iPhone 17 ProとiPhone Airの進化の本質は、激変した内部構造にあり

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iPhone 17 ProとiPhone Airの進化の本質は、激変した内部構造にあり
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抜本的にデザインが変更された「iPhone 17 Pro」と「iPhone Air」。その技術的な進化の本質は、実はiPhoneとして第3世代目となった内部構造にある。

このほどアップルが発表した「iPhone 17」シリーズ。なかでも高性能モデルの「iPhone 17 Pro」シリーズと超薄型モデル「iPhone Air」は、抜本的なデザインの変更が話題になっている。 だが、その進化の本質は、カメラ部分が出っ張ったり、本体が薄くなったりしたことにあるわけではない。実は基本構造に特に影響を与えて大きな進化をもたらしたのは、iPhoneで最大のパーツでもあるバッテリーの構造の変化にある。 それが新モデルにおいて、いかに重要な意味をもっているのか。アップル本社での取材と、歴代のiPhoneのバッテリー構造の変化に基づいて解説していこう。 “SNSデバイス”からAIデバイスの時代へ そもそも2007年6月に発売された初代iPhone(日本未発売)は、携帯電話であると同時に、「通信機能をもつタッチ操作できるモバイルコンピューター」という意味で革新的だった。そこに外部企業のアプリをインストールできるようになったことで、Twitter(現在のX)やFacebook、InstagramなどのSNSアプリが登場し、SNSを楽しむためのデバイスという色が濃くなっていったのである。 人々は短文のテキストや写真、動画を見たり投稿したりするようになり、これに伴ってiPhoneのディスプレイは大型化してカメラは高精細になっていった。さらには、高度なゲームを楽しんだり店頭での決済に使ったりすることも一般的になるなど、あらゆるシーンで使われるようになったのである。 そうして迎えた2025年、最新のiPhoneは生成AIをデバイス側で動作させることが求められている。アップル独自チップであるAシリーズは処理あたりの消費電力が少ないとされているが、それでも生成AIを動作させると多くの熱が発生する。 発熱が増えると、チップ内部の電気抵抗が大きくなると同時にリーク電流(意図せず漏れる電流)が増え、さらに発熱してしまう悪循環に陥る。安定した動作を持続させるには、温度を一定以下に抑える設計が不可欠なのだ。 この「増大した消費電力と発熱の処理」という難題に、新モデルのなかでもiPhone 17 Proは特に本気で取り組んでいる。発熱を抑えて高いパフォーマンスを持続できるようにしたことで、生成AIを動かすような高負荷な処理をしやすくしたのだ。発熱が少なければ、チップセットは安定して高速に動作し続けることができる。 結果的にiPhone 17 Proは、「iPhone 16 Pro」と比べて「40%長くパフォーマンスが持続するようになった」と、アップルは説明している。つまり、新しいiPhone 17 Proの性能を支えているのは、優れた放熱性能なのだ。 この優れた放熱性能を実現したのが、放熱しやすい熱間鍛造アルミニウムを削り出した一体構造のアルミユニボディ、独特なチップセットの配置、ケースを付けていても露出するカメラ周りも使った放熱、そして冷却機構であるベイパーチャンバーの搭載といった新しい設計である。 だが、実はそれだけではない。こうした新しい構造に必要な空間を生み出したのは、新しいバッテリーのアーキテクチャーなのだ。 アップル独自チップの「Apple Silicon」は、性能あたりの発熱が少なく熱効率に優れていることが発表会でもアピールされている。その優れた熱効率のおかげで、これまではiPhoneの設計においてそこまで放熱を重視する必要はなかった。 ところが、「A17 Pro」「A18 Pro」とチップの世代が新しくなり、性能が飛躍的に向上するにつれ、発熱は増大していった。実際に「iPhone 15 Pro」やiPhone 16 Proが夏場に熱くなって困った経験のある人も多いのではないだろうか。 こうして新しいiPhoneでは、抜本的な熱対策が求められるようになった。そのために必要なスペースを生み出すうえで、新世代のアーキテクチャーに基づくバッテリーの搭載が欠かせなかったのである。 バッテリーのアーキテクチャーは3世代目に iPhoneの歴史をさかのぼると、初代から「iPhone 8」「iPhone XR」を経て「iPhone 16」に至るまでの標準モデルは、バッテリーに長方形のラミネートセル(柔らかいラミネートフィルムで覆われたセル)を採用している。最新モデルのiPhone 17に関して現時点で内部構造に関する情報はないが、iPhone 16から外観デザインは基本的に変わっていないので、内部構造も同じと考えていいだろう。 標準モデルのiPhoneで長方形のセルが採用されてきたのは、単セル(バッテリーの最小構成単位)で済むのでコスト面での優位性があるからだ。ところが、デバイスの高性能化に伴ってバッテリーのサイズが大きくなると、カメラやチップセットを配置するスペースを圧迫してしまう。 そこでアップルは、2017年に発売した「iPhone X」でバッテリーの構造を変えた。その内部構造が革新的だったのは、バッテリーを2セルにしてL字形に配置したことである。これによってチップセットの周りに主要な回路を集約し、大型化したチップセットを大きな基板に搭載できるようになったのだ。 このバッテリー配置は「iPhone XS」を経て、以後の上位モデルとなる「Pro」シリーズに受け継がれていく。「iPhone 11 Pro」以降の上位モデルに3眼のカメラを搭載するスペースを確保できたのも、このL字形のバッテリー配置のおかげだ。 そして今回のiPhone 17 Pro/Pro Max、そしてiPhone Airで、バッテリーのアーキテクチャーが第3世代へと進化した。これらのモデルは、従来にはない新しいバッテリーの構造を採用している。 一見してわかるのが、バッテリーセルを覆う金属ケースの形状の変化だ。iPhone 16 ProのバッテリーはL字形の金属ケースだったが、iPhone 17 Pro/Pro MaxとiPhone Airでは、複雑な凹凸をもつ金属ケースのバッテリーを採用している。 この金属ケースの中に入っているバッテリーセルについて、アップルは特に情報を公開していない。だが、金属のケースに入っていて長方形ではない不規則な形状をしたバッテリーは、従来の単セルやL字型の2セルとはまったく異なるバッテリー技術だと思われる。 カメラ周りを“本体”とした構造 そして上部のカメラ周りの出っ張った部分に、その厚みを利用してメインプロセッサーであるA19 Proなどの主要な部品をすべて集約した。つまり、このカメラのある部分こそがiPhone 17 Pro/Pro MaxとiPhone Airの“本体”ともいえる。 このカメラ周りの出っ張りをことさら強調したデザインも、「ここが本体である」ことを示している。背面の下部に配置されたガラスパネルの部分は、バッテリーが収まるほか、触覚フィードバックに用いる「Taptic Engine」などの補助的な部品が内蔵されているのだ。実質的な本体といえるカメラ周りの出っ張りとガラスパネルを明確に区別し、そのガラスパネルの中央にアップルのロゴを配置したiPhone 17 Proのデザインは、その新世代の内部構造を象徴しているともいえる。 このようにチップセットを含む主要な部品を上部に集約した構造には、熱さを感じにくくする効果もある。iPhone 16 ProまではiPhoneを握ったときに手が触れる部分にチップセットが内蔵されていたが、iPhone 17 ProやiPhone Airのチップセットは手が触れない本体上部に移動したからだ。 鍵を握るアルミユニボディとベイパーチャンバー 次に重要な役割を果たしているのが、アルミニウムを削り出した一体構造のアルミユニボディである。アルミ削り出しの加工によって本体構造をバスタブ状に一体化したもので、これによりA19 Proチップの熱を本体全体に伝えて放熱できるようになったのだ。しかも、この構造の一部であるカメラ周りの出っ張りはiPhoneをケースに入れていても外部に露出するので、まるでラジエーターのように放熱に貢献する。 これに対してiPhone 15 ProとiPhone 16 Proは、剛性が高い一方で熱伝導率がアルミより低いチタンを外縁部(フレーム)だけに用いていた。チタンの採用で軽量化と剛性の確保を両立させ、本体の正面と裏側はカメラ周りを含めてガラスで強度を確保したのである。 このときチタンを採用したのは、アップルの“判断ミス”だったのかもしれない。だが、設計した当初は、ここまで発熱問題がパフォーマンスに影響するとは思っていなかったのだろう。 一方で、なぜiPhone Airにはチタンフレームが採用されているのか。iPhone Airは薄くて曲がりやすいので、外部から強い力がかかると、しなって力を受け止める設計になっているのだ。アルミは外部から強い力が加わると曲がったままになるが、チタンは元の形状に戻る性質がある。 またiPhone Airは、放熱を必要とするほどの高負荷で使い続けないことを前提としているともいえるだろう。とはいえ、iPhone Airは放熱性能を重視したiPhone 17 Proと同等のチップを採用した高性能なデバイスでもあるので、熱対策の面では疑問が残る。 熱対策でもうひとつ注目したいのが、iPhone 17 Proに新たに搭載された冷却機構のベイパーチャンバーだ。ヒートパイプのように熱を伝えるアルミ製の構造体で、内部に封入されたイオン水の気化と凝縮(水蒸気が液体に変化する反応)によって熱を瞬時に移動させる仕組みだ。 このベイパーチャンバーの部品単体に触れる機会があったのだが、片側を指でつまんで100℃近い熱湯に反対側を浸けると、数秒で耐えられなくなるほど熱くなった。それほど素早く熱を伝える構造によって、A19 Proが発生した熱をアルミユニボディ全体に分散させているわけだ。 こうした設計を実現するうえで、金属ケースに封入されて形状と配置の自由度が高くなった新しいバッテリーが極めて重要な役割を果たしている。 通信チップの内製化で、さらに低消費電力に iPhone 17 Proの注目すべき点は、それだけではない。例えば、物理的なSIMカードを廃止してeSIMのみに対応したことで、SIMカードのスロットがないぶんバッテリー容量が増している。同時に本体の密閉性が高まり、強度や防水性の向上にも貢献している。 また、アップル独自の通信チップ「N1」にも注目したい。N1チップは、Wi-Fi 7、Bluetooth 6、Thread(スマートホーム用の省電力で安定したメッシュ型無線通信規格)の3つの無線規格に対応している。ワンチップでこれらをカバーできるのでスペース効率が高く、旧来のブロードコム製から自社製にしたことで省電力性能を高めることができたという。このチップは、今回発表されたすべてのiPhoneに搭載されている。 さらにiPhone Airには、携帯電話の通信網に接続するためのセルラーモデムとしてアップル独自チップの「C1X」を搭載した。このようにC1X、N1、そしてAシリーズとさまざまなチップを内製化することで、アップルはチップを自社製品の設計に最適化している。特にチップを省電力化することでデバイス全体の消費電力を減らし、パフォーマンスを向上させていったのだ。 ただし、C1XはiPhone 17やiPhone 17 Proには搭載されていない。これは以前から使っているクアルコム製モデムのほうがカバーしている周波数帯の数が多かったり、性能や安定性の面で強みがあるからだと考えていいだろう。ことによると、まだ安定供給できる数に限りがあるのかもしれない。 使ってわかる魅力 新しい金属ケースに収められた新形状のバッテリーと、本体上部にあるカメラ周りの出っ張りに主要な部品を集約したiPhone 17 Pro/Pro MaxとiPhone Air。まったく新しい構造になったという意味で、これらの3機種は「第3世代のiPhone」と言っていい。 それを考えると、iPhone 17 Pro/Pro Maxのアップルマークの位置を変えるなど、デザイン面でも大きく変化したのも納得できる。こうした構造による利点を、iPhone 17 Pro/Pro Maxでは性能向上に伴う放熱対策に、iPhone Airは薄型化に使っているのもおもしろい。 iPhoneのデザインが大きく変わったことに違和感を抱く人も少なくないだろう。だが、実際に使ってみると、iPhone 17 Pro/Pro Maxはパワフルなのに熱くならないし、iPhone Airは驚くほど薄く軽いのにディスプレイが大きいなど、体感できるメリットが大きい。普及していくに従って、これらの新モデルの評価は高まっていくはずだ。 新しいデザイン言語「Liquid Glass」に基づくインターフェイスの採用で大きく変化した「iOS 26」にも最初は戸惑いがあるだろうが、使い慣れると便利な部分が見えてくる。議論は尽きないが、それでも変化を恐れずに進化していくところが、アップルらしさでもあるのだ。 (Edited by Daisuke Takimoto) ※『WIRED』によるiPhoneの関連記事はこちら。アップルの関連記事はこちら。 Related Articles 超薄型「Air」から、新デザインの「17 Pro」まで、3つの新型iPhoneについて知っておくべきこと 修理しやすさとの両立に挑む。“壊れないiPhone”を目指すアップルのテスト施設「耐久性ラボ」に潜入してみた iPhoneに“マイナンバーカード”を搭載すると何ができる? 利用の手順と仕組み、安全性を徹底解説 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このほどアップルが発表した「iPhone 17」シリーズ。なかでも高性能モデルの「iPhone 17 Pro」シリーズと超薄型モデル「iPhone Air」は、抜本的なデザインの変更が話題になっている。 だが、その進化の本質は、カメラ部分が出っ張ったり、本体が薄くなったりしたことにあるわけではない。実は基本構造に特に影響を与えて大きな進化をもたらしたのは、iPhoneで最大のパーツでもあるバッテリーの構造の変化にある。 それが新モデルにおいて、いかに重要な意味をもっているのか。アップル本社での取材と、歴代のiPhoneのバッテリー構造の変化に基づいて解説していこう。 “SNSデバイス”からAIデバイスの時代へ そもそも2007年6月に発売された初代iPhone(日本未発売)は、携帯電話であると同時に、「通信機能をもつタッチ操作できるモバイルコンピューター」という意味で革新的だった。そこに外部企業のアプリをインストールできるようになったことで、Twitter(現在のX)やFacebook、InstagramなどのSNSアプリが登場し、SNSを楽しむためのデバイスという色が濃くなっていったのである。 人々は短文のテキストや写真、動画を見たり投稿したりするようになり、これに伴ってiPhoneのディスプレイは大型化してカメラは高精細になっていった。さらには、高度なゲームを楽しんだり店頭での決済に使ったりすることも一般的になるなど、あらゆるシーンで使われるようになったのである。 そうして迎えた2025年、最新のiPhoneは生成AIをデバイス側で動作させることが求められている。アップル独自チップであるAシリーズは処理あたりの消費電力が少ないとされているが、それでも生成AIを動作させると多くの熱が発生する。 発熱が増えると、チップ内部の電気抵抗が大きくなると同時にリーク電流(意図せず漏れる電流)が増え、さらに発熱してしまう悪循環に陥る。安定した動作を持続させるには、温度を一定以下に抑える設計が不可欠なのだ。 この「増大した消費電力と発熱の処理」という難題に、新モデルのなかでもiPhone 17 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