永六輔さんは生前「人は二度死ぬ」と言った。一度目は肉体的な死。二度目は誰も故人の話をしなくなった忘却の死。だからなるべく、もう会えなくなった大好きな人たちの話はしていこうと思っている。
ただ、表現を生業(なりわい)にしている人は三度死ぬのかもしれないと思った。3つ目は「第一線に立たなくなったとき」。60周年を迎えている布施明のインタビューで、あこがれのトニー・ベネットやシャルル・アズナブールがいずれも90代で亡くなっていることについて話が及んだときのことだ。 「自分が数十年後、歌とどう向き合っていくか考えたことはありますか?」と聞くと、布施は「やがて道は細くなっていく」と淡々と語った。「だって、あんなにお客さんをドキドキさせて、すごかった先輩方の歌が消えていくんですから…」。感傷的ではなかった。 「僕はキングレコードにずっといたから、たとえば三橋美智也さんや春日八郎さんはスーパースターだったんですよ。でも、三橋さんの晩年、大阪のどこかでお会いしたときに、三橋さんがこんなに(元気がなく)なっちゃって。『みなさん、この人はあの三橋美智也さんなんですよ!』って、みんなに言って回りたくなって、涙が出たんです。でも同時に、この姿、いつか俺になるんだと思った。そしてこれでいいやとも思えた」 あきらめているわけではないように見えた。裏を返せば「これでいいや」と思える日が来るまで、ステージに立つ一回一回に、全身全霊をかけて向き合っていくということなのかもしれない。筆者は41歳。私の道も、やがて細くなっていく。「これでいいや」と思える日は来るだろうか。まだまだ一度目の「生」を試行錯誤している。(芸能担当・宮路 美穂).
ただ、表現を生業(なりわい)にしている人は三度死ぬのかもしれないと思った。3つ目は「第一線に立たなくなったとき」。60周年を迎えている布施明のインタビューで、あこがれのトニー・ベネットやシャルル・アズナブールがいずれも90代で亡くなっていることについて話が及んだときのことだ。 「自分が数十年後、歌とどう向き合っていくか考えたことはありますか?」と聞くと、布施は「やがて道は細くなっていく」と淡々と語った。「だって、あんなにお客さんをドキドキさせて、すごかった先輩方の歌が消えていくんですから…」。感傷的ではなかった。 「僕はキングレコードにずっといたから、たとえば三橋美智也さんや春日八郎さんはスーパースターだったんですよ。でも、三橋さんの晩年、大阪のどこかでお会いしたときに、三橋さんがこんなに(元気がなく)なっちゃって。『みなさん、この人はあの三橋美智也さんなんですよ!』って、みんなに言って回りたくなって、涙が出たんです。でも同時に、この姿、いつか俺になるんだと思った。そしてこれでいいやとも思えた」 あきらめているわけではないように見えた。裏を返せば「これでいいや」と思える日が来るまで、ステージに立つ一回一回に、全身全霊をかけて向き合っていくということなのかもしれない。筆者は41歳。私の道も、やがて細くなっていく。「これでいいや」と思える日は来るだろうか。まだまだ一度目の「生」を試行錯誤している。(芸能担当・宮路 美穂)
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