マツダ入魂のミドルサイズSUV「CX-60」が、一部改良で足まわりの味つけを刷新。光るところがありながら、粗削りな部分も目立ったその走りは、どのように進化したのか? パワートレインや駆動方式の異なる、3つの仕様を乗り比べて確かめた。
2022年にデビューしたCX-60は、マツダが社運を賭けた新世代ラージ商品群の第1弾。エンジン縦置きFRプラットフォーム、直列6気筒ディーゼルエンジン、トルコンレスAT、プラグインハイブリッドユニットなど、すべてが新開発だった。世間では新型車といっても、「手持ちのプラットフォームやユニットを使いつつ、一部が新開発」という例が多く、ここまですべてが新しいのは稀(まれ)。2012年の初代「CX-5」もそうだったが、マツダは一気に変えるのが好きなのかもしれない。それだけ商品力やブランド力を上げるポテンシャルがある反面、完成度を高めるのは難しいというリスクはある。 デビュー当初のCX-60では、その懸念が表れてしまっていた。低速域ではゴツゴツと硬い乗り心地で突き上げ感が強い。そのぶん高速域で素晴らしい走りをするのであれば、ちょっとスポーティーに振りすぎているというエクスキューズをつけられるが、そうした場面でも上下動の収まりは悪く、直進性もいまひとつといったところだった。メイングレードとなる「XDハイブリッド」は、ずぶといトルクを持ちながら燃費は良好という優れた性能で、あえての3.
3リッターという大排気量の選択と、トルコンレスATの採用が功を奏していたが、走行中のエンジン停止からの再始動時にシフトショックがあって煩わしいというのが懸念材料だった。パワーステアリングは操舵時の負荷が軽くなっている。直進時の微修正舵のフィーリングがよくなっているのはそのためだろう。コーナーの連続する場面でもスッキリとしていた。 最後にパワートレイン関連だが、エンジン再始動時のショックに対しては、クラッチを制御する油圧の精度を向上させることで対応。さらにシフトクオリティーを高めるよう制御を変更し、少しゆっくりとつなげるイメージでスムーズさを増したという。たしかにトルコンAT並みにスムーズながら、スポーティーに走らせればダイレクト感は失われていない。 足まわりの調律では、スプリングやダンパーは乗り心地志向として、リアスタビライザーでロール剛性の帳尻を合わせようとするモデルが少なからず見受けられる。テストコースのような平たんな路面なら問題ないが、リアルワールドでは左右のタイヤが接する路面がまちまちだったりして、そうした場面では乗員が左右に揺さぶられることになる。ヘッドトスなどとも呼ばれ、低速域でもかなり不快になるものだ。CX-60でも初期モデルにはそれが感じられたが、改良版ではきれいになくなっていた。高速道路でも上下動が抑制された落ち着いたフラットライドになっていて、スプリングとダンパーの適正なセッティングが感じられる。 マツダのFRプラットフォームはキャスター角がかなり立ち気味なのが特徴で、直進安定性では不利に働き、初期モデルではその弊害もみられたのだが、ここも改善されている。ビシッと矢のように直進するというほどではないものの、横風や悪路面で乱された進路を修正するステアリング操作の煩わしさが、かなり減った。以前は操作を意識させられることが多かったが、無意識に直進させることができるようになったのだ。 試乗時間は限られていたが、上下動のチェックに向いているうねりの多いワインディングロードにも足を踏み入れたところ、かなり負荷がかかる場面でも上下動の収束は早く、ボディーコントロールが巧みになっていた。そのおかげで、FRプラットフォームならではの素直な回頭性が存分に味わえて、楽しく走れる。スタビリティーも高まっているように感じられ、安心してアクセルを踏み込んでいける。 パワーユニットは2.5リッターガソリンエンジン「25S」と、同エンジンと電動システムを組み合わせたプラグインハイブリッド「PHEV」、3.3リッターディーゼルターボ「XD」、同エンジンとマイルドハイブリッド機構を組み合わせた「XDハイブリッド」(写真)が用意される。 次に試乗したのはノンハイブリッドの「XDエグゼクティブモード」。駆動方式は4WDだ。WLTCモードの燃費性能は、XDハイブリッド プレミアムスポーツの20.9km/リッターに対してこちらは18.3km/リッターにとどまるので、マイルドとはいえハイブリッドの効果は少なくない。いっぽう動力性能に関しては、最大トルクはマイナス50N・mの500N・mとなりモーターのアシストもないものの、車両重量は60kg軽くなる。ゆえに走りの印象はXDハイブリッドと大差ないが、ワインディングロードではさらに軽快に感じられた。 それよりも軽快だったのが、新グレードでスポーティーな衣装をまとう「XD SP」のFR車だ。車両重量は1820kgと対XDハイブリッド(4WD)で130kgも軽い。スポーティーであるにもかかわらず、しなやかな乗り心地も好印象だ。ただし、ハンドリングのバランスは4WDのほうが優れている。大トルクを後輪だけで受け持つから、リアを粘らせる必要があるのだろう。ピッチングの動きがやや大きく、アクセルも思い切って踏み抜けない感覚がある。CX-60の選択理由でFR系プラットフォームならではのハンドリングを上位に挙げるなら、駆動方式は4WDにするべきだ。 課題を克服し、ここにきてFRプラットフォームの魅力が輝き始めたCX-60。CX-80よりもシャシー性能が高度に感じられるのは、車両重量が軽いことに加え、CX-60は引き締まったスポーティーさを押し出したセッティングだからだ。たしかにCX-80のほうが乗り心地はおおらかでファミリーカーとして望ましいが、CX-60も乗り心地は悪くはなくなっていて、人に薦めるにもエクスキューズをつけなくて済むようになったのがうれしい。オプション装備:ボディーカラー<マシーングレープレミアムメタリック>(5万5000円)/セーフティー&シースルービューパッケージ<クルージング&トラフィックサポート[CTS]>+スマートブレーキサポート[SBS][右直事故回避アシスト機能]+スマートブレーキサポート[SBS][交差点事故回避アシスト機能]+360°ビューモニター[シースルービュー]+ドライバーモニタリング+12.3インチセンターディスプレイ>(15万4000円) ※以下、販売店オプション ナビゲーション用SDカードアドバンス2(5万5920円)
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