「アルテミスII」打ち上げ成功。53年ぶりの有人月飛行へ

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「アルテミスII」打ち上げ成功。53年ぶりの有人月飛行へ
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日本時間の4月2日午前、「アルテミスII」は打ち上げを完了した。4人の宇宙飛行士たちは月面には着陸しないが、月の裏側上空をフライバイ飛行する予定だ。

米フロリダ州ケープ・カナベラル現地時間の4月1日午後6時36分、米航空宇宙局(NASA)の新型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」が打ち上げられた。SLSに搭載された宇宙船「オリオン」は、「アルテミスII」ミッションの4人のクルーを乗せて地球周回軌道への投入を完了し、初日は航法およびシステムの重要な試験を実施する。3日目から4日目ごろには月へ向かう軌道に入り、その重力圏に到達する見込みだ。ミッション全体の期間はおよそ10日間だ。 今回のミッションには、月へ向かう有人飛行としては初の女性および初の黒人宇宙飛行士が含まれている。打ち上げは、最後の有人月探査であるアポロ17号から53年ぶりとなる。 アルテミスIIのミッションは月面には着陸しない(着陸は2028年の「アルテミスIV」で目指している)。その代わり、月の裏側上空およそ6,000〜9,000kmの高度を飛行し、月をフライバイ(接近通過)して地球への帰還を開始する。このミッションの主目的は、人類を安全かつ確実に月へ送り届ける技術的能力をNASAが有していることを実証する点にある。 これが達成されれば、NASAは今後数年のうちに新たな月面着陸に向けた準備を開始する。最終的には人類史上初の月面基地を建設し、持続的かつ持続可能な人類の活動拠点を月に確立することを目指している。 打ち上げは成功し、予定どおりに実施された。打ち上げウィンドウは米東部時間(EDT)4月1日水曜日午後6時24分(日本時間の4月2日午前7時24分)に開かれ、必要に応じて2時間延長可能だった。またNASAには、その後5日間にわたり再び打ち上げを試みる余地があった。 ミッションの詳細 宇宙飛行士たちはNASAのSLSロケットで打ち上げられ、大型バンほどの大きさとされるオリオンに搭乗している。まず少なくとも2日間は地球周回軌道を飛行し、機器のテストを行なう。その後、宇宙船の姿勢を調整して月への航行を開始する。飛行5日目または6日目には、月の重力が地球よりも優勢となる重力圏に入り、月周回軌道へと移行する見込みだ。 宇宙船が月の「裏側」に入ると、最も危険なフェーズが始まる。月による電波干渉のため、クルーは約50分間にわたって地球との通信が途絶する。この重要な局面では、アポロ時代よりもはるかに高度な技術を活用しながら、月の画像や各種データの取得が求められる。 帰還フェーズでは、地球と月の重力を利用して燃料消費を抑えつつ地球へ向かう。NASAの試算によれば、飛行10日目には地球への接近段階に入る見込みだ。 アルテミスIIには5つの優先目標がある。クルーの安全確保、有人月探査に必要な地上インフラから宇宙機器の運用検証、飛行データの取得と将来ミッションへの活用、緊急時における有効な対応システムの実証、そして各サブシステムの検証と新たなデータの妥当性確認である。 中国との競争 アポロ時代と同様に、米国は別の技術大国との宇宙開発競争に直面している。ただし今回の競争相手はロシアではなく、中国だ。同国は独自の宇宙飛行士を月面に送り込む計画を急速に進めている。実際、中国国家航天局は今後2年の間に嫦娥(Chang’e)探査機をさらに2機送り込み、2030年までに月着陸船の投入も計画している。 現在のNASAにとって、宇宙分野での主導権維持は明確な目標だ。冷戦期に比べて予算規模は小さいものの、地政学的圧力により、スペースXやブルーオリジンといったパートナー企業も、米国の月面回帰を加速させる技術開発を優先している。 最初の月面拠点の確立は、宇宙における地政学の将来を左右する鍵となる。月の領有権自体は「誰のものでもない」とされ、宇宙条約の下で管理されているが、最初に到達した者は運用上の安全区域──他者が近づけないエリア──を設定することになる。特に南極域の恒久的な影のクレーターには重要資源が存在するとされており、そこを確保した拠点は戦略的優位を持ち続けることになる。 今後の展開 ミッション終了後、NASAはロードマップの見直しを行う予定だ。当初、初の月面着陸とされていた「アルテミスIII」は、宇宙服や輸送モジュールといった重要システムの試験に焦点を移し、低軌道での検証を中心とする見通しとなっている。 実際の有人月面着陸は、日程未定ながらアルテミスIV以降に持ち越される可能性が高い。また、宇宙ステーション「ゲートウェイ」計画の最近の中止により、ミッション全体のロジスティクス設計も再構築を迫られている。 新技術による月面降下の確立は、約100億ドル規模の投資と数十のミッションからなる3段階計画の中核をなす。この計画は、将来的な月面基地建設の実現に直結するものだ。 ※『WIRED』による月探査の関連記事はこちら。 Related Articles NASAがアルテミス計画を全面再編、“急がば回れ”の戦略に舵を切った理由 月の裏側へ向かう「アルテミスII」──人類史上もっとも遠い飛行 2026年、再びの月へ「アルテミスⅡ」発射準備完了──特集「THE WORLD IN 2026」 未来の可能性を拡張するアイデアとイノベーションのエッセンスを凝縮した、毎年恒例の大好評企画の最新版「THE WIRED WORLD IN 2026」。世界中のクリエイターや実業家、科学者など40名超のビジョナリーが、テクノロジーやビジネス、カルチャーなど全10分野において、2026年を見通す最重要キーワードを掲げた総力特集! 詳細はこちら。.

米フロリダ州ケープ・カナベラル現地時間の4月1日午後6時36分、米航空宇宙局(NASA)の新型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」が打ち上げられた。SLSに搭載された宇宙船「オリオン」は、「アルテミスII」ミッションの4人のクルーを乗せて地球周回軌道への投入を完了し、初日は航法およびシステムの重要な試験を実施する。3日目から4日目ごろには月へ向かう軌道に入り、その重力圏に到達する見込みだ。ミッション全体の期間はおよそ10日間だ。 今回のミッションには、月へ向かう有人飛行としては初の女性および初の黒人宇宙飛行士が含まれている。打ち上げは、最後の有人月探査であるアポロ17号から53年ぶりとなる。 アルテミスIIのミッションは月面には着陸しない(着陸は2028年の「アルテミスIV」で目指している)。その代わり、月の裏側上空およそ6,000〜9,000kmの高度を飛行し、月をフライバイ(接近通過)して地球への帰還を開始する。このミッションの主目的は、人類を安全かつ確実に月へ送り届ける技術的能力をNASAが有していることを実証する点にある。 これが達成されれば、NASAは今後数年のうちに新たな月面着陸に向けた準備を開始する。最終的には人類史上初の月面基地を建設し、持続的かつ持続可能な人類の活動拠点を月に確立することを目指している。 打ち上げは成功し、予定どおりに実施された。打ち上げウィンドウは米東部時間(EDT)4月1日水曜日午後6時24分(日本時間の4月2日午前7時24分)に開かれ、必要に応じて2時間延長可能だった。またNASAには、その後5日間にわたり再び打ち上げを試みる余地があった。 ミッションの詳細 宇宙飛行士たちはNASAのSLSロケットで打ち上げられ、大型バンほどの大きさとされるオリオンに搭乗している。まず少なくとも2日間は地球周回軌道を飛行し、機器のテストを行なう。その後、宇宙船の姿勢を調整して月への航行を開始する。飛行5日目または6日目には、月の重力が地球よりも優勢となる重力圏に入り、月周回軌道へと移行する見込みだ。 宇宙船が月の「裏側」に入ると、最も危険なフェーズが始まる。月による電波干渉のため、クルーは約50分間にわたって地球との通信が途絶する。この重要な局面では、アポロ時代よりもはるかに高度な技術を活用しながら、月の画像や各種データの取得が求められる。 帰還フェーズでは、地球と月の重力を利用して燃料消費を抑えつつ地球へ向かう。NASAの試算によれば、飛行10日目には地球への接近段階に入る見込みだ。 アルテミスIIには5つの優先目標がある。クルーの安全確保、有人月探査に必要な地上インフラから宇宙機器の運用検証、飛行データの取得と将来ミッションへの活用、緊急時における有効な対応システムの実証、そして各サブシステムの検証と新たなデータの妥当性確認である。 中国との競争 アポロ時代と同様に、米国は別の技術大国との宇宙開発競争に直面している。ただし今回の競争相手はロシアではなく、中国だ。同国は独自の宇宙飛行士を月面に送り込む計画を急速に進めている。実際、中国国家航天局は今後2年の間に嫦娥(Chang’e)探査機をさらに2機送り込み、2030年までに月着陸船の投入も計画している。 現在のNASAにとって、宇宙分野での主導権維持は明確な目標だ。冷戦期に比べて予算規模は小さいものの、地政学的圧力により、スペースXやブルーオリジンといったパートナー企業も、米国の月面回帰を加速させる技術開発を優先している。 最初の月面拠点の確立は、宇宙における地政学の将来を左右する鍵となる。月の領有権自体は「誰のものでもない」とされ、宇宙条約の下で管理されているが、最初に到達した者は運用上の安全区域──他者が近づけないエリア──を設定することになる。特に南極域の恒久的な影のクレーターには重要資源が存在するとされており、そこを確保した拠点は戦略的優位を持ち続けることになる。 今後の展開 ミッション終了後、NASAはロードマップの見直しを行う予定だ。当初、初の月面着陸とされていた「アルテミスIII」は、宇宙服や輸送モジュールといった重要システムの試験に焦点を移し、低軌道での検証を中心とする見通しとなっている。 実際の有人月面着陸は、日程未定ながらアルテミスIV以降に持ち越される可能性が高い。また、宇宙ステーション「ゲートウェイ」計画の最近の中止により、ミッション全体のロジスティクス設計も再構築を迫られている。 新技術による月面降下の確立は、約100億ドル規模の投資と数十のミッションからなる3段階計画の中核をなす。この計画は、将来的な月面基地建設の実現に直結するものだ。 ※『WIRED』による月探査の関連記事はこちら。 Related Articles NASAがアルテミス計画を全面再編、“急がば回れ”の戦略に舵を切った理由 月の裏側へ向かう「アルテミスII」──人類史上もっとも遠い飛行 2026年、再びの月へ「アルテミスⅡ」発射準備完了──特集「THE WORLD IN 2026」 未来の可能性を拡張するアイデアとイノベーションのエッセンスを凝縮した、毎年恒例の大好評企画の最新版「THE WIRED WORLD IN 2026」。世界中のクリエイターや実業家、科学者など40名超のビジョナリーが、テクノロジーやビジネス、カルチャーなど全10分野において、2026年を見通す最重要キーワードを掲げた総力特集! 詳細はこちら。

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