけではない。もっと具体的に政策を語ってもらいたいといよいよ多くの国民が感じている。7月下旬から「自由(freedom)」をテーマに選挙活動を展開してきたハリス氏だが、8月中旬に差し掛かった今も、キャンペーンのウェブページには詳細な政策綱領がない。近く政策については発表されるとのことだが、ここまで時間が掛かっている背景には、惨敗した2020年大統領選の教訓もあるのかもしれない。この時ハリス氏は、地球温暖化リスクがあるとして、「フラッキング(水圧破砕法)」と呼ばれる天然ガスの採掘方法の禁止を打ち出したが、今回の選挙ではこの立場は放棄される見込みだ。激戦州の一つである中西部ペンシルベニア州は世界でも有数の天然ガスの供給源であり、フラッキングへの反対世論も強い。大統領選に勝利するための現実的な戦略が優先されたと言える。もっともトランプ氏は、フラッキング規制にとどまらず、バイデン政権が設けた環境規制をことごとく撤廃し、石油や天然ガスを「掘って、掘って、掘りまく」ってエネルギー価格を押し下げる方針を打ち出している。フラッキングの容認によってどれほどの有権者を引きつけられるだろうか。むしろ、気候変動対策への真剣度を疑われることにならないだろうか。ハリス氏は、フラッキング容認へと転じた経緯や、気候変動対策の具体案を誠実に説明しながら、選挙を戦う必要がある。.
ここまでのハリス氏のキャリアも「初」の連続だ。カリフォルニア州地方検事と州司法長官を経て2016年、ハリス氏はカリフォルニア州では初めて、全米では2人目の黒人女性として上院議員に当選した。2019年、民主党の大統領候補の指名争いに挑戦したが予備選が始まる前に撤退。その後、民主党の大統領候補となったバイデン氏に副大統領候補に抜てきされ、2021年、黒人・アジア系女性初の副大統領に就任した。2016年にヒラリー・クリントン氏が打ち破ろうとした「ガラスの壁」はいまだに厚いだろうか。世論調査を見る限り、そうとも言えない。CBSニュースが8月4日発表した世論調査では、「アメリカは黒人女性を大統領に選ぶ準備ができているか?」との質問に対し、68%が「YES」と答え、「NO」(32%)の2倍超となった。国政に挑戦してから10年もたたずして、大統領選に挑戦する切符を手に入れたハリス氏。しかし、その政治的立場を見極めることは容易ではない。ハリス氏の躍進に警戒を強めるトランプ陣営は、ハリス氏に「急進左派」「危険なほどリベラル」とレッテルを貼り、無党派層の票を取り込もうとしている。確かに上院議員時代にハリス氏が共同提案した法案に注目しても、そうした見方は的外れでないわけではない。2017年、ハリス氏は、急進左派のバーニー・サンダース上院議員が提出したメディケア・フォー・オール(国民皆保険)法案の共同提案者となったこともある。もっともこの時ハリス氏は民間保険会社の廃止まで考えていたわけではない。2020年大統領選の民主党の候補者争いでハリス氏は、サンダース氏に「あなたは民間保険会社の利益に屈した。あなたの案はメディケア・フォー・オールとは到底呼べない」と批判されることになる。ハリス氏自身も、「私は資本主義を転覆させようとしているわけではないし、システムを変革しようとしているわけでもない」とサンダース氏と自分との差異を強調してきた。政治家としてのハリス氏は、ラディカルな変革者であるよりは、漸進的な改革主義者であろうとしてきたと言えるだろう。バイデン氏が大統領選から撤退し、後継にハリス氏を指名した際、ハリス氏は大統領選への意気込みをこう語った。「司法長官として、検事として、私はあらゆる種類の犯罪者と対決しました。女性を襲う虐待者、消費者をだます詐欺師、私利私欲のために規則を破るいかさま師。私はドナルド・トランプ氏のような人物をよく知っています」。そして、トランプ氏が34もの罪状で有罪となった重罪人であることを強調した。9月に行われるトランプ氏とのテレビ討論会でも、ハリス氏は「元検事」対「重罪人」という構図に持ち込もうとするだろうし、改めて国民に対し、有罪評決を受けた人物が大統領として適格かを問うことも大事だ。しかし、国民がハリスに求めているのは「元検事」としての活躍だけではない。もっと具体的に政策を語ってもらいたいといよいよ多くの国民が感じている。7月下旬から「自由(freedom)」をテーマに選挙活動を展開してきたハリス氏だが、8月中旬に差し掛かった今も、キャンペーンのウェブページには詳細な政策綱領がない。近く政策については発表されるとのことだが、ここまで時間が掛かっている背景には、惨敗した2020年大統領選の教訓もあるのかもしれない。この時ハリス氏は、地球温暖化リスクがあるとして、「フラッキング(水圧破砕法)」と呼ばれる天然ガスの採掘方法の禁止を打ち出したが、今回の選挙ではこの立場は放棄される見込みだ。激戦州の一つである中西部ペンシルベニア州は世界でも有数の天然ガスの供給源であり、フラッキングへの反対世論も強い。大統領選に勝利するための現実的な戦略が優先されたと言える。もっともトランプ氏は、フラッキング規制にとどまらず、バイデン政権が設けた環境規制をことごとく撤廃し、石油や天然ガスを「掘って、掘って、掘りまく」ってエネルギー価格を押し下げる方針を打ち出している。フラッキングの容認によってどれほどの有権者を引きつけられるだろうか。むしろ、気候変動対策への真剣度を疑われることにならないだろうか。ハリス氏は、フラッキング容認へと転じた経緯や、気候変動対策の具体案を誠実に説明しながら、選挙を戦う必要がある。
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