インドを着想源にした、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の春夏メンズコレクション。映画『ダージリン急行』でお馴染みのラゲージセットの復刻版をはじめ、旅、遊び、スポーツを独自に解釈した76のルックが披露された。
ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2026年春夏メンズショーのセットは、巨大なボードゲームだった。正確にいうと、「スネーク&ラダー(ヘビとハシゴ)」のすごろく盤だ。サイコロを振り、出た目の数だけコマを進め、いち早くゴールにたどり着いた者が勝ちとなるこのボードゲームは、名前の通り、盤にヘビとハシゴが、2つのマスをつなぐようにいくつか描かれている。ハシゴの根本のマスにとまることができれば、そのまま登って上のマスまで前進できるが、ヘビの口が向いているマスにとまってしまうと、尻尾が触れているマスまで戻らなければならない。昨今のラグジュアリーファッションの売り上げが下降の一途をたどっていることを考えると、この日のセットでも、ハシゴよりもヘビが目立っていたことにはハッとした。 演出にもルックにも散りばめられた、ウィリアムスこだわりのディテール 今季のインスピレーションは、「スネーク&ラダー」発祥の地でもあるインド。2018年に初めてインドを訪れたファレル・ウィリアムスは、今回のコレクションに着手するにあたり、メゾンのデザインチームを携えて現地を再訪。デリー、ムンバイ、そしてジャイプールをまわった。「私たちが作っているのはファッションですが、ルイ・ヴィトンは旅のメゾンでもあります」とショー前、会場となったポンピドゥー・センターのバックステージでウィリアムスは語った。「私は、チームに洗練されたものづくりを求めています。インパクトを残すことばかりに気を取られているメゾンがかなりいますよね。派手でアバンギャルドなコレクションやデザインが多く、中には個人的にかなり好きなものもありますが、私自身はそういったインパクト重視のものを作るのは、あまり得意ではないです。私の強みは、ディテールにあります」 だが、ビヨンセとジェイ・Zを含む錚々たる顔ぶれのVIPゲストたちを思うと、ルイ・ヴィトンも決してインパクトには欠かない。とはいえ、ただ単に派手なコレクションを打ち出すことはなく、今季も考え抜かれた演出やディテールが随所に散りばめられていた。ゴスペル合唱団のヴォイス・オブ・ファイアの歌声と、ポンヌフ管弦楽団の演奏に合わせて繰り広げられたショーには、ファンの心を鷲掴みにするであろうピースが登場。そのひとつが、2006年に当時のアーティスティック・ディレクターだったマーク・ジェイコブスがウェス・アンダーソン監督作品『ダージリン急行』(2007)のために手がけた、ラゲージセットの復刻版だ。オリジナルのデザインに起用されたエリック・アンダーソンによる動物とヤシの木のイラストは、ダミエ・パターンのキャンバスバッグ、ビキューナのコート、手刺繍が施された7レイヤーのポプリンコート、デニムonデニムのルックなど、捻りを効かせたプレッピーな服にも落とし込まれ、再解釈された。動物の中でも、今シーズン主役を張ったのはカエル。今回のコレクションでコラボレーションした世界的建築集団スタジオ・ムンバイを主宰するビジョイ・ジェインのもとを訪れたとき、ウィリアムス御一行は、庭中にいるカエルたちにインスパイアされたという。 アクセサリーで特筆すべきは、ブルーとオレンジトーンの「スピーディ バンドリエール 40」とヨガバッグ、「スピーディ」の形を踏襲したカーペット生地のバッグだ。ほかにも、『ダージリン急行』でお馴染みのラゲージに取り付けられている、丸みを帯びたトランクコーナーで縁取られたサングラスが印象に残る。 白いミンクの毛皮と、オレンジとグリーンの糸を手編みしたフロントジップのパーカなど、ディテールが光るピースが多いコレクションではあったが、全体を俯瞰してみると、シルエット遊びへのこだわりがうかがえる。ウィリアムス流のダンディズムを象徴する、タイトなクロップドジャケットとフレアパンツのスーツはこの日も披露されたが、今季はよりルーズで流れるようなシルエットのものも展開された。 またデザインチームは、無染色の緯糸をインディゴブルーではなく、ルイ・ヴィトンを代表するダミエ・パターンのブラウンに染めた経糸と織ったデニム生地を新たに開発。そして柄に関しては、グレンチェックが大きくフィーチャーされた。序盤に披露されたスーツには、生地と刺繍の双方を駆使して、ジャケットの真ん中あたりから上に向かって噴き出すようにグレンチェックが取り入れられており、淡いカーキ色のオーバーコートの裏地も同じグレンチェックだ。目視はできないが、金属糸を使用したルックのほとんどすべてに、この同じ柄が隠されていたという。その他の服には文字などがスクリーンプリントされており、そのむらのある仕上がりが、ウィリアムスたちがインドで見たという看板を彷彿とさせる。 インドから得たインスピレーションはほかにもあり、ウィリアムスはインドの国民的スポーツであるクリケットの要素も、さりげなくコレクションに落とし込んでいた。首もとにビジューがあしらわれたVネックのスポーツセーターや、クリケットクラブのチームカラーから着想されたという色味のネクタイがそうだ。これがもし試合ならば、いちイニングでいわば75“ラン”も獲得した、ウィリアムス率いるルイ・ヴィトンの圧勝だろう。 ※ルイ・ヴィトン 2026年春夏メンズコレクションをすべて見る。 Text: Luke Leitch Adaptation: Anzu Kawano From VOGUE.
ファレル・ウィリアムス / Pharrell Williams パリコレ(パリ・コレクション) / Paris Collection パリ コレクションレビュー / Paris Collection Review ウェス・アンダーソン / Wes Anderson
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