【詩部門】本賞 故永しほるさん「壁、窓、鏡」 一行のフレーズにこだわり

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【詩部門】本賞 故永しほるさん「壁、窓、鏡」 一行のフレーズにこだわり
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私家版の第2詩集。生きづらさなどの個人的叫びが主題だが「具体の内容が伝わらぬよう徹底的に抽象化した」。背表紙や扉もなく、タイトルが巻末に載る手法も読者を驚かせる。詩作の醍醐味(だいごみ)は「この一行...

詩作の醍醐味(だいごみ)は「この一行のフレーズを思いつくこと」とも。第1詩集が最終候補で終わった第54回文学賞の悔しさも晴らした。胆振管内むかわ町生まれ。大麻高文芸部で現代詩に出会い、北海学園大卒。札幌在住。地質学・古生物学が専門の札教大教授。40年近い詩作の中で今回、幼少時から大好きな石(鉱物)を本格的に詩にした。詩と石、文学と科学の境界線を探る試みという。北海道新聞日曜文芸「詩」選者。1959年岐阜県生まれ。北大大学院博士課程修了、理学博士。昨年を7点上回る18点の応募で、最終候補6点を選考委員の阿部嘉昭、工藤正廣、松尾真由美の3氏が10日、北海道新聞本社で選考した。事前審査で2人が1位に推した「壁、窓、鏡」と、1人が1位、2人が3位に評価した「瑪瑙(めのう)屋」の審議が焦点となった。「壁、窓、鏡」は「抽象的表現で詩句が頭に入りづらいようで、熟読すると圧倒されるフレーズがちりばめられ、読み直すたびに良くなる」「淡々と書かれているようで詩的な飛躍が面白く展開。25歳なのに粗さはない。こんな詩を書く人が札幌にいるとはうれしい」などと称賛が相次いだ。 「私家版とはいえ作品名や目次が最後に出るのはやりすぎ」との意見や、まだ若く今回が第2詩集ということから「成長をさらに見定めた方が良い」との声もあったが、「若い才能こそ即座に顕彰してことほぐべきだ」と大勢は本賞に。 「瑪瑙屋」は「堅実で安定感がある。石をテーマにしながら生き別れの父への思いなど魂の世界を描く」「地質学者としての博物学的教養や語彙(ごい)が豊富で、この人しか書けない」などと評価されたが「謎解きの面白みがない」「散文詩が入る第2部の文体が残念」の指摘もあり佳作となった。 「ダミアンの涙」は「難しい話を崇高に描く」、「有毒植物詩の花束」は「幻想的で発想が美しい」、「背の川」は「余計なものを省いた格好良さ」、「帯」は「後半の叙事詩が迫力」などと評され、応募作全体が高水準との声が出た。故永しほる『壁、窓、鏡』は、初読時は朦朧(もうろう)体の思弁詩だと思った。だが再読を重ねるうち襟を正すことになった。孤独な者が捉えた世界の像が一貫して綴(つづ)られている。比喩が像を結びにくいのは初読時から変わらないが、詩語の得意気な展覧などない。文法破壊、飛躍、省略が駆使され、行脚が短いことで、読むリズムに不思議な快感が伴う。時たま現れるキラーフレーズにも恍惚(こうこつ)としてしまう。詩集は異例の構成をしている。詩篇(しへん)タイトルが割愛され、書かれた本文がほぼ無媒介に続き、全てが溶け合う(1970年代の詩集に存在した編集方法)。詩集タイトルも目次も巻末に来る。それで起こる脱色と浄化と性別の無化こそが繊細。この25歳の詩人の登場を寿(ことほ)がなくては。第一に若宮明彦氏の『瑪瑙屋』を、第二に東延江氏の『ダミアンの涙』を推して選考に臨んだ。『瑪瑙屋』はほぼ十年ぶりの新詩集となろうか。ここで〈屋〉とは擬人化。第一部は、石、花、渚(なぎさ)、碑、瑪瑙、図鑑をモチーフに、石にまつわる永遠と一瞬の相を物語化した、どれもみな、秀逸にして文字通り〈珠玉〉の定型詩篇(しへん)だ。行分けスタンザ(連)の詩をよくここまで彫琢(ちょうたく)したものだと驚く。同時に生の淋(さび)しい切なさは、父像の行方という主題だ。第二部の散文詩ではうってかわって定型を混沌(こんとん)化する愉快な饒舌(じょうぜつ)と寓意(ぐうい)がある。この詩人にはまだまだ先がある。その先を見たい。東氏の平易で人情あふれる行分け詩(特にここ数年の)は過ぎし人々とその善き生を伝えて心に沁(し)みる。小熊秀雄の詩心の継承だ。議論の末、二十代の新人の書法を正賞に、佳作には練達の詩人の石をおくことになった。正賞の故永しほるに対しては嬉(うれ)しい驚きがあった。受賞作なしの二〇二〇年、まさにこの欄で故永の詩集への私の言及がある。「(略)具体を描くのではなく、そこから発生する己の反応に重点を置くことは詩でしかできないことで、そうした説得力を作品は持っているが、ナイーブさを詩の強さとして納得させるにはもう少し鍛錬が必要だと思われる」。詩の個性は変えず、詩語の鍛錬が三年の間に確かにあった。詩集『壁、窓、鏡』は一行ごとの内省が垂直的な重石(おもし)として、作品の歩行感覚的展開を落ち着きのあるものにし、無理のない抽象性が詩に余裕さえ生みだす。故永は若いが新人の枠からはみ出した詩集である。若宮明彦『瑪瑙屋』は鉱物の専門知識と抒情(じょじょう)の絡まりに独特な味わいがある。石を探索する場の風土性も印象深く、この良さを文体を変えて崩してしまっていた部分が惜しい。.

詩作の醍醐味(だいごみ)は「この一行のフレーズを思いつくこと」とも。第1詩集が最終候補で終わった第54回文学賞の悔しさも晴らした。胆振管内むかわ町生まれ。大麻高文芸部で現代詩に出会い、北海学園大卒。札幌在住。地質学・古生物学が専門の札教大教授。40年近い詩作の中で今回、幼少時から大好きな石(鉱物)を本格的に詩にした。詩と石、文学と科学の境界線を探る試みという。北海道新聞日曜文芸「詩」選者。1959年岐阜県生まれ。北大大学院博士課程修了、理学博士。昨年を7点上回る18点の応募で、最終候補6点を選考委員の阿部嘉昭、工藤正廣、松尾真由美の3氏が10日、北海道新聞本社で選考した。事前審査で2人が1位に推した「壁、窓、鏡」と、1人が1位、2人が3位に評価した「瑪瑙(めのう)屋」の審議が焦点となった。「壁、窓、鏡」は「抽象的表現で詩句が頭に入りづらいようで、熟読すると圧倒されるフレーズがちりばめられ、読み直すたびに良くなる」「淡々と書かれているようで詩的な飛躍が面白く展開。25歳なのに粗さはない。こんな詩を書く人が札幌にいるとはうれしい」などと称賛が相次いだ。 「私家版とはいえ作品名や目次が最後に出るのはやりすぎ」との意見や、まだ若く今回が第2詩集ということから「成長をさらに見定めた方が良い」との声もあったが、「若い才能こそ即座に顕彰してことほぐべきだ」と大勢は本賞に。 「瑪瑙屋」は「堅実で安定感がある。石をテーマにしながら生き別れの父への思いなど魂の世界を描く」「地質学者としての博物学的教養や語彙(ごい)が豊富で、この人しか書けない」などと評価されたが「謎解きの面白みがない」「散文詩が入る第2部の文体が残念」の指摘もあり佳作となった。 「ダミアンの涙」は「難しい話を崇高に描く」、「有毒植物詩の花束」は「幻想的で発想が美しい」、「背の川」は「余計なものを省いた格好良さ」、「帯」は「後半の叙事詩が迫力」などと評され、応募作全体が高水準との声が出た。故永しほる『壁、窓、鏡』は、初読時は朦朧(もうろう)体の思弁詩だと思った。だが再読を重ねるうち襟を正すことになった。孤独な者が捉えた世界の像が一貫して綴(つづ)られている。比喩が像を結びにくいのは初読時から変わらないが、詩語の得意気な展覧などない。文法破壊、飛躍、省略が駆使され、行脚が短いことで、読むリズムに不思議な快感が伴う。時たま現れるキラーフレーズにも恍惚(こうこつ)としてしまう。詩集は異例の構成をしている。詩篇(しへん)タイトルが割愛され、書かれた本文がほぼ無媒介に続き、全てが溶け合う(1970年代の詩集に存在した編集方法)。詩集タイトルも目次も巻末に来る。それで起こる脱色と浄化と性別の無化こそが繊細。この25歳の詩人の登場を寿(ことほ)がなくては。第一に若宮明彦氏の『瑪瑙屋』を、第二に東延江氏の『ダミアンの涙』を推して選考に臨んだ。『瑪瑙屋』はほぼ十年ぶりの新詩集となろうか。ここで〈屋〉とは擬人化。第一部は、石、花、渚(なぎさ)、碑、瑪瑙、図鑑をモチーフに、石にまつわる永遠と一瞬の相を物語化した、どれもみな、秀逸にして文字通り〈珠玉〉の定型詩篇(しへん)だ。行分けスタンザ(連)の詩をよくここまで彫琢(ちょうたく)したものだと驚く。同時に生の淋(さび)しい切なさは、父像の行方という主題だ。第二部の散文詩ではうってかわって定型を混沌(こんとん)化する愉快な饒舌(じょうぜつ)と寓意(ぐうい)がある。この詩人にはまだまだ先がある。その先を見たい。東氏の平易で人情あふれる行分け詩(特にここ数年の)は過ぎし人々とその善き生を伝えて心に沁(し)みる。小熊秀雄の詩心の継承だ。議論の末、二十代の新人の書法を正賞に、佳作には練達の詩人の石をおくことになった。正賞の故永しほるに対しては嬉(うれ)しい驚きがあった。受賞作なしの二〇二〇年、まさにこの欄で故永の詩集への私の言及がある。「(略)具体を描くのではなく、そこから発生する己の反応に重点を置くことは詩でしかできないことで、そうした説得力を作品は持っているが、ナイーブさを詩の強さとして納得させるにはもう少し鍛錬が必要だと思われる」。詩の個性は変えず、詩語の鍛錬が三年の間に確かにあった。詩集『壁、窓、鏡』は一行ごとの内省が垂直的な重石(おもし)として、作品の歩行感覚的展開を落ち着きのあるものにし、無理のない抽象性が詩に余裕さえ生みだす。故永は若いが新人の枠からはみ出した詩集である。若宮明彦『瑪瑙屋』は鉱物の専門知識と抒情(じょじょう)の絡まりに独特な味わいがある。石を探索する場の風土性も印象深く、この良さを文体を変えて崩してしまっていた部分が惜しい。

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