「iPhone 17」から「iPhone 17 Pro」シリーズ、そして「iPhone Air」まで揃ったiPhone の新モデル。どれを選ぶべきなのか、取材と試用に基づいて総ざらいしてみた。
iPhoneが2008年に日本で初めて発売されて以来、すべての年次のiPhoneを購入し、ここ10年以上は全モデルをアップルから貸し出しを受けて試用してわかったことがある。それは、iPhoneにも「当たり年」と「そうでない年」があるということだ。 進化の幅が少ない年もあるし、モデルチェンジが不評の年もある。初期のころには、大きなトラブルが発生した年さえあった。 それでは、2025年9月に発売された「iPhone 17」シリーズと「iPhone Air」はどうなのか。アップルの米国本社で開かれた発表会の会場で端末に触れ、しばらく試用機を使ってみて感じたことは、今年は「当たり年」に思えるということだ。 ベンチマークの数値を見ればスペックは大きく向上しているし、超薄型のiPhone Airという完全に新しいモデルも登場した。何より、「iPhone 17 Pro」シリーズが熱くならない。この熱くならないことによってiPhone 17 Proは、高い性能を存分に発揮できる。バッテリーは劣化しづらくなるだろうし、ユーザーにとってのメリットは大きい。 しかも、このためにアップルは、iPhoneの内部構造を大幅に変更している。この改良によって、日常の使い勝手は大幅によくなった。他のモデルもおしなべて印象がいい。 「iPhone 17」は性能が「iPhone 16 Pro」超え 最初に紹介したいのは、標準モデルの「iPhone 17」だ。外観上は「iPhone 16」とほぼ変わらない。物理的なSIMカードを廃止してeSIMのみに対応したことで、SIMカードのスロットがなくなったくらいだ。手に持ったときの感触も、基本的に同じである。 ところが、ハードウェアの中身に目を向けると、チップセットもディスプレイも、カメラも、すべてがグレードアップされている。価格は12万9,800円からになり5,000円の値上げだが、実は基本モデルのストレージ容量が128GBから256GBに増えている。つまり、実質的には昨年より“値下げ”されているといえるわけなので、買い得といえるだろう。 iPhone 17に搭載されている「A19」チップをベンチマークソフト「Geekbench 6」と、生成AIに関連する性能を計測できるベンチマークソフト「Geekbench AI」にかけてみたところ、結果は非常に優秀だった。なんと全項目において、昨年の最上位モデルである「iPhone 16 Pro」を上回って見せたのだ。普段使いはもちろん、高度なゲームや画像処理などもサクサクとこなせそうだ。 今回のいちばんのアップデートのポイントは、ディスプレイである。ついに標準モデルであるiPhone 17にも、最大120Hzのリフレッシュレートで表示可能な「ProMotionテクノロジー」に対応したディスプレイが搭載されたのだ。画面をスクロールさせると、いわゆる「ぬるぬる動く」と表現されるような滑らかな動きを体験できる。もちろん、動画やゲームの動きも滑らかだ。 このProMotionテクノロジー搭載ディスプレイはリフレッシュレートが速いだけでなく、表示コンテンツによって遅くもできる。静止画や時計を表示しているときは自動的に1Hzまでリフレッシュレートを落とすことで、消費電力を節約できる非常に優れたディスプレイなのだ。また常時表示にも対応しており、スリープ時にもうっすらとロック画面の時計などを表示しておける。 背面のカメラは従来と同じ2眼構成だが、2つとも4,800万画素の「デュアルフュージョンカメラ」にアップデートされた。iPhoneは通常は2,400万画素の写真を出力するのだが、センサー全体で撮った画像を4画素ずつ統合して2,400万画素として出力する方法と、中心部分の2,400万画素だけを使って出力する方法を使い分ける。 こうして2種類の画角を使い分けできるカメラを、アップルは「フュージョンカメラ」と呼んでいる。iPhone 17では、2つあるカメラが両方ともこの4,800万画素のフュージョンカメラにアップデートされたというわけだ。 これまでは2眼カメラのうち超広角カメラのほうは解像度が低かったが、iPhone 17ではこちらも高解像度になった。ワイドな写真も高精細に撮れるようになったのはありがたい。 また、自撮り用のフロントカメラも新しくなり、今回は全モデルが「18MPセンターフレームフロントカメラ」を搭載している。これは自撮りする人にとってはとてもうれしいカメラだ。その理由は、新しいセンサーにある。 従来のフロントカメラは1,200万画素で、長方形のセンサーが縦方向に配置されていた。このため、画角を切り換えるにはiPhoneを縦横に持ち換えなければならなかった。つまり、縦の写真を撮るにはiPhoneを縦に持ち、横の写真を撮るには横に持つ必要があったわけだ。 これに対して今回の新モデルでは、1,800万画素の正方形のセンサーを採用している。これにより、iPhoneを縦に持ったまま横向きの写真を撮ったり、横向きに持って縦長の写真を撮ったりしても画質が保たれるようになったのだ。 しかも、フレームのアングルを自動的に調整してくれる。ひとりで撮っている場合は縦の構図、仲間が写真に入ってきたら自動的に横の構図になったり、広角になったりもするのだ。 実際のところ、家族や友人とセルフィーを撮るために盛り上がっているときに、設定変更に四苦八苦していては興ざめだろう。18MPセンターフレームフロントカメラなら、自動的に最適なフレーミングをしてくれる。 前後のカメラを同時に使って映像を撮れる「デュアルキャプチャビデオ機能」も新たに用意された。パーティーの一場面やスポーツの劇的なシーンを外側のカメラで撮りながら、内側のカメラで撮影者の表情も入れ込むことができる。自撮りを楽しむユーザーは非常に多いので、こうした機能は人気を博するだろう。 アップルはiPhoneの機種ごとの販売台数を発表していないが、家電量販店などで聞くと「スタンダードモデルのほうが多く売れる」という。それを考えても、iPhone 17の性能向上は多くの人に喜ばれるに違いない。 「iPhone 17 Pro」は処理能力の“限界”を突破 iPhoneのなかでも「Pro」シリーズはアップルのスマートフォンの最高峰であり、最も高性能で高機能なモデルと位置づけられている。このため、ときに新しい素材や構造が先行して採用されることがある。 例えば2年前に発売された「iPhone 15 Pro」シリーズでは、それまでステンレス製だったフレームが、さらに強度が高いチタン製に置き換えられた。これは質感の高さをアピールするにはよかったのだが、熱伝導性の低さにより冷却性能が劣る点が問題になったようだ。 このためiPhone 17 Proシリーズでは、放熱しやすい熱間鍛造アルミニウムを削り出した一体構造のアルミユニボディが採用されたのである。別の記事でも説明したが、放熱性能が高いアルミのユニボディが高性能な「A19 Pro」チップを冷却してくれることで、長時間にわたって快適に高い性能を発揮できるようになった。 注目すべきは、アップルが「Plateau(プラトー=高原・台地の意味)」と呼ぶ出っ張りの部分だ。この中にはA19 Proチップが収められ、出っ張り全体が放熱するヒートシンクの役割も担っている。ここにはカメラも搭載しているので、ケースを装着しても外部に露出する場合が多く、放熱するには最適というわけだ。 「カメラの出っ張りが大きくなった」と言う人もいるが、むしろアップルは意図的にここに重要なパーツを集め、効率的に放熱させている。往年の自動車のターボエンジン搭載車には、冷却用の外気を導入する「エアインテーク」と呼ばれる穴がボンネットに開いていたが、同じようにパフォーマンスの象徴としてデザインされているのだろう。 試しにグラフィックが高精細で負荷が非常に大きい3Dゲーム(「バイオハザード RE:4」)を1時間ほどプレイしてみたが、iPhone 17 Pro Maxはせいぜい“人肌”くらいまでしか温まらなかった。これに対してiPhone 16 Proだと、10分もすると背面の中央(チップセットが搭載されているあたり)が熱くなってくる。特に夏にはiPhone 16 Proの熱さに困るシーンは多かったが、来年の夏はiPhone 17 Proで涼しく過ごせそうだ。 注目のカメラ部分は、3眼とも「48MP フュージョンカメラ」になった。これによりアップルは、8倍、4倍、2倍、1.
5倍、1.2倍、1倍、0.5倍、マクロの8つの画角を切り替えられるようにしたのである。 一般的なカメラのようにレンズが可動するわけではないが、この8つの画角をデジタル処理でうまくシームレスに組み合わせた。高性能なA19 Proチップにより、まったく違和感なく複雑な処理をこなしている。 その仕組みはこうだ。iPhoneのカメラは基本的に常に解像度が2,400万画素の写真を出力するのだが、ひとつのセンサーの全体を使って2,400万画素の画像を出力する場合と、中央部分だけを使って出力する場合を自動的に切り換える。それがフュージョンカメラの特徴で、これによってひとつのセンサーから2種類の画角の画像を出力できるわけだ(もちろん、手作業で設定すれば解像度が4,800万画素の写真も撮れる)。 ところで、映画制作や放送現場などでiPhoneのProシリーズが撮影に使われるという話を聞いたことがあるかもしれない。これはProシリーズが、ドルビービジョンや4K/120fps、高画質で低圧縮なApple ProRes形式でのLog撮影(広いダイナミックレンジで映像を記録し、編集時に色を自由に調整できる撮影モード)のように、プロフェッショナルな用途にたえうる撮影が可能だからだ。 それが今回はProRes RAW、Log 2、複数のカメラで正確にビデオを同期させる際に使用する技術のGenlockに新たに対応した。Genlock技術により、映画『マトリックス』で主人公のネオが身体を反らせて銃弾を避けるシーンで有名になったバレットタイム撮影(大量のカメラで被写体を取り囲んで同時に撮影する手法)も可能になっている。これにより、ますます幅広い制作現場でiPhone 17 Proシリーズが使われることになるだろう。 アップルらしくアイコニックな「iPhone Air」 標準モデルであるiPhone 17や高性能モデルのiPhone 17 Proとは位置づけが異なる新モデルが、「iPhone Air」である。「17」という連番が振られていないことからもわかるように、非常にユニークな存在だ。 厚さが5.64mmと薄いだけでなく、165gと軽い。それでいて、実はかなりの大画面(6.5インチ)だ。つまり、iPhone 16 Plusをわずかに小さくして、はるかに薄くして、iPhone 16より軽くしたようなサイズ感といえる。ゆるくカーブしたチタンのフレームは手になじむし、手に持つ部分はほとんどバッテリーなので熱くならない。 写真で見ると、本体上部の出っ張り(プラトー)が気になるかもしれない。だが、実際に使ってみると、この部分は手に触れないのでまったく気にならなかった。 このプラトーの部分には、チップセットとカメラが収められている。チップセットはiPhone 17 Proと同じA19 Pro。連続使用した際の熱による限界はiPhone 17 Proよりは低いと思われるが、短時間のベンチマークテストではほぼ同等の性能を示した。 カメラは4,800万画素のフュージョンカメラを搭載している。光学的には1倍と2倍の画角をカバーする。デジタルズームは最大10倍だ。 その薄さゆえに、曲がってしまうのではないかと不安になるかもしれない。だが、心配は無用だ。アップル本社にある「耐久性ラボ」と呼ばれる施設で強度テストを見学したが、iPhone Airは60kgf(重量キログラム)程度の力をかけても大丈夫だった。これは成人男性がiPhoneを曲げようとする力(約30kgf)の2倍に相当する。 チタンフレームのボディは力をかけるとわずかに曲がるのだが、やめると元の形に戻る。この弾力性こそが、アップルがiPhone Airにチタンを採用した理由なのだという。 iPhone Airのことを少しでも気になる人は、ぜひ店頭で手に取ってみてほしい。その先進的でアイコニックなデザインに魅了されるはずだ。 eSIMの扱いには要注意 一方で、これらの3モデルに共通する注意点もある。購入した人の一定数が確実に戸惑うのは、「全モデルがeSIMのみ対応」になったことだろう。 もちろん、これまでもeSIMを使っていた人や、テクノロジーに詳しい人なら何も問題はない。だが、iPhoneは大勢の人が使う製品なので、この“完全eSIM化”をめぐってさまざまなトラブルが発生しそうだ。 物理SIMからeSIMへの移行をオンラインで自分で作業できる人なら、移行は無料か数百円の手数料で済む。しかし、店舗で依頼すると3,000~5,000円くらいの手数料が必要になる。 eSIMのプロファイル(電話番号などの加入者情報)をデバイス間で移動させる手続きは、基本的には無料か、キャリアによっては数百円の手数料が必要だ。これまでSIMカードを差し換えて複数台のデバイスを使っていた人は、キャリアによってはeSIMを切り換えるたびに費用が発生することを意識しておきたい。 また、eSIMに移行する際にプロファイルを誤って削除してしまうと、再発行に費用がかかる場合もあるので注意してほしい。大手キャリアなら「eSIMクイック転送」という移行を簡素化する仕組みを用意しているので、比較的簡単に済むはずだ。 eSIMにまつわる費用やシステムは、通信キャリアやMVNOのブランドごとに異なるうえ、これから大きく変わる可能性もある。各キャリアやブランドのサイトで事前に調べておくといいだろう。 個性豊かな新世代iPhone、どれを選ぶ? こうして3モデルの特徴を比べてみると、興味深いことがわかる。薄いiPhone Airが登場したことで、iPhone 17 Proは少し厚くなってでもパフォーマンスを追求することができた。逆に変化を好まない人に向けて、旧モデルとほぼ同じ外見を維持しながら性能を高めたiPhone 17も用意されている。 つまり今年のiPhoneは、どの製品を選んでも、それぞれのユーザーを満足させられる特徴的な性能を与えられている。これにより、ユーザーがiPhoneを選びやすくなったといえるだろう。それだけに、もし数年に一度しかiPhoneを買い替えないなら、いまが“買いどき”と言えるのかもしれない。 (Edited by Daisuke Takimoto) ※『WIRED』によるiPhoneの関連記事はこちら。 Related Articles iPhone 17 ProとiPhone Airの進化の本質は、激変した内部構造にあり 「iPhone 17」は多くの人にとって最適な選択肢:製品レビュー 分厚い「iPhone 17 Pro」と「iPhone 17 Pro Max」は完成度が高い:製品レビュー 「iPhone Air」は薄くて軽く、アーリーアダプター向け:製品レビュー 気鋭のAI研究者たちやユヴァル・ノア・ハラリが語る「人類とAGIの未来」。伝説のゲームクリエイター・小島秀夫や小説家・川上未映子の「創作にかける思い」。大阪・関西万博で壮大なビジョンを実現した建築家・藤本壮介やアーティストの落合陽一。ビル・ゲイツの回顧録。さらには不老不死を追い求める富豪のブライアン・ジョンソン、パリ五輪金メダリストのBガール・AMIまで──。未来をつくるヴォイスが、ここに。グローバルメディア『WIRED』が総力を結集し、世界を動かす“本音”を届ける人気シリーズ「The Big Interview」の決定版!!詳細はこちら。
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