「ダウンタウンの笑いは、弱いもんに力を与える笑いであってほしい」──伝説の番組『4時ですよーだ』のプロデューサーが浜田雅功に託す、ダウンタウンへの願い (2025年10月29日)

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かつて『4時ですよーだ』でダウンタウンを世に送り出した毎日放送の名物プロデューサー、田中文夫氏が、久方ぶりに筆を執った。宛先は、浜田雅功。手紙の中で田中氏は、相方・松本人志への率直な違和感と、かつて二...

かつて『4時ですよーだ』でダウンタウンを世に送り出した毎日放送の名物プロデューサー、田中文夫氏が、久方ぶりに筆を執った。宛先は、浜田雅功。手紙の中で田中氏は、相方・松本人志への率直な違和感と、かつて二人が体現した“弱者に寄り添う笑い”への原点回帰を静かに、しかし強く願っている。「松ちゃん、最近言うてることがちょっと変やなあ」浜ちゃん、お久しぶりです。昔、毎日放送にいた田中です。覚えてますか。もう40年近く前、心斎橋筋2丁目劇場で『4時ですよーだ』を一緒にやっていたプロデューサーの田中のオッサンです。最後に会ったのはもう10年近く前になります。砧のテレビスタジオ。毎日放送の『プレバト‼︎』収録の時でした。まもなく子会社の制作&技術プロダクションを退任するというタイミングでお別れの挨拶に伺ったんだと思います。「記念ですから!」と部下に強引に浜ちゃんとのツーショット写真を撮られたのを覚えています。タレントさんとそういうことをするのは苦手なのでちょっと緊張しました(笑)。サラリーマンを辞めてからはテレビ業界からスッパリと足を洗い、シンプルな年金生活です。テレビは殆ど見なくなりましたね。ついでに最近は新聞・週刊誌も読まなくなったので「情弱」もいいところです。世捨て人の隠居生活そのものです。近頃、そんなジイサンの耳にも近々、『ダウンタウンプラス』なるものがスタートするというニュースが飛び込んできました。有料配信だそうですが、この件に関してはちょっと気になることもあるので、浜ちゃんに手紙を書いてみようという気になりました。ほかでもない、松ちゃんのことです。これも10年か11年前、場所は同じ砧スタジオでした。浜ちゃんが『プレバト!!』収録前にプロデューサーと打ち合わせをしている時、ちょっと割り込んで2~3分短い話をしました。覚えているでしょうか?当時の松ちゃんは、もう既にお笑い業界というよりタレント業界全体の超大御所として君臨していました。それ自体はとても素晴らしいことで、若い頃からの知り合いとしては鼻が高かったことは事実です。しかし誇らしさと同時に、言うに言われぬ違和感も覚えていました。何と言ったらいいのか、いつの間にか強大な権力を持った人間がそのことに余りに無自覚過ぎると言うんでしょうか。周りのイエスマンたちにおだてられ、踊らされて行動し、その結果、松ちゃん自身が世の中の本当の権力者に擦り寄っているように見えてしまうと言うんでしょうか。テレビでの発言も危なっかしいことが増えていました。そんな時期に砧スタジオのコーヒーショップで浜ちゃんに会ってつい愚痴ってしまいました。「松ちゃん、最近言うてることがちょっと変やなあ。どないしたんや。他の誰が言うても絶対聞かへんやろから、浜ちゃんから直接強めにガツンと言うてもらえんかなあ(笑)」その時、浜ちゃんは実に微妙な顔をしました。否定でもない、肯定でもない、今までに見たことのない非常に複雑な表情でした。浜ちゃん、自分の現在のステイタスを過小評価しないでください。(あ、こらあかんな。これ以上は言われへんわ)直感的にそう思いました。何十年続いているコンビでも何でもありと言う訳にはいかんのやなあ。それとも周りの何人かの顔が頭に浮かんだのかなあ。いやいや、浜ちゃんを問い詰めるのは本意やないしなあ、とその場は早々に撤退しました。あれから10年以上経ちました。ダウンタウンはより巨大になり、レジェンドと言われる存在になりました。ただその間にいろんな話題があり、いろんな事件がありました。愉快なことばかりではありませんでした。これからダウンタウンは一体どうなっていくんですか。気になっています。松ちゃんはもうテレビには出ないんですかねぇ。浜ちゃんはどうするんですか。11月からスタートする有料配信サービスは『ダウンタウンプラス』という名称みたいですから、だとしたら、当たり前のことですが浜ちゃんは時々出演するというのではなく、ずっと出るべきだと思っています。それまでの漫才界、コント界の常識を覆し、大革命を起こした二人が、60歳を超えた今再び、二人だけで大旋風を巻き起こす時です。もし仮に、チャンネルスタート時の話題作りだけのために浜ちゃんをちょこっと参加させようということだったら、そんな金儲け主義のブレーンの言うことを聞く必要はありません。他の出演者が出るにしても、松ちゃんのご機嫌を取るだけの太鼓持ちタレントは一掃してください。浜ちゃん、自分の現在のステイタスを過小評価しないでください。もう既にレジェンドなんですよ。歴史上の人物になる人なんですよ。安モンの権力者達と距離を保ったり、意味のない金儲けをするのは控えてほしいです。晩節を汚すのは日本の大損失です。100年後の世界でも、なお燦然と輝いている存在でいてほしいのです。「今夜のお相手は浮世亭三吾・十吾でした。じゃあまた来週!」ちょっと昔話をします。『4時ですよーだ』が始まる前の年、1986年ですから今から39年前のことです。その日ぼくはMBSの千里丘放送センターで遅くまで働いていました。深夜2時を過ぎて仕事が終わり、自分の車で自宅に向かいました。その時カーラジオから聞こえてきたのはMBSラジオの『真夜中のなか』という番組でした。若い男の子二人がしゃべっていました。それほど刺激的な話題を話してた訳でもなく、フツーの世間話をしていただけなのに、ビンビンと心の奥に響いてきました。えっ? こいつら誰や? 一体何者なんや? 僕はテレビのディレクターをやる前、6年間ラジオのディレクターを経験してきましたが、こんな風にしゃべる人間に会ったことはありませんでした。「うまい」とか「テクニックがある」という訳でもない。「説得力がある」という訳でもない。荒削りで未完成ながら「ほほう、ラジオでこういうしゃべり方があったのか」という新鮮な驚きでした。この二人は自分達が何者かを一向に言う気配がなかったので、さすがに番組の終わりには言うだろうとジリジリしながら待っていました。そしてエンディングテーマが流れ、やっと二人は自己紹介をしました。「真夜中のなか木曜日、今夜のお相手は浮世亭三吾・十吾でした。じゃあまた来週!」おいおい、違うやろ! 浮世亭三吾・十吾は松竹芸能の中堅の漫才師や。完全にスカされてしまいました。次の日、ラジオの担当者の所に聞きに行きました。そこで初めて「ダウンタウン」、君たち二人だと知ったのです。「ダウンタウンの笑いは、弱いもんに力を与える笑いであってほしい」あの時の『真夜中のなか』のしゃべりが40年後の今に通用するかどうかはわかりませんが、だったら今に通用する62歳のしゃべりを新たに発明してください。そしてそれを『ダウンタウンプラス』で発表してください。5分や10分のケチな漫才ではなく、なんなら一時間の長尺で新境地を開拓してください。それが実現するのなら、年金生活で貧乏なぼくも有料チャンネルに課金します。バラエティの新企画や過去映像の羅列よりも遥かに魅力的です。世界配信に向くかはわかりませんが、そんなことはどうでもいいことです。松ちゃんの曲がり角は今までいくつもあったでしょうが、僕が一番ショックだったのは体を鍛えてボディビルダーのような体型になったことです。浜ちゃんはあれをどう受け止めていたのですか?『4時ですよーだ』の頃は、松ちゃんはダボダボのスーツを着て華奢な肉体を隠していました。そしてボケて、強者ぶって大言壮語しては、浜ちゃんにコテンパンに頭を叩かれ笑いを取り、バランスを保っていました。ヒョロヒョロの細い弱い人間だからこそ強者ぶるのが許されていた訳です。今はどうでしょう。体はどう見ても「マッチョ」そのものです。日本語で言うとマッチョは「筋肉が大きく鍛えられている」という意味ですが、英語の「macho」は「強がっている」「傲慢な」というような悪い意味で使われることも多く、そしてここが肝心ですが、マッチョイズムはイデオロギーとしては「タカ派」「右翼」「保守」、場合によっては「男尊女卑」などと結びつきやすいわけです。お笑いをやる人間としてはかなり不利な条件に思えます。松ちゃんはそれを承知でマッチョになったんですかね。そのあたりはわからないですが、何かに取り憑かれていたとしか思えません。だって、マッチョのボケに対して、それに釣り合うツッコミはいくら浜ちゃんでも至難の業ではないですか。頭を叩くにしても強烈な迫力が必要です。現実的にはそれは無理な話なので、となると松ちゃんに昔のガリガリのヒョロヒョロ男に戻ってもらうしか手はありませんなあ。冗談ぽく言ってますが、ダウンタウンの笑いは、いつの時代でも弱いもんに力を与える笑いであってほしいです。強い者に手を貸してほしくないのです。お願いしたいのはこの一点のみです。天才的な松ちゃんの発想力と、これまた天才的な浜ちゃんの強烈なツッコミと絶妙なバランス感覚で、誰にも真似できないしゃべりの金字塔を今、再び打ち立ててください。出来るならぼくが生きているうちにやってもらえれば言うことなしです。文/田中文夫.

かつて『4時ですよーだ』でダウンタウンを世に送り出した毎日放送の名物プロデューサー、田中文夫氏が、久方ぶりに筆を執った。宛先は、浜田雅功。手紙の中で田中氏は、相方・松本人志への率直な違和感と、かつて二人が体現した“弱者に寄り添う笑い”への原点回帰を静かに、しかし強く願っている。「松ちゃん、最近言うてることがちょっと変やなあ」浜ちゃん、お久しぶりです。昔、毎日放送にいた田中です。覚えてますか。もう40年近く前、心斎橋筋2丁目劇場で『4時ですよーだ』を一緒にやっていたプロデューサーの田中のオッサンです。最後に会ったのはもう10年近く前になります。砧のテレビスタジオ。毎日放送の『プレバト‼︎』収録の時でした。まもなく子会社の制作&技術プロダクションを退任するというタイミングでお別れの挨拶に伺ったんだと思います。「記念ですから!」と部下に強引に浜ちゃんとのツーショット写真を撮られたのを覚えています。タレントさんとそういうことをするのは苦手なのでちょっと緊張しました(笑)。サラリーマンを辞めてからはテレビ業界からスッパリと足を洗い、シンプルな年金生活です。テレビは殆ど見なくなりましたね。ついでに最近は新聞・週刊誌も読まなくなったので「情弱」もいいところです。世捨て人の隠居生活そのものです。近頃、そんなジイサンの耳にも近々、『ダウンタウンプラス』なるものがスタートするというニュースが飛び込んできました。有料配信だそうですが、この件に関してはちょっと気になることもあるので、浜ちゃんに手紙を書いてみようという気になりました。ほかでもない、松ちゃんのことです。これも10年か11年前、場所は同じ砧スタジオでした。浜ちゃんが『プレバト!!』収録前にプロデューサーと打ち合わせをしている時、ちょっと割り込んで2~3分短い話をしました。覚えているでしょうか?当時の松ちゃんは、もう既にお笑い業界というよりタレント業界全体の超大御所として君臨していました。それ自体はとても素晴らしいことで、若い頃からの知り合いとしては鼻が高かったことは事実です。しかし誇らしさと同時に、言うに言われぬ違和感も覚えていました。何と言ったらいいのか、いつの間にか強大な権力を持った人間がそのことに余りに無自覚過ぎると言うんでしょうか。周りのイエスマンたちにおだてられ、踊らされて行動し、その結果、松ちゃん自身が世の中の本当の権力者に擦り寄っているように見えてしまうと言うんでしょうか。テレビでの発言も危なっかしいことが増えていました。そんな時期に砧スタジオのコーヒーショップで浜ちゃんに会ってつい愚痴ってしまいました。「松ちゃん、最近言うてることがちょっと変やなあ。どないしたんや。他の誰が言うても絶対聞かへんやろから、浜ちゃんから直接強めにガツンと言うてもらえんかなあ(笑)」その時、浜ちゃんは実に微妙な顔をしました。否定でもない、肯定でもない、今までに見たことのない非常に複雑な表情でした。浜ちゃん、自分の現在のステイタスを過小評価しないでください。(あ、こらあかんな。これ以上は言われへんわ)直感的にそう思いました。何十年続いているコンビでも何でもありと言う訳にはいかんのやなあ。それとも周りの何人かの顔が頭に浮かんだのかなあ。いやいや、浜ちゃんを問い詰めるのは本意やないしなあ、とその場は早々に撤退しました。あれから10年以上経ちました。ダウンタウンはより巨大になり、レジェンドと言われる存在になりました。ただその間にいろんな話題があり、いろんな事件がありました。愉快なことばかりではありませんでした。これからダウンタウンは一体どうなっていくんですか。気になっています。松ちゃんはもうテレビには出ないんですかねぇ。浜ちゃんはどうするんですか。11月からスタートする有料配信サービスは『ダウンタウンプラス』という名称みたいですから、だとしたら、当たり前のことですが浜ちゃんは時々出演するというのではなく、ずっと出るべきだと思っています。それまでの漫才界、コント界の常識を覆し、大革命を起こした二人が、60歳を超えた今再び、二人だけで大旋風を巻き起こす時です。もし仮に、チャンネルスタート時の話題作りだけのために浜ちゃんをちょこっと参加させようということだったら、そんな金儲け主義のブレーンの言うことを聞く必要はありません。他の出演者が出るにしても、松ちゃんのご機嫌を取るだけの太鼓持ちタレントは一掃してください。浜ちゃん、自分の現在のステイタスを過小評価しないでください。もう既にレジェンドなんですよ。歴史上の人物になる人なんですよ。安モンの権力者達と距離を保ったり、意味のない金儲けをするのは控えてほしいです。晩節を汚すのは日本の大損失です。100年後の世界でも、なお燦然と輝いている存在でいてほしいのです。「今夜のお相手は浮世亭三吾・十吾でした。じゃあまた来週!」ちょっと昔話をします。『4時ですよーだ』が始まる前の年、1986年ですから今から39年前のことです。その日ぼくはMBSの千里丘放送センターで遅くまで働いていました。深夜2時を過ぎて仕事が終わり、自分の車で自宅に向かいました。その時カーラジオから聞こえてきたのはMBSラジオの『真夜中のなか』という番組でした。若い男の子二人がしゃべっていました。それほど刺激的な話題を話してた訳でもなく、フツーの世間話をしていただけなのに、ビンビンと心の奥に響いてきました。えっ? こいつら誰や? 一体何者なんや? 僕はテレビのディレクターをやる前、6年間ラジオのディレクターを経験してきましたが、こんな風にしゃべる人間に会ったことはありませんでした。「うまい」とか「テクニックがある」という訳でもない。「説得力がある」という訳でもない。荒削りで未完成ながら「ほほう、ラジオでこういうしゃべり方があったのか」という新鮮な驚きでした。この二人は自分達が何者かを一向に言う気配がなかったので、さすがに番組の終わりには言うだろうとジリジリしながら待っていました。そしてエンディングテーマが流れ、やっと二人は自己紹介をしました。「真夜中のなか木曜日、今夜のお相手は浮世亭三吾・十吾でした。じゃあまた来週!」おいおい、違うやろ! 浮世亭三吾・十吾は松竹芸能の中堅の漫才師や。完全にスカされてしまいました。次の日、ラジオの担当者の所に聞きに行きました。そこで初めて「ダウンタウン」、君たち二人だと知ったのです。「ダウンタウンの笑いは、弱いもんに力を与える笑いであってほしい」あの時の『真夜中のなか』のしゃべりが40年後の今に通用するかどうかはわかりませんが、だったら今に通用する62歳のしゃべりを新たに発明してください。そしてそれを『ダウンタウンプラス』で発表してください。5分や10分のケチな漫才ではなく、なんなら一時間の長尺で新境地を開拓してください。それが実現するのなら、年金生活で貧乏なぼくも有料チャンネルに課金します。バラエティの新企画や過去映像の羅列よりも遥かに魅力的です。世界配信に向くかはわかりませんが、そんなことはどうでもいいことです。松ちゃんの曲がり角は今までいくつもあったでしょうが、僕が一番ショックだったのは体を鍛えてボディビルダーのような体型になったことです。浜ちゃんはあれをどう受け止めていたのですか?『4時ですよーだ』の頃は、松ちゃんはダボダボのスーツを着て華奢な肉体を隠していました。そしてボケて、強者ぶって大言壮語しては、浜ちゃんにコテンパンに頭を叩かれ笑いを取り、バランスを保っていました。ヒョロヒョロの細い弱い人間だからこそ強者ぶるのが許されていた訳です。今はどうでしょう。体はどう見ても「マッチョ」そのものです。日本語で言うとマッチョは「筋肉が大きく鍛えられている」という意味ですが、英語の「macho」は「強がっている」「傲慢な」というような悪い意味で使われることも多く、そしてここが肝心ですが、マッチョイズムはイデオロギーとしては「タカ派」「右翼」「保守」、場合によっては「男尊女卑」などと結びつきやすいわけです。お笑いをやる人間としてはかなり不利な条件に思えます。松ちゃんはそれを承知でマッチョになったんですかね。そのあたりはわからないですが、何かに取り憑かれていたとしか思えません。だって、マッチョのボケに対して、それに釣り合うツッコミはいくら浜ちゃんでも至難の業ではないですか。頭を叩くにしても強烈な迫力が必要です。現実的にはそれは無理な話なので、となると松ちゃんに昔のガリガリのヒョロヒョロ男に戻ってもらうしか手はありませんなあ。冗談ぽく言ってますが、ダウンタウンの笑いは、いつの時代でも弱いもんに力を与える笑いであってほしいです。強い者に手を貸してほしくないのです。お願いしたいのはこの一点のみです。天才的な松ちゃんの発想力と、これまた天才的な浜ちゃんの強烈なツッコミと絶妙なバランス感覚で、誰にも真似できないしゃべりの金字塔を今、再び打ち立ててください。出来るならぼくが生きているうちにやってもらえれば言うことなしです。文/田中文夫

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