【マツダ CX-80】「CX-60の3列仕様ではない」開発責任者に聞いた、最上級SUVへのこだわりとは

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【マツダ CX-80】「CX-60の3列仕様ではない」開発責任者に聞いた、最上級SUVへのこだわりとは
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内田俊一(うちだしゅんいち)日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

マツダは2024年秋にフラッグシップSUVの『CX-80』をデビューさせることが、正式に発表された。それに伴い一部メディアに事前の説明会が行われた。マツダ最上級モデルとなるCX-80とは一体どんなクルマなのか。開発責任者にその狙いやポジショニングなどについて、そしてパッケージ担当者にそのキーとなる室内レイアウトについて話を聞いた。これまでマツダのミドル以上のSUVは2列シートの『CX-5』と3列シートの『CX-8』というラインアップだった。そこに2年前にラージ商品群として新開発の後輪駆動プラットフォームを採用した『CX-60』が登場。そしてCX-8は2023年末にカタログ落ちした。では、CX-80はCX-8の後継車と捉えていいのだろうか。 マツダ商品開発本部主査の柴田浩平さんにそう尋ねると、「CX-8の後継のポジションと、そこからより上の価格帯をカバーしたいという意図があります」と話す。ちなみに現在販売中のCX-60とCX-5の関係については、「2列市場のCX-5に対してCX-60は少し兄貴分という関係性」だと説明する。 従ってCX-80はCX-8の代替え需要も担うことになる。CX-8はSUVだけでなく、ミニバンや輸入車など様々なセグメントから比較検討され購入に結びついているのが特徴だった。その背景には、「マツダ車らしいデザインと走りの良さを実現しながら、3列目まで大人も乗れる実用性を確保している」ことを挙げ、単にCX-5を3列にしたのではなく、「より伸びやかな優雅さを備え、CX-5よりも車格を上に見せていました」と柴田さん。 CX-60とCX-80も同じ関係性を実現させることを目指し、これが最も柴田さんのやりたいことでもあったという。従って、「もちろん必要な時にはしっかりと大人を6人7人乗せて楽しく遊びに行くことができますが、乗車人数ありきではなく1人で運転に集中して楽しめる。荷物をたくさんの載せたい時はそれができるという、生活の幅やシーンの広がりという価値を持たせていることが大切なんです」とコメント。 そこからCX-80のコンセプトは“グレイスフル・ドライビングSUV”とされ、「豊かさを表現したい。その豊かさとは、豪華にするとか、とても装備が充実してなんでも電気でできるとかそういうことではなく、豊かな時間や生活の広がり、ライフスタイルの広がりからにじみ出る余裕といったようなものを体現したいという思いです」と柴田さん。 そしてドライビングは、「マツダ車ですから動きに対するこだわりはありますので、あくまでただ広い空間や、座っている状態がとても心地いいというのではなく、そこに動きをしっかりと感じてもらいたいし、主体的に運転して自分でコントロールすることを表現したいという思い。ツキ並みですが、ドライビングSUVとしての本質は外さないということです」とコメントした。ではCX-80のターゲットユーザーはどういう人なのだろう。「生活の幅を広げることを考えて開発していますので、あまり決め打ちにはしていませんが、高い価格帯になりますので、クルマに対する知識や経験が豊富でこだわりが強く、おそらく若い時にはスポーツカーに乗ったりするクルマ好きの方。しかしいまは家族を大切にする人で、このクルマを使って、いろんなことをして遊びたいという方です」と柴田さんは語る。例えば、「子供が一人か二人いる家族や、ご夫婦二人であれば、趣味仲間と一緒に自転車を乗りに行くなど、そういうお客様をイメージしています」という。従ってやはり室内空間は重要なのだ。そこで気になるのは、CX-60と基本的にインテリアデザインは共通ということだ。柴田さんは、「通常はベース車を作ってそこからいくつも派生させていくのですが、いまマツダは一括開発なので初めから4車系を生むことは決めていました。ですからこの4車の“生き様”を効率的に作って行っていますので、CX-80も含めたこのラージ商品群、マツダの最高価格帯になるクルマとして必要なものをしっかり準備をしているんです。確かに結果的には同じではあるんですが、現状で不足していることはないと自信を持っています」と明かす。 ただし、「市場戦略的には最初に出しすぎたかな(苦笑)」と柴田さん。例えば、「白い内装のプレミアムモダンはCX-80の方がとても似合うので、CX-60では出さなくてCX-80までとっておいてもよかったかなとは思いますが、出し惜しみせずに全部出しています」と語った。室内空間の豊かさがCX-80のキーポイントであることはよくわかった。ではそのパッケージはどのように考えつくられているのか。マツダR&D戦略企画本部企画設計部主幹の高橋達矢さんに聞いてみると、まず2列目シートでは、「ヒップポイントはCX-8とほとんど変わっていません」という。しかし、CX-8ユーザーから、「小柄の方だと足が着きにくい」という意見があった。そこで、2列目シートの真下の床を部分的に40mmほど上げているという。一方大柄の方は、「そこよりももう少し先に足を置くでしょうからその部分のフロア位置は変えていません」として、「乗員全員が快適に座れるように細かく気を配っています」と説明。 そして3列目シートはCX-8よりも座り心地が良くなったようだ。しかし高橋さんは、「マルチソリューションでどんどんフロアが上がってきています。他社ですと、プラグインハイブリッドのようなクルマは、バッテリーを他の位置に配したり、あるいは床下にした場合はガソリンタンクを移動するなどのレイアウトを取ります。しかし、我々はそれをしたくなかったんです」という。その理由は、「どのパワートレインでも同じ条件で同じ室内、同じ荷室を使っていただきたかったから。そこで全部フロア下で勝負をしました。そのためにフロア高は我々の技術でできる限り抑えながらも、3列目を作りました」と語る。 その工夫の結果、CX-8よりも腰を深く自然な姿勢で着座できるようになったという。これはヘッドクリアランスが30mmほど増えたことが大きい。CX-8の場合は頭上高の関係で圧迫感から腰をずらして浅めに座りがちで、体も安定しなかったそうだ。しかしそれを改善することで、「安定した姿勢で楽に座っていただけるように工夫しています」と話す。 もうひとつパッケージではラゲージスペースにこだわりがある。それはタイヤハウスをキレイに隠していることだ。「これは結構大変だったんです」と高橋さん。「我々は走る歓びを大事にしているので、ホイールハウスのところのトリムを剥がしてもらうと、はしご型のブレースが構造体としてしっかりと通っています。これがまさに車体剛性を支える大きな要素なんですが、それがありながらできる限りシンプルに違和感なく、車幅を広げたぶんの広い室内になるように気をつけながら作りました」と話す。 またクォーターウインドウも大型化されたことで、「より乗員の目に近い位置にあるので、直接的な視界の広がり、明るさにすごく効いています。さらに大型のパノラマルーフが付いていますので上方向にも広がっています」。また、前述の通り姿勢が改善されたことから、目線の位置が上がったことでセカンドシートバック越しの見え方も広がっているのだ。 単にCX-60の3列バージョンというだけでなく、フラッグシップとしての存在感を感じさせるべく、細かいこだわりを細部にまでいきわたらせたのがCX-80だ。インテリアデザインは共通ではあるものの、ターゲットユーザーの違いがバリエーションの実売に反映されてくるだろう。ユーザーとしては選ぶ楽しさが増えるのは嬉しいことである。秋の発売までには価格が発表される予定だが、それにふさわしい完成度が伴っていることを期待したい。.

マツダは2024年秋にフラッグシップSUVの『CX-80』をデビューさせることが、正式に発表された。それに伴い一部メディアに事前の説明会が行われた。マツダ最上級モデルとなるCX-80とは一体どんなクルマなのか。開発責任者にその狙いやポジショニングなどについて、そしてパッケージ担当者にそのキーとなる室内レイアウトについて話を聞いた。これまでマツダのミドル以上のSUVは2列シートの『CX-5』と3列シートの『CX-8』というラインアップだった。そこに2年前にラージ商品群として新開発の後輪駆動プラットフォームを採用した『CX-60』が登場。そしてCX-8は2023年末にカタログ落ちした。では、CX-80はCX-8の後継車と捉えていいのだろうか。 マツダ商品開発本部主査の柴田浩平さんにそう尋ねると、「CX-8の後継のポジションと、そこからより上の価格帯をカバーしたいという意図があります」と話す。ちなみに現在販売中のCX-60とCX-5の関係については、「2列市場のCX-5に対してCX-60は少し兄貴分という関係性」だと説明する。 従ってCX-80はCX-8の代替え需要も担うことになる。CX-8はSUVだけでなく、ミニバンや輸入車など様々なセグメントから比較検討され購入に結びついているのが特徴だった。その背景には、「マツダ車らしいデザインと走りの良さを実現しながら、3列目まで大人も乗れる実用性を確保している」ことを挙げ、単にCX-5を3列にしたのではなく、「より伸びやかな優雅さを備え、CX-5よりも車格を上に見せていました」と柴田さん。 CX-60とCX-80も同じ関係性を実現させることを目指し、これが最も柴田さんのやりたいことでもあったという。従って、「もちろん必要な時にはしっかりと大人を6人7人乗せて楽しく遊びに行くことができますが、乗車人数ありきではなく1人で運転に集中して楽しめる。荷物をたくさんの載せたい時はそれができるという、生活の幅やシーンの広がりという価値を持たせていることが大切なんです」とコメント。 そこからCX-80のコンセプトは“グレイスフル・ドライビングSUV”とされ、「豊かさを表現したい。その豊かさとは、豪華にするとか、とても装備が充実してなんでも電気でできるとかそういうことではなく、豊かな時間や生活の広がり、ライフスタイルの広がりからにじみ出る余裕といったようなものを体現したいという思いです」と柴田さん。 そしてドライビングは、「マツダ車ですから動きに対するこだわりはありますので、あくまでただ広い空間や、座っている状態がとても心地いいというのではなく、そこに動きをしっかりと感じてもらいたいし、主体的に運転して自分でコントロールすることを表現したいという思い。ツキ並みですが、ドライビングSUVとしての本質は外さないということです」とコメントした。ではCX-80のターゲットユーザーはどういう人なのだろう。「生活の幅を広げることを考えて開発していますので、あまり決め打ちにはしていませんが、高い価格帯になりますので、クルマに対する知識や経験が豊富でこだわりが強く、おそらく若い時にはスポーツカーに乗ったりするクルマ好きの方。しかしいまは家族を大切にする人で、このクルマを使って、いろんなことをして遊びたいという方です」と柴田さんは語る。例えば、「子供が一人か二人いる家族や、ご夫婦二人であれば、趣味仲間と一緒に自転車を乗りに行くなど、そういうお客様をイメージしています」という。従ってやはり室内空間は重要なのだ。そこで気になるのは、CX-60と基本的にインテリアデザインは共通ということだ。柴田さんは、「通常はベース車を作ってそこからいくつも派生させていくのですが、いまマツダは一括開発なので初めから4車系を生むことは決めていました。ですからこの4車の“生き様”を効率的に作って行っていますので、CX-80も含めたこのラージ商品群、マツダの最高価格帯になるクルマとして必要なものをしっかり準備をしているんです。確かに結果的には同じではあるんですが、現状で不足していることはないと自信を持っています」と明かす。 ただし、「市場戦略的には最初に出しすぎたかな(苦笑)」と柴田さん。例えば、「白い内装のプレミアムモダンはCX-80の方がとても似合うので、CX-60では出さなくてCX-80までとっておいてもよかったかなとは思いますが、出し惜しみせずに全部出しています」と語った。室内空間の豊かさがCX-80のキーポイントであることはよくわかった。ではそのパッケージはどのように考えつくられているのか。マツダR&D戦略企画本部企画設計部主幹の高橋達矢さんに聞いてみると、まず2列目シートでは、「ヒップポイントはCX-8とほとんど変わっていません」という。しかし、CX-8ユーザーから、「小柄の方だと足が着きにくい」という意見があった。そこで、2列目シートの真下の床を部分的に40mmほど上げているという。一方大柄の方は、「そこよりももう少し先に足を置くでしょうからその部分のフロア位置は変えていません」として、「乗員全員が快適に座れるように細かく気を配っています」と説明。 そして3列目シートはCX-8よりも座り心地が良くなったようだ。しかし高橋さんは、「マルチソリューションでどんどんフロアが上がってきています。他社ですと、プラグインハイブリッドのようなクルマは、バッテリーを他の位置に配したり、あるいは床下にした場合はガソリンタンクを移動するなどのレイアウトを取ります。しかし、我々はそれをしたくなかったんです」という。その理由は、「どのパワートレインでも同じ条件で同じ室内、同じ荷室を使っていただきたかったから。そこで全部フロア下で勝負をしました。そのためにフロア高は我々の技術でできる限り抑えながらも、3列目を作りました」と語る。 その工夫の結果、CX-8よりも腰を深く自然な姿勢で着座できるようになったという。これはヘッドクリアランスが30mmほど増えたことが大きい。CX-8の場合は頭上高の関係で圧迫感から腰をずらして浅めに座りがちで、体も安定しなかったそうだ。しかしそれを改善することで、「安定した姿勢で楽に座っていただけるように工夫しています」と話す。 もうひとつパッケージではラゲージスペースにこだわりがある。それはタイヤハウスをキレイに隠していることだ。「これは結構大変だったんです」と高橋さん。「我々は走る歓びを大事にしているので、ホイールハウスのところのトリムを剥がしてもらうと、はしご型のブレースが構造体としてしっかりと通っています。これがまさに車体剛性を支える大きな要素なんですが、それがありながらできる限りシンプルに違和感なく、車幅を広げたぶんの広い室内になるように気をつけながら作りました」と話す。 またクォーターウインドウも大型化されたことで、「より乗員の目に近い位置にあるので、直接的な視界の広がり、明るさにすごく効いています。さらに大型のパノラマルーフが付いていますので上方向にも広がっています」。また、前述の通り姿勢が改善されたことから、目線の位置が上がったことでセカンドシートバック越しの見え方も広がっているのだ。 単にCX-60の3列バージョンというだけでなく、フラッグシップとしての存在感を感じさせるべく、細かいこだわりを細部にまでいきわたらせたのがCX-80だ。インテリアデザインは共通ではあるものの、ターゲットユーザーの違いがバリエーションの実売に反映されてくるだろう。ユーザーとしては選ぶ楽しさが増えるのは嬉しいことである。秋の発売までには価格が発表される予定だが、それにふさわしい完成度が伴っていることを期待したい。

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